日記:ジョン・ロック(下川潔訳)『知性の正しい導き方』ちくま学芸文庫

「人間が自分自身を導くにあたって最終的に頼ることができるのは、自分の知性です」。ジョン・ロック(下川潔訳)『知性の正しい導き方』ちくま学芸文庫。人間の自由と自主独立を徹底的に考察し、その論理的導き方を説いたジョン・ロック晩年の名著。本書は自分の頭で考えるための教科書といっても過言ではない。

人間の人間らしさの一つが知性だが、外部の権威と内部の偏見や情念に流され易いのも事実である。だからこそ各人が知性を自主独立させ(知性の自由)、真理の探求のために知性を導いていかなければらない。本書は一般向けに書かれたもので、「指導」とはおよそ対極にある「知性」の自立促す良書である。

20節は読書論。ここだけでも拾い読みして欲しい。

「読書は心に知識の素材を提供するだけであり、思考こそが、私たちが読んだものを自分のものにします。私たちは反芻する動物であり、堆積した大きな塊を詰め込むだけでは十分ではありません。何度も噛みなおさなければ、そこから力や栄養を得ることはできません」。

コンビニエンスな時代だからこそ、若い人には一冊の名著と徹底的に格闘する暇を作って欲しい。「最初の困難が克服されると、この方法は喜びをもたらし、その有益さは肌で感じられるようになりますから、心は力強い激励を受け、活性化され、読書にいそしむようになります」。








知性の正しい導き方 (ちくま学芸文庫)
ジョン ロック
筑摩書房
売り上げランキング: 392,331