2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧
- 今週の本棚:若島正・評 『夢幻諸島から』=クリストファー・プリースト著 毎日新聞 2013年10月27日 東京朝刊 (早川書房・1785円) ◇解けない謎に満ちた夢の中の島をめぐる物語 昨日の晩、不思議な夢を見た。創意工夫に満ちた思弁小説の書き手である、…
- 今週の本棚:伊東光晴・評 『戦後歴程−平和憲法を持つ国の経済人として』=品川正治・著 毎日新聞 2013年10月27日 東京朝刊 (岩波書店・1890円) ◇“もう一つの国”を求めた実業人を悼む “もう一つの日本”を求め続け、8月に亡くなった一実業人(元日本…
- 憲法・メディア法と刑事法の研究者が二十八日、それぞれ特定秘密保護法案に反対する声明を発表した。声明に賛成する研究者は憲法・メディア法が百四十人、刑事法が百二十人を超えた。憲法の「知る権利」や「国民主権」を損なう法案の実態が明らかになるに…
- 引用句辞典 トレンド編 鹿島茂[大学入試制度改革] 教育の本質はエロス 文科省には無理な話ソクラテスよ、人間はみな、子を宿している。これは体の場合でもあっても、心の場合であっても、同様にいえることだ。そして、時が満ちると、子をなしたくなる。…
- 今週の本棚・本と人:『晩年様式集』 著者・大江健三郎さん 毎日新聞 2013年10月27日 東京朝刊 ◇晩年様式集(イン・レイト・スタイル) (講談社・1890円) ◇生涯をかけて問う状況−−著者・大江健三郎(おおえ・けんざぶろう)さん 作家自身と重なる長江…
- 今週の本棚:池澤夏樹・評 『俳優のノート』=山崎努・著 毎日新聞 2013年10月27日 東京朝刊 (文春文庫・693円) ◇演出家、翻訳者と芝居を作る羨ましき乱闘 一つの舞台ができあがる過程を主演俳優が綿密に日記につける。準備と稽古(けいこ)、そして公…
- 我々が悪と呼ぶものは、仮象の領域に属している。なぜなら、見ることができる者にとって、このいわゆる悪は、可能なもののうち最良の世界において善を最大化することに貢献するからである。技術文明は、原子力なしでやっていくことはできない。そして、そ…
- 今週の本棚:高樹のぶ子・評 『書簡集 1812−1876』=ジョルジュ・サンド著 毎日新聞 2013年10月27日 東京朝刊 (藤原書店・6930円) ◇旧社会に真向かう女性作家の知性と恋 フランス中部の小村、ノアンに建つジョルジュ・サンドの館。ショパンと…
- 今週の本棚・新刊:『ガガーリン 世界初の宇宙飛行士、伝説の裏側で』=J・ドーラン、P・ビゾニー著 毎日新聞 2013年10月27日 東京朝刊 (河出書房新社・2520円) 人類が初めて宇宙に出て半世紀余。お金さえあれば誰でも宇宙旅行に応募できる時代とな…
- 人口減少、少子高齢化、中心市街地の衰退、限界集落、森林問題、無縁社会など、社会的な課題を美と共感の力で解決する。そのために重要なのは、課題に直面している本人たちが力を合わせること。そのきっかけをつくりだすのがコミュニティデザインの仕事だ…
- 今週の本棚:加藤陽子・評 『ミシンと日本の近代−消費者の創出』=アンドルー・ゴードン著 毎日新聞 2013年10月27日 東京朝刊 (みすず書房・3570円) ◇戦後成長を支えた女性たちの内なる奮闘史 この本を書いたゴードン教授はハーバード大学で日本近現…
- 今週の本棚・新刊:『フーコーの闘争 <統治する主体>の誕生』=箱田徹・著 毎日新聞 2013年10月27日 東京朝刊 (慶應義塾大学出版会・2625円) 思想家、ミシェル・フーコーの権力論を、パリ五月革命など「68年」以後の政治経験の理論的到達点として…
- 記者の目:在特会ヘイトスピーチ違法判決=小泉大士 毎日新聞 2013年10月24日 大音量の街宣活動で京都の朝鮮学校を中傷した「在日特権を許さない市民の会」(在特会)側に、京都地裁は今月7日、約1226万円の賠償と街宣活動の禁止を命じた。民族や出自…
- ポラロイド伝説―無謀なほどの独創性で世界を魅了する [著]クリストファー・ボナノス [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年10月20日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■超天才が生んだ発明群の顛末 アップル社のスティーブ・ジョブズが深い尊敬のあまり、アメ…
- さようなら、オレンジ [著]岩城けい [評者]小野正嗣(作家・明治学院大学准教授) [掲載]2013年10月20日 [ジャンル]文芸 ■言葉の壁と格闘する女性たち 開くのをためらう本がある。こんな小説をずっと読みたかったのだ!と心を鷲掴(わしづか)みされる予感が…
