2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「書評:『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』 ガイ・ドイッチャー著」、『読売新聞』2012年12月16日(日)付。

- 書評:『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』 ガイ・ドイッチャー著評・池谷裕二(脳研究者・東京大准教授) 心を表す言語の妙味 良質な本だ。言語学者である著者が、新旧数多の文献を引用しながら、私たちの母語がどう「心」に輪郭を彫り込むかを解説…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『性愛空間の文化史』 著者・金益見さん」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『性愛空間の文化史』 著者・金益見さん (ミネルヴァ書房・2100円)◇欲望と羞恥心が育てた場所 珍しいテーマと、女性研究者であることが話題になった2008年の『ラブホテル進化論』(文春新書)に続き、その空間の成り立ちにつ…

現在には、究極性をいれる余地がない。未来もそうだ。

- 現在には、究極性をいれる余地がない。未来もそうだ。なぜなら、未来は、やがて現在がそうなって行くものにすぎないからである。だが、こういうことは知られていない。わたしたちの内部で、究極性とつらなっている欲求の尖端を現在にあてがってみれば、そ…

覚え書:「新閣僚に聞く:安倍政権 復興相・根本匠氏」、『毎日新聞』2012年12月29日(土)付。

- 新閣僚に聞く:安倍政権 復興相・根本匠氏 毎日新聞 2012年12月29日 東京朝刊 根本匠復興相=中村藍撮影 ◇復興政策を総点検−−根本匠(ねもと・たくみ)氏 −−復興庁の人員増強や組織見直しについてどう考えますか。 ◆復興政策を総点検し、まず問題や課題を整…

覚え書:「今週の本棚・この3冊:近代日本のスキャンダル=奥武則・選」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 今週の本棚・この3冊:近代日本のスキャンダル=奥武則・選 <1><決定版>正伝・後藤新平 2(鶴見祐輔著、一海知義校訂/藤原書店/4830円) <2>白蓮れんれん(林真理子著/集英社文庫/700円) <3>ピカレスク 太宰治伝(猪瀬直樹著/文…

覚え書:「引用句辞典 不朽版 王政復古=鹿島茂」、『毎日新聞』2012年12月26日(水)付。

- 引用句辞典 不朽版 王政復古 鹿島茂学ぶことをしない私たち その先に何があるのか 南仏のいくつかの県において、ウルトラ(超王党)派の動きは手のつけられないほどひどくなっていた。(中略)タレーランは彼らを「国内にひそむ外国人」と激しい言葉で非難…

覚え書:「みんなの広場 昭和初期に似ている国民心理」、『毎日新聞』2012年12月28日(金)付。

- みんなの広場 昭和初期に似ている国民心理 版画家・著述業 96(福岡県小郡市)衆院選では12党が乱立し、多種多様な主義主張がなされたが、他国との親善や友好という言葉を私は聞かなかった。平和に関する発言もあまりなかったように思う。各政党はそれらを…

覚え書:「今週の本棚:張競・評 『名画に隠された「二重の謎」』=三浦篤・著」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 今週の本棚:張競・評 『名画に隠された「二重の謎」』=三浦篤・著 (小学館101ビジュアル新書・1155円) ◇推理小説風の仕掛けで奥深い世界を旅する 一冊の本が絵の見方をこれほど変えてくれたのは初めての経験だ。近代絵画の奥深さはいうにおよば…

書評:秋尾沙戸子『スウィング・ジャパン 日系米軍兵ジミー・アラキと占領の記憶』新潮社、2012年。

本書は日系アメリカ人ジェームズ・T・アラキの評伝。太平洋戦争で強制収容された一人であり、陸軍情報部日本語学校の教官。惜しまれつつ除隊し、戦後日本にビ・バップを伝えたJAZZ奏者(ジミー荒木)。そして古典学者の顔も持つ。そんな人間が存在する…

覚え書:「今週の本棚:沼野充義・評 『ビルバオ−ニューヨーク−ビルバオ』=キルメン・ウリベ著」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 今週の本棚:沼野充義・評 『ビルバオ−ニューヨーク−ビルバオ』=キルメン・ウリベ著 (白水社・2520円) ◇時間・空間を自由に旅するバスク語の物語 現代バスク文学の新鋭による長編の邦訳である。訳者もバスク語の世界に分け入ろうとする若手研究者で…

