2012-05-05から1日間の記事一覧

書評:原武史『可視化された帝国[増補版]−−近代日本の行幸啓(始まりの本)』みすず書房、2011年。

鉄道が形成する「可視化された帝国」原武史『可視化された帝国[増補版]−−近代日本の行幸啓(始まりの本)』みすず書房、2011年。ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』(NTT出版)は、近代史や近代文化史を研究する者にとっては、いわば基本中…

和辻倫理学は、近代日本国家の勃興と挫折に運命を共にした思想体系であると評すべきもの

- 和辻倫理学の評価にかえる。彼の近代主義批判は、日本の文化的伝統に即しつつ西洋近代を克服しようとする試みであったが結果的には失敗に終わったといわなくてはならない。ただ彼がおちいった誤りは、現代史における文化的ナショナリズムの問題性を尖鋭な…