- 若者の成長にとって試練は重要だ、といわれることは昔からしばしばある、だがこれらを見れば、若者の成長にとって必要なのは試練一般ではなく、それがきちんと成長や自信の獲得に結びつく、そういう試練である。近年の状況を見ると、一部の大人たちの言説…
- 孤立無業(SNEP) [著]玄田有史 [評者]水無田気流(詩人・社会学者) [掲載]2013年10月20日 [ジャンル]社会 ■人間の孤立が就労意欲を奪う 日本の若年無業者を「ニート」概念を用いて論じた玄田有史が、新たな分析視角を提唱した。ニートが15歳から34…
- 剣術修行の旅日記―佐賀藩・葉隠武士の「諸国廻歴日録」を読む [著]永井義男 [評者]三浦しをん(作家) [掲載]2013年10月20日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■青春きらめく、藩士の「留学」 嘉永6年(1853年)、佐賀藩士・牟田文之助(満22歳)は…
- みんなの広場 何が面白いのでしょうか? 会社員 46(静岡市駿河区) 13日の本紙「仲畑万能川柳」に「視聴者をレベル低いと見て企画」という句がありました。 先日、何気なく見ていたテレビ番組。芸能人がドッキリをしかけられキャーキャー騒いでいました。…
- 摘便とお花見―看護の語りの現象学 [著]村上靖彦 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2013年10月20日 [ジャンル]人文 社会 ■「ケアとは何か」を語る言葉 摘便(てきべん)、とは耳慣れない言葉だが、看護用語であろうか。摘芽、摘花はある。芽や花を摘むことであ…
- 科学と人間―科学が社会にできること [著]佐藤文隆/科学者が人間であること [著]中村桂子 [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2013年10月20日■数値化が進める近代文明の落日 この2冊は、どちらも科学がますます専門化そして数値化することに対す…
- 処で私が不図胸に浮かんで或人に聞て見たのは外でない今華盛頓(ワシソトン)の子孫は如何なつて居るかと尋ねた所が其人の云ふに華盛頓の子孫には女がある筈だ 今如何して居るか知らないが何でも誰かの内室になつて居る容子だと如何にも冷淡な答で何とも思…
- 蓼科日記 抄 「蓼科日記」刊行会 編 2013年10月20日 ◆小津映画を囲む人々 [評者]稲川方人=詩人 小津安二郎の映画はその多くが野田高梧(こうご)の脚本で撮られている。戦後は昭和二十四年の『晩春』以降、代表作『東京物語』をはじめ遺作の『秋刀魚の…
- 命の格差は止められるか イチロー・カワチ 著 2013年10月20日 ◆健康は社会の仕組みから [評者]湯浅誠=社会活動家 ドラマチックな本だ。 著者は公衆衛生を専門とするハーバード大学教授。平易な語りの中に豊富な実証研究の成果が盛り込まれ、健康は一人…
- 発言 海外から 文豪のすべて読んで フョークラ・トルスタヤ トルストイ博物館職員でトルストイの玄孫 今年6月からロシアの文豪レフ・トルストイ(1828〜1910年)の全著作90巻を電子ファイル化し、インターネットのサイト(www.tolstoy.ru)で無…
- 物語 朝鮮王朝の滅亡 金 重明 著 2013年10月20日 ◆日本関与を鋭角的に記す [評者]小倉紀蔵=京都大教授 朝鮮王朝の滅びに日本が深く関わっていること。このことはもちろん、現在の日韓関係にも深く影を落としている。韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が日…
- 今週の本棚:小島ゆかり・評 『天使エスメラルダ 9つの物語』=ドン・デリーロ著 毎日新聞 2013年10月20日 東京朝刊 (新潮社・2520円) ◇かすかな心の歪みを捉えるあざやかな短篇集 現代アメリカ文学の作家ドン・デリーロの初の短篇集。デリーロの作…
- 論点 [国のために死ぬこと] 靖国神社は昨日から秋の例大祭。安倍晋三首相は言う。 「国のために戦って命を落とした人たちに尊崇の念を表すのは当然。欧米各国でも行われている自然な国家儀礼で、非難されるいわれはない」 耳になじんだこの説明を、歴史…
- 今週の本棚・この3冊:ふるさと会津=唐橋ユミ・選 毎日新聞 2013年10月20日 東京朝刊 <1>幕末会津の女たち、男たち(中村彰彦著/文藝春秋/1470円) <2>名君の碑(中村彰彦著/文春文庫/960円) <3>炎は消えず 瓜生岩子物語(廣木明美…
- 今週の本棚:中村達也・評 『繁栄の呪縛を超えて−貧困なき発展の経済学』=J=P・フィトゥシ、E・ローラン著 毎日新聞 2013年10月20日 東京朝刊 (新泉社・1995円) ◇地球環境問題の背後にあるものを知る 猛暑、豪雨、竜巻、そして海水温の上昇によ…