日本史

覚え書:「テロリズムに抗する思想 アルベール・カミュに学ぶ 寄稿 桃井治郎」、『毎日新聞』2015年04月20日(月)付夕刊。

- テロリズムに抗する思想 アルベール・カミュに学ぶ 寄稿 桃井治郎(中部大学国際関係学部講師、国際関係学) (写真キャプション)チュニスのバルドー博物館周辺で行われたイスラム過激派に抗議する行進で、チュニジアの国旗を振る市民たち=3月29日、…

拙文:「読書:中田整一『ドクター・ハック』平凡社 戦中、日米間の和平工作に奔走」、『聖教新聞』2015年04月25日(土)付。

- 読書ドクター・ハック 中田整一 著戦中、日米間の和平工作に奔走 戦前・戦中日本の行く末を決定付ける局面に必ずその姿を現わすのが、ドイツ人エージェント、ドクター・ハックことフリードリヒ・ハックだ。 女優・原節子のデビュー作となる日独合作映画「…

日記:関東大震災時の朝鮮人虐殺のトリガーとなった要因

- 関東大震災時の虐殺 二三(大正一二)年九月一日、関東地方を襲った大地震とそれによる大火災の中で、数多くの朝鮮人が日本の軍隊・警察、さらには日本人自警団などによって虐殺される事態が生じた。「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」「爆弾を持って襲撃し…

書評:金山泰志『明治期日本における民衆の中国観 教科書・雑誌・地方新聞・公団・演劇に注目して』芙蓉書房出版、2014年。

金山泰志『明治期日本における民衆の中国観』芙蓉書房出版、読了。知識人の中国観研究は数多く存在するが民衆のそれは皆無。本書はその嚆矢。「日本社会一般で漠然と共有されていた中国観=一般民衆の中国観」に着目し「教科書・雑誌・地方新聞・公団・演劇…

書評:河添房江『唐物の文化史 舶来品からみた日本』岩波新書、2014年。

河添房江『唐物の文化史 舶来品からみた日本』岩波新書、読了。唐物とはもと中国からの舶来品を指す言葉で、転じて広く異国からもたらされた品を指す。本書は、古代から現代まで、唐物というモノを通して日本文化の変遷を問う一冊。日本人はなぜ舶来品が好き…

日記:「『大切な遍路道』を朝鮮人の手から守りましょう」こそ、空海の精神、そして仏教の精神、そしてもっといえば、宗教とは全く対極の立場

日本仏教の現状に私は懐疑的であるし、大戦下において一部の密教僧侶のルーズベルト呪詛などというソレは確かに噴飯ものだけど、インドで誕生し、中国・朝鮮半島を経て日本へ伝来した三国仏教史としての日本的展開(文化内開花)を考えるならば、その直因は…

覚え書:「今週の本棚:湯川豊・評 『真珠湾収容所の捕虜たち』=オーテス・ケーリ著」、『毎日新聞』2013年07月28日(日)付。

- 今週の本棚:湯川豊・評 『真珠湾収容所の捕虜たち』=オーテス・ケーリ著 毎日新聞 2013年07月28日 東京朝刊 (ちくま学芸文庫・1470円) ◇米情報将校が捉えた“捕虜である友人”の群像 一九四二年に米海軍日本語学校に入学、一年後、海軍少尉としてハワ…

覚え書:「江戸の風評被害 [著]鈴木浩三 [評者]三浦しをん」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 江戸の風評被害 [著]鈴木浩三 [評者]三浦しをん(作家) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]歴史 ■うわさの陰に思惑がうごめく テレビやインターネットがない時代は、情報の伝達速度が遅いし、そのぶん噂(うわさ)も広まりにくかったのではないか、と漠然と思…

覚え書:「黒船来航―日本語が動く [著]清水康行」、『朝日新聞』2013年07月14日(日)付。

- 黒船来航―日本語が動く [著]清水康行 [掲載]2013年07月14日 [ジャンル]歴史 幕末、諸外国との外交交渉に臨んだ日本。近代西洋の論理に直面し、条約文をまとめる際には新たな単語や構文法を開発しなければならない場面もあった。「日米和親条約」などの文章…

