2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

人間を人間自身から疎隔し、わけても人間が自らの自由の意識に至る通路を塞いできたということを、指摘することが必要

- 神の思想の真理性をめぐる営為を人間の理解に集中させる態度に対応して、神信仰を無神論的に批判する態度のうちにもそれと類似の展開が見られる。フォイエルバッハ以降の近代の無神論が、例外なく人間学的に議論しているのは偶然ではない。このことは、マ…

中庸は、おもしろくない教義かもしれないが、実に多くの事柄において真実の教義である

- 中庸というのは、おもしろくない教義である。忘れもしない、私も若いときには中庸を軽蔑と憤りをもって退けたものだ。なにしろ、当時、私が賛美したのは英雄的な極端であったのだ。しかし、真理はいつもおもしろいわけでない。一方、おもしろいというだけ…

[東日本大震災の記録]4月28日。

節電のため、照明を落として運行中のJR中央線の車内。 ⇒ ココログ版 [東日本大震災の記録]4月28日。: Essais d'herméneutique

研究ノート:ケルゼン、多数決原理の由来としての自由の概念

- 自由の理念から、多数決原理が導き出さるべきものであって−−多く起りがちであるような−−平等の理念からではない。人間の意思が相互に平等であるということは、多数決原理の前提とはなりうるだろう。しかし、この平等であるということは単なる比喩であって…

「いかにして抱負経綸を行うべきか」というよりも「いかにして最良最善の意見に実現の機会を与うべきか」ということ

- 政治運動に右の如き主観的根本原則と客観的根本原則との二方面を肝要とするのは、ちょうど我々個人の日常生活において断行と省察とを修養工夫の二大要事とするに似て居ると思う。吾々はナニをするについても最善と信ずることは勇敢に断行しなくてはならず…

「桜花 春くははれる 年だにも 人の心に あかれやはせぬ 伊勢」、『古今和歌集』「春歌上 0061」

- 「桜花 春くははれる 年だにも 人の心に あかれやはせぬ 伊勢」、『古今和歌集』「春歌上 0061」。 - 一般的なソメイヨシノの類はすでに葉桜となりましたが、ヤエザクラでしょうか……。 近所の公園で美しく花開いておりましたのでひとつ。暑くもなく・寒く…

僕はどこまでエポケーしても、今回の東日本大震災を「天罰」だの云々といいたくはない

- かくかくのとらえ方とか、「この」世界についての意見といったものは、どれも、あらかじめ与えられている世界にその基盤をもっている。わたしが判断中止によってまぬがれようとしているのは、まさにこの基盤なのである。すなわちわたしは、世界を越えてい…

【研究ノート】新渡戸稲造の愛国観……人道正義の競争として

- 我国には国を愛する人は多くあるが、国を憂うる人は甚だ少い。しかしてその国を愛するものも盲目的に愛するものがありはせぬかを虞る。かつてハイネの詩の中に、仏人が国家を愛するは妾を愛する如く、独逸人は祖母を愛する如く、英国人は正妻を愛するが如…

福岡空港で「角打(かくうち)」! 

- 同じ事柄でも、朝と晩ではひとは同じように考えない。だが、夜の思考は朝の精神とでは、どちらが真実だろうか? 二様の解答があり、したがって人間にも二つの種類があるのだ。 −−カミュ(高畠正明訳)『太陽の讃歌』新潮文庫、昭和四十九年、115頁。 - 酒…

「怒りを原動力」にして新しい「創造」を目ざす活動へ向けて

※写真は、4/15、羽田発福岡行のJAL便より、東京ディズニーリゾートを辺りを空撮した一枚。 - 「緒方さんの行動のもとになっているエネルギーは何でしょうか?」 「何だか知りませんけれどもね……」 数秒の沈黙のあと、緒方さんは続けた。 「怒りかも知れない…

【資料】新学期を迎えるみなさんへ 内閣総理大臣・文部科学大臣からのメッセージ

- 新学期を迎えるみなさんへ みなさん、入学、進級おめでとうございます。 この4月から、また新しいお友達をたくさん作ってください。 みなさんは、この4月、希望に満ちた春を迎えるはずでした。 しかし、この春は、私たちにとって、とてもつらい春になって…

アレント「はじめに言葉ありき」、「はじめに犯罪ありき」

- たしかに、戦争と革命は記録されている歴史のなかで大きな役割を果たしている。とはいえ、その双方においてともに暴力が支配的な役割を果たしているかぎり、両者とも厳密にいえば政治の領域外で起こっているのである。この事実のために、戦争と革命を経験…

H.アレント 「よりましだ」とする発想の盲点

- 今日、戦争問題の論争のなかに自由の概念がとりいれられているのを耳にすると、いつも妙にちぐはぐな気持ちになるのは、多分戦争を国際政治の最後の手段として正当化してきたこのような伝統的議論の中に、この自由の論拠がまるで欠けていたからであろう。…

旨いもの・酒巡礼記:福岡県福岡市編「日本再生酒場 もつやき処 い志井」

- 二合の酒で、いつになく長谷川平蔵は、微酔いになった。 日暮れには、まだ、間がある。 「窓を開けてくれぬか」 お酒を運んであらわれた座敷女中にそういいつけた平蔵は、 「おだやかな日和がつづくことよ」 独言(ひとりごと)のように、いった。 −−池波…

旨いもの・酒巡礼記:福岡県・福岡市編「玄海鮮魚 博多 いねや」

福岡へ出張する直前、昨年の福岡スクーリングで受講された学生さんからメールがありました。今回、別の科目を福岡で履修予定で、昨年のメンバーも少し集まりますから、先生、お時間ありますか?というものでしたが、「大丈夫ですよ」と答えて、1日目の授業…