覚え書:「今週の本棚:富山太佳夫・評 『完訳 日本奥地紀行 1〜3』=イザベラ・バード著」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 今週の本棚:富山太佳夫・評 『完訳 日本奥地紀行 1〜3』=イザベラ・バード著 (平凡社東洋文庫・3150?3360円) ◇英国女性が見た明治の地方文化史 年末から年の初めにかけての温泉旅行というのも悪くはないにしても、さしあたり今年は無理。その…

「全体の未来を守るという責任性」という観点から

- 責任性の感覚というのはどういうことかといいますと、人間がみずからの命を守っていくことと同時に人間以外のすべての生あるものの未来、たとえば動物種、植物種の未来、音楽や芸術や映画といった非身体的な価値の未来、あるいは時間に対する人間の関係の…

覚え書:「今週の本棚:堀江敏幸・評 『俺たちが十九の時−小川国夫初期作品集』=小川国夫・著」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 今週の本棚:堀江敏幸・評 『俺たちが十九の時−小川国夫初期作品集』=小川国夫・著 (新潮社・1890円) ◇飾りのない言葉が映す「若き修行者」の苦しみ かつて作家を志す者たちは、一篇の作品を完成させ、世に認められるまで、発表の当てもなくただ書き…

国民が自分の方からわれわれに委任したのだ。……つまりは自業自得ということだ

- ……自分は、国民に同情はしない。国民がみずからこの運命を選択したのであれば、なおのことだ。一九三三年、ドイツの国際連盟脱退の是非を問う国民投票が行われた時、国民は自由投票によって隷属の政治を捨て、果敢な挑戦の政治を選ぶ決断をした[この投票で…

覚え書:「今週の本棚:『「移民列島」ニッポン』=藤巻秀樹著」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 今週の本棚:『「移民列島」ニッポン』=藤巻秀樹著 他文化共生社会に生きる (藤原書店・3150円) 日本に住む「移民」と正面から向き合ったルポルタージュである。「日本にホントに移民がいるのか」とぶかる向きに、彼らの苦悩や喜びの肉声を伝え、そ…

覚え書:「時代の風:人口減国家の債務解消=仏経済学者・思想家、ジャック・アタリ」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 時代の風:人口減国家の債務解消=仏経済学者・思想家、ジャック・アタリ 毎日新聞 2012年12月23日 東京朝刊 ◇技術革新と成長不可欠 日本にとって一番の問題は人口だ。この問題こそ国民的議論が必要だ。16日の衆院選で、日本の人口が多すぎるので1億人ま…

書評:サルヴァトーレ・セッティス(石井朗訳)『“古典的なるもの”の未来―明日の世界の形を描くために』ありな書房、2012年。

サルヴァトーレ・セッティス(石井朗訳)『“古典的なるもの”の未来―明日の世界の形を描くために』ありな書房、2012年。古代から現代へ至るヨーロッパ精神史を“classical”を切り口にしながら、その本質といってよい「ヨーロッパとは何か」を浮き彫りにする好…

覚え書:「みんなの広場 普通の常識で見極めよう」、『毎日新聞』2012年12月21日(金)付。

- みんなの広場 普通の常識で見極めよう 主婦 65(大阪市生野区) 第三極として注目された「日本維新の会」の代表代行、橋下徹・大阪市長を連日マスコミが取り上げる中で、疑問が生まれた。衆議院解散の3日後から全国遊説に回ったと伝えられたが、市民感覚…

覚え書:「書評:社会運動の戸惑い [著]山口智美・斉藤正美・荻上チキ [評者]中島岳志」、『朝日新聞』2012年12月16日(日)付。

- 社会運動の戸惑い [著]山口智美・斉藤正美・荻上チキ [評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)■フェミニズムと保守との対話 1990年代半ばに登場した「ジェンダーフリー」という言葉は、フェミニストによって政治化され、99…

真の自由、真の始まりがあるとすれば、それは、つねに運命の頂点にあって永遠に運命をやり直すような真の現在を要請するであろう

- 政治的な意味でのさまざまな自由は、自由な精神の内容を汲み尽くすものではない。ヨーロッパ文明にとっては、自由とは人間の運命に関するひとつの考え方を意味している。人間の運命とは、人間に行動を促す世界ならびにその諸可能性を前にした人間の絶対的…