覚え書:「書評:秀吉の出自と出世伝説 渡邊大門著」、『東京新聞』2013年06月09日(日)付。

- 【書評】秀吉の出自と出世伝説 渡邊大門 著 2013年6月9日 ◆親しみやすさ、残酷さの謎 [評者]伊東 潤=作家 日本史上において、秀吉ほど毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい人物はいない。いまだにその人格や人間性の評価は一定しない。その輝かしいばかり…

書評:竹内洋『丸山眞男の時代 大学・知識人・ジャーナリズム』中公新書、2005年。

竹内洋『丸山眞男の時代 大学・知識人・ジャーナリズム』中公新書、読了。戦後の市民の政治参加に圧倒的な影響力を及ぼした丸山眞男。本書は、丸山を知識人論の観点から論じ、その歴史的。社会的意義を説き明かす一冊。評伝・ないし丸山論というより、丸山の…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『続 日曜日の歴史学』=山本博文・著」、『毎日新聞』2013年05月26日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『続 日曜日の歴史学』=山本博文・著 毎日新聞 2013年05月26日 東京朝刊 (東京堂出版・1680円) 歴史学にとって最も信頼できる一次史料である古文書。博物館の歴史展示でも中核を占めている。しかし、日本語化した漢文だったりして…

覚え書:「書評:犬の伊勢参り [著]仁科邦男 [評者]田中優子」、『朝日新聞』2013年05月19日(日)付。

- 犬の伊勢参り [著]仁科邦男 [評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化) [掲載]2013年05月19日 [ジャンル]歴史 ■群衆と動物が入り交じった時代 犬が伊勢参りをした最初の記録は一七七一年だそうだ。それ以来まさに「ぞくぞくと」犬の参宮が見られたのだっ…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『兵士たちがみた日露戦争』=横山篤夫、西川寿勝・編著」、『毎日新聞』2013年05月19日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『兵士たちがみた日露戦争』=横山篤夫、西川寿勝・編著 毎日新聞 2013年05月19日 東京朝刊 (雄山閣・2730円) 副題「従軍日記の新資料が語る坂の上の雲」に本書の狙いが現れている。大日本帝国が帝政ロシアを破った日露戦争では、…

覚え書:「書評:プロイセン東アジア遠征と幕末外交 [著]福岡万里子」、『朝日新聞』2013年05月05日(日)付。

- プロイセン東アジア遠征と幕末外交 [著]福岡万里子 [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年05月05日 ■困難多かった「開国」への道 オイレンブルク伯爵が率いるドイツ初の日本訪問使節団は、自然から民俗習慣におよぶ幕末日本の貴重な調査資料を残した。ただし、…

覚え書:「書評:自然災害と民俗 野本寛一著」、『東京新聞』2013年5月5日(日)付。

- 自然災害と民俗 野本寛一 著 2013年5月5日 [評者] 金田久璋 民俗学者・詩人。著書『森の神々と民俗』など。 ◆入念な聞き書き基に考察 たとえば、著者はその重厚な論考の中で、聞き書きした相手の実名と生年を必ず書き記す。それが野本民俗学の調査研究の…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『ポツダム宣言と軍国日本』=古川隆久・著」、『毎日新聞』2013年03月31日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『ポツダム宣言と軍国日本』=古川隆久・著 毎日新聞 2013年03月31日 東京朝刊 (吉川弘文館・2730円) 「敗者の日本史」シリーズ(全20巻)の一冊。1945年の敗戦で、大日本帝国は崩壊した。なぜ、あのような愚かな戦争に行き…

書評:小倉紀蔵『朱子学化する日本近代』藤原書店、2012年。

小倉紀蔵『朱子学化する日本近代』藤原書店、読了。儒教社会から脱皮(西洋化)することが近代日本の歩みであるとの通説を打破するのが本書の狙い。著者によれば「日本の近代化は半儒教的な徳川体制を脱皮し、社会を『再儒教化』する過程」であり、福沢諭吉…

