覚え書:「核といのちを考える 被爆国から2016夏:3 原爆・原発、俺たちの問題 石橋蓮司さん」、『朝日新聞』2016年07月22日(金)付。

Resize3759

        • -

核といのちを考える 被爆国から2016夏:3 原爆・原発、俺たちの問題 石橋蓮司さん
2016年7月22日

俳優・石橋蓮司さん
 終戦10年後に公開された映画「ふろたき大将」でデビューしました。原爆投下後、戦争孤児の施設に入った広島の少年が唯一、火をたくのが得意だったことから「ふろたき大将」に任命され、成長する話です。

 撮影のため広島を訪れたのは12歳のころ。原爆に焼かれた街の姿を見て、子どもながらに胸を痛めましたね。原爆ドームのそばには、まだバラック小屋が並んでいた。同世代の原爆孤児もたくさんいた。撮影が終われば俺には帰る場所があったけれど、彼らにはない。戦争や原爆の悲惨さを実感しました。

 作家・辺見庸さんのルポ「もの食う人びと」のドキュメンタリー番組(名古屋テレビ放送)でリポーターもやった。テーマを聞いたら「チェルノブイリだよ。被曝(ひばく)を覚悟して」って。誰もやらないなら俺がやろうって。原発事故から約10年後の現場を訪ねました。

 何より悲惨だと感じたのは、病院で子どもたちの甲状腺が腫れ上がっているのを見たとき。ずっと背負って生きていくのかと思ったら涙を通り越し、怒りを覚えましたね。

 5年前、福島で原発事故が起きたときは、日本はこれで終わるんじゃないかって心底思った。負の遺産はすべて孫世代が背負っていくことになるんだなって。核の問題は俺たちの身に降りかかること。それをわかってほしい。想像してほしい。とにかく核兵器が使われないように努力すること。これだけはすごく言いたい。(聞き手・岡本玄)

     *

 いしばし・れんじ 俳優 74歳 1941年、東京都出身。55年、東映の映画「ふろたき大将」で主演デビュー。続編となるNHK広島放送局制作のドラマ「ふろたき大将 故郷に帰る」(8月4日放送予定)に出演する。
    −−「核といのちを考える 被爆国から2016夏:3 原爆・原発、俺たちの問題 石橋蓮司さん」、『朝日新聞』2016年07月22日(金)付。

        • -


http://www.asahi.com/articles/DA3S12472539.html





 

Resize3028