旨いもの・酒巡礼記:福岡県・福岡市編「海物(かいぶつ)」

福岡によると必ず訪問するのが、居酒屋「海物」です。2007年に初めて地方スクーリングで担当したのが福岡市会場でのそれでしたが、その折り、学生さんから教えていただき、当時は住吉店を訪れてから度肝を抜かれたわけですが、のれんもなければ看板もなにも…

あらゆる産業は人間の生活のためである。利潤もそうである

- 経済組織も一つの人倫的組織であり、従って「財」を媒介として人倫の道を実現しようとするものである。利潤を自己目的とし、無制限に利潤を追求する立場は、人倫の喪失態にほかならない。あらゆる産業は人間の生活のためである。利潤もそうである。そうし…

【覚え書】アマルティア・センのハンチントン文明観批判

- サミュエル・ハンチントン〔アメリカの政治学者。『文明の衝突』の著者〕は、インドを「ヒンドゥー文明」として描きました。これはインドネシアとパキスタンを除いて、インドに世界のどこよりも多くのイスラム教徒(約一億二五〇〇万人−−イギリスとフラン…

キャンパスの桜:「世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし 在原業平」

- 「世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし 在原業平」『古今和歌集』(巻一春歌上 0053) - 今日は休日だったのですが、週末の出張で使用する航空券を取りに大学まで出かけました。一般入試の試験官以来だったので、2ヶ月ぶりでしょうか…

僕は11日をいつも忘れない。

- 最初に目に着きしは事務室の屋根瓦は一トたまりもなくゆすぶり落される光景也。地上の震動にからだもふら\/する 之は容易ならぬ地震だわいと思ふ間に遙に研究室の二階の上の煉瓦壁、法文科本館の夫れ六畳敷八畳敷位のがボタ\/落ち且所々縦に亀裂を生ぜ…

田中正造「亡国に至るを知らざればこれ即ち亡国の儀につき質問書」

- 田中正造「亡国に至るを知らざればこれ即ち亡国の儀につき質問書」 明治33年2月17日、第14回議会 亡国ニ至ルヲシラザレバコレ即チ亡国ノ儀ニツキ質問書 右成規ニヨリ提出候也 明治三十三年二月十七日 提出者 田中正造 賛同者 石原半右衛門一 民ヲ殺スハ国…

田中正造 日記 明治31年4月2日

- 日記 明治31年4月2日 四月二日 東京芝の芝浦の塩湯ニ養生す、一月以来の病苦聊か補ふあり。 一、一声高く嗚呼関東ハ不幸なりと叫びたり。 声立てよ嗚呼関東ハ不幸なり 国民は、法律師ノ奴隷タルベカラズ。被害民ハ被害地を指テ、我ハこの国土の所有主タ…

自分と他の人びととの間に、忠実な協力の心を作ること

- ところで、ルールを守るには、相手があって可能なことであるから、好むと好まざるとにかかわらず相手の存在を認めねばならない。ところが、もともと前頭連合野は、相手を否定しようとしているのである。その前頭連合野に、どういいきかせて相手を認めさせ…

【研究ノート】トインビー 「歴史は繰りかえすか」

- 結論はこうなるのであります−−人間の歴史は、人間の意志がその周囲の情況の主人たるに最も近い状態にあり、また物理的自然の循環に支配されることの最も少ない状態にあると見られるような人間活動の分野においてさえも、ある一つの重要な意味において、現…

キュリー夫人、「そこであきらめたり、無関心になったりしないで、自分たちでやれば未来が開けてくる、という希望」を

- −−このままでは未来は暗いですか。 マリー そう。いや、私はいかなるときにも悲観論者ではないのです。 これは私の人生の経験から言うことですが、どんな場合にもあきらめは禁物です。あきらめることで、いっそう悪い結果になります。いつも希望をもって、…

東京の夜桜:「一つ一つの対象がそれ固有の色調をもっているという従来の伝統的な考え方の全面的な否定」!

- 太陽の光によって、明るさのみならず、対象の色調も変化するというこの認識は、別の言葉でいえば、一つ一つの対象がそれ固有の色調をもっているという従来の伝統的な考え方の全面的な否定であった。(中略)一見白色光のように見える太陽光線が実は七彩の…

【覚え書】新渡戸稲造「真の愛国心」、『実業之日本』一九二五年一月

- 我国には国を愛する人は多くあるが、国を憂うる人は甚だ少ない。しかしてその国を愛するものも盲目的に愛するものがありはせぬかを虞る。かつてハイネの詩の中に、仏人が国家を愛するのは妾を愛するが如く、独逸人は祖母を愛する如く、英国人は正妻を愛す…

「急速な成長」=「すなわち実力を試されず」前進……というやつ

- 日本の封建国家から近代国家への変貌の速度を説明するには、左の二つの過程が偶然に同時的に起こったことをまず念頭におかなければならない。すなわち、(一)封建制度の断末魔の苦悶と、(二)日本に加えられた西洋諸国の圧力がこれである。内部的危機と…

レヴィナス:「不眠の効用について(ベルトラン・レヴィヨンとの対話)」

- −−エマニュエル・レヴィナス、たとえば高校三年生の若者がやってきて、あなたが哲学をどのように定義するかをたずねたと想像してみましょう。あなたはその若者に何と答えますか。 哲学とは人間が語ることがら、また思考しながら語りあうことがらについて問…

[東日本大震災の記録]4月4日。

1.検針票のあとに送付されてきた「平成23年3月分の検針中止に関するお詫び」ハガキ。 ⇒ 「説明不足」だそうです。2.ニュースでも報道されておりましたが、関東でのミネラル・ウォーター不足を補うために西日本から転送されてきた「天然水」。サントリー…