覚え書:「書評:『古代豪族と武士の誕生』 森公章著 評・上野 誠」、『読売新聞』2013年02月24日(日)付。

- 『古代豪族と武士の誕生』 森公章著評・上野 誠(万葉学者・奈良大教授) 昔も役人はつらいよ 某県に出向しているキャリア官僚から、こんな嘆きを聞いたことがある。「上野さん、一月ってもう大変なんです。新年会の梯子はしごで、一日五つや十はざら。た…

覚え書:「今週の本棚:歴史の愉しみ方=磯田道史・著」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。

- 今週の本棚:歴史の愉しみ方 磯田道史 (中公新書・777円) 人は齢を重ねるとともに古の出来事に関心が出てくるもの。自分自身にも歴史が刻まれて行くのだから、自然の理である。だが、ときには天賦の才に恵まれ、幼児のころから過去の事象に異常なほど…

むかしの東京も、マドリードに劣らぬほどの緑に包まれていたのだよ

- 緑陰 数年前の晩夏に、スペインの首都マドリードへ行ったとき、同行の若い友人のS君が、石造りの大建築群を圧倒するような濃い緑にびっくりしていたが、私は、こういった。 「むかしの東京も、マドリードに劣らぬほどの緑に包まれていたのだよ」 「ほんと…

覚え書:「【書評】私の日本古代史(上)(下) 上田正昭著」、『東京新聞』2013年02月03日(日)付。

- 【書評】私の日本古代史(上)(下) 上田正昭著◆<中華>目指した施策を解明 [評者] 岡部 隆志 共立女子短大教授、古代文学。著書『古代文学の表象と論理』。 本書は、日本の古代を縄文時代から律令(りつりょう)国家成立まで通して論じた歴史書である…

覚え書:「擬人化カエル、平泉にも 『鳥獣人物戯画』そっくり 同時期の作か」、『毎日新聞』2013年01月27日(日)付。

- 柳之御所遺跡:擬人化カエル、平泉にも 毎日新聞 2013年01月27日岩手県平泉町の柳之御所遺跡で発見されたカエルが描かれた木片=共同 奥州藤原氏の政務の拠点があった岩手県平泉町の国指定史跡「柳之御所遺跡」から、擬人化されたカエルが墨で描かれた木片…

覚え書:「今週の本棚:五味文彦・評 『織田信長』=池上裕子・著」、『毎日新聞』2013年01月06日(日)付。

- 今週の本棚:五味文彦・評 『織田信長』=池上裕子・著 (吉川弘文館・2415円) ◇徹底して突き放した視線で“英雄”をとらえる 日本歴史学会編集の定評ある人物叢書(そうしょ)であるが、意外と著名人の伝記は少なく、古代の天武天皇や中世の源頼朝、戦…

覚え書:「今週の本棚:富山太佳夫・評 『完訳 日本奥地紀行 1〜3』=イザベラ・バード著」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 今週の本棚:富山太佳夫・評 『完訳 日本奥地紀行 1〜3』=イザベラ・バード著 (平凡社東洋文庫・3150?3360円) ◇英国女性が見た明治の地方文化史 年末から年の初めにかけての温泉旅行というのも悪くはないにしても、さしあたり今年は無理。その…

覚え書:「一揆の原理―日本中世の一揆から現代のSNSまで [著]呉座勇一 [評者]中島岳志」、『朝日新聞』2012年11月25日(日)付。

- 一揆の原理―日本中世の一揆から現代のSNSまで [著]呉座勇一 [評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史) ■現代に通じる 人と人のつながり 一揆というと、農民が竹槍(たけやり)を持って武装蜂起する革命的イメージが共有されてい…

覚え書:「今週の本棚:五味文彦・評 『足利義満 −−公武に君臨した室町将軍』=小川剛生・著」、『毎日新聞』2012年11月04日(日)付。

- 今週の本棚:五味文彦・評 『足利義満 −−公武に君臨した室町将軍』=小川剛生・著 (中公新書・945円) ◇いかにして室町殿は朝廷に入ったのか 室町時代三代将軍の足利義満は、それまで源頼朝によってつくられた鎌倉殿という将軍の型を大きく変えて室町殿…