覚え書:「韓国詩人・尹東柱の足跡解明へ 代表作舞台は高田馬場?」、『東京新聞』2013年01月15日(火)付、夕刊。
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戦時下・朝鮮語で詩作、逮捕
韓国の国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ 一九一七〜四五年)が、戦時下の日本で詩作した東京都内の下宿場所は、新宿区高田馬場とみられることが、民間研究者の調査で分かった。尹の代表作の中で「六畳一間」と表現されている場所だ。なぞだった足跡が明確になることで、作品研究に新しい光をもたらす可能性がある。 (編集委員・五味洋治)
民間研究者が調査
下宿場所を探したのは、尹東柱の調査を続けている千葉県柏市の楊原泰子さん。尹の足跡を訪ね、毎週追悼集会を開いている「詩人尹東柱を記念する立教の会」の会員だ。
代表作の一つ「たやすく書かれた詩」(四二年)は、尹が友人に手紙で送った五編のうち四編の詩に、周辺の様子とともに描かれているが、所在地は分からない。手紙は友人が奇跡的に保存していた。
尹は一九四二年四月から日本に滞在。半年間は東京・池袋にある立教大で学んだ。京都の同志社大に移籍してから、禁じられた朝鮮語で詩を書いたなどとして治安維持法違反で逮捕された。作品の多くが押収されたため、韓国の友人に送った五編が現存する最後の作品とされている、。このため立教時代に書いたとみられる詩の六畳部屋の場所は、日韓の尹の詩のファンにとって大きな関心事だった。、
現在の北朝鮮出身で日本に留学していた元北朝鮮高官(故人)が「尹東柱と一緒に東京で下宿していた」と語っていたことが、最近判明した。日本に残る資料や関係者の証言から、元高官の下宿は「東京市淀橋区諏訪町二〇九菊水館」、「同区諏訪町二一二、石神方」の二カ所だったことが楊原さんの調査で分かった。ともに現在のJR高田馬場駅前の高田馬場一に当たる。どちらかが尹の下宿先だったと推定される。
楊原さんは「関係者の協力でかなり分かってきた。記録に残っている番地に一部不明な点があるのでさらに調査を重ねたい」と話している。
尹東柱を追悼する集いは、今年も命日に近い二月十七日午後二時、立教大チャペルで開かれる。問い合わせは楊原さんの電子メール = pyol−1917@ezweb.ne.jp =へ。
尹東柱(ユン・ドンジュ) 朝鮮開拓民の子孫として中国東北部に生まれる。現在の延世大学(ソウル)を卒業後、42年、立教大学英文科に入り、10月に京都の同志社大に編入。43年7月治安維持法で逮捕され、45年2月16日に27歳で福岡の刑務所で獄死した。叙情的な作品は人気が高いが、日本での生活については不明な部分が多い。
−−「韓国詩人・尹東柱の足跡解明へ 代表作舞台は高田馬場?」、『東京新聞』2013年01月15日(火)付、夕刊。
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http://homepage3.nifty.com/tommy1949/yundongju.html
詩人尹東柱(ユン・ドンジュ)関連資料(2009) 立教大学 pdf