覚え書:「書評:ヴェールの政治学 [著]ジョーン・W・スコット [評者]鷲田清一」、『朝日新聞』2012年12月16日(日)付。

- ヴェールの政治学 [著]ジョーン・W・スコット [評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)■仏共和制の矛盾、映し出した排除 2004年、フランス議会は、公立学校において宗教的帰属を「誇示」するアイテムの着用を禁じた法律を可決した。10年には、公共の場…

覚え書:「みんなの広場 人命に優先するものはない」、『毎日新聞』2012年12月21日(金)付。

- みんなの広場 人命に優先するものはない 会社員 60(神戸市中央区) 福島で原発事故が起きて既に2度目の年末を迎えた。この間、原発に依存し続けるのか否か、が激しく問われてきた。今回の衆院選でも色合いの違いこそあれ、どちらを選択するのかが問われ…

覚え書:「【書評】江戸の読書会 前田勉著」、『東京新聞』2012年12月16日(日)付。

- 【書評】江戸の読書会 前田 勉 著 ◆異見を認める自由な精神 [評者]姜 信子 作家。著書に『棄郷ノート』『うたのおくりもの』など。 明治維新から百五十年このかた、日本の近代のはじまりを告げた御一新にあやかって、なにかと維新を叫ぶ人々が繰り返し出…

現にある宗教と宗教とが互いに磨き合うこと

- 北森 曾我量深先生は私が尊敬する仏教学者の一人ですが、「往生と成仏」という論文で次のようにいっておられます。 われわれはやはりキリスト教でも仏教でも、お互いに語り合うて、そうして別に仏教者がキリスト教にかわるとか、キリスト教が仏教にかわる…

覚え書:「みんなの広場 考えさせられた初の総選挙」、『毎日新聞』2012年12月18日(火)付。

- みんなの広場 考えさせられた初の総選挙 学生 20(横浜市南区) 私にとって初の総選挙はいろいろなことを考えさせられるものとなりました。初当選した議員は晴れて政治家になれたこと、再選された議員は地位を守れたことを喜ぶよりも、投票率の低さを悲し…

覚え書:「私の社会保障論 投票を促すことの難しさ=湯浅誠」、『毎日新聞』2012年12月21日(金)付。

- 暮らしの明日 私の社会保障論 投票を促すことの難しさ 湯浅誠 反貧困ネットワーク事務局長求められる「共感の技法」 昨年の震災・原発事故以来初となった今回の衆院選は、終わってみれば自民党への再度の政権交代をもたらし、投票率は戦後最低だった。低当…

覚え書:「記者の目:安倍政権と歴史問題=西川恵(外信部)」、『毎日新聞』2012年12月18日(火)付。

- 記者の目:安倍政権と歴史問題=西川恵(外信部) 日本の右傾化が内外で話題となる中、その空気を体現するように党内右派の安倍晋三氏率いる自民党が総選挙で圧勝した。安倍新首相の外交における重要なポイントは、前回と同様、歴史問題をどう管理するかだ…

覚え書:「みんなの広場 石原代表の核兵器発言を危惧」、『毎日新聞』2012年12月18日(火)付。

- みんなの広場 石原代表の核兵器発言を危惧 無職 75(京都府精華町) 衆院選で3番目の議席数を獲得した、結成して間もない日本維新の会。その代表である石原慎太郎氏が公示前に日本外国特派員協会で講演した際の発言に危惧を抱いています。 「日本は核兵器…

「さいきんのわかいものは」よく考えている

- 長谷川平蔵の足どりがゆらゆらとゆれはじめた。気もちがよかったので、二人がのんだ酒は相当の量であり、平蔵がこれなのだから、忠吾のほうはたまったものではない。 「ああ、たまりませぬ。ああ、もう……ご、極楽でございます……こ、こうなるともう、やはり…

覚え書:「今週の本棚:井波律子・評 『われらが背きし者』=ジョン・ル・カレ著」、『毎日新聞』2012年12月16日(日)付。

- 今週の本棚:井波律子・評 『われらが背きし者』=ジョン・ル・カレ著 (岩波書店・2730円) ◇世界を包む謎、実感させる「巨匠」最新作 『寒い国から帰ってきたスパイ』など、スパイ小説で知られる英国ミステリーの巨匠ジョン・ル・カレの最新作。ル・…