2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧
- 死者たちの七日間 [著]余華 [評者]吉岡桂子(本社編集委員) [掲載]2014年08月24日 [ジャンル]文芸 ■この世の絶望、冷めた表現で 新聞記事のスクラップなのか。それとも、ガルシア・マルケスや魯迅のような味わいなのか。 著者は、ノーベル文学賞をうけた…
- トワイライト・シャッフル [著]乙川優三郎 [評者]三浦しをん(作家) [掲載]2014年08月24日 [ジャンル]文芸 ■文章の波間に身を任せる快楽 房総半島の、太平洋に面した町。小さな漁港があり、かつては海女がたくさんいた。高台は別荘地として造成され、新た…
- 戦後日本公害史論 [著]宮本憲一 [評者]諸富徹(京都大学教授・経済学) [掲載]2014年08月24日 [ジャンル]科学・生物 ■下からつくられた日本の環境政策 公害研究の第一人者の手による決定版がついに出版された。今後、本書を繙(ひもと)くことなしに公害を…
8月30日(土)は、南原繁研究会第3回研究発表会(学士会館、13:00〜)に参加し、ひとつ発表してきました。プログラムは次の通り第1部 「国家と宗教」の岩波文庫化をめぐって 加藤節 南原繁と平和思想 戦後和解と戦争罪責に関する一考察 豊川慎 東大キリ…
- 【書く人】有限な世界どう生きる『人類が永遠に続くのではないとしたら』 文芸評論家 加藤 典洋さん(66) 2014年8月24日 『敗戦後論』などで戦後社会に向き合ってきた著者が、3・11後の思索の軌跡をまとめたスケールの大きな評論だ。人類はこれから…
- 吾輩ハ猫ニナル 横山 悠太 著 2014年8月24日 ◆独特の和漢混淆体で [評者]仲俣暁生=文芸評論家 今年の群像新人文学賞受賞作であり、芥川賞候補にもなった話題作。「日本語を学ぶ中国人を読者に想定した小説」を書こうとする「わたくし」が語り手となる額…
- 北斎漫画 日本マンガの原点 清水 勲 著 2014年8月24日 ◆ナンセンス 今に通じ [評者]秋竜山=漫画家 北斎漫画研究の第一人者である清水さんが北斎漫画を解析する。北斎漫画というと、江戸時代の古くさい画風であり、現代漫画とかなりのズレがあるように思…
特集ワイド:孤高の木版漫画家・藤宮史さん、6畳間からの憂い 毎日新聞 2014年08月28日 東京夕刊(写真キャプション)雑然とした6畳間で木版漫画に彩色している。「坂口安吾っぽいですかね」と藤宮さん(写真キャプション)藤宮さんの木版漫画「セメント樽…
- 日本人論争 大西巨人回想 大西 巨人 著 2014年8月24日 ◆反戦作家と割り切れぬ謎 [評者]〓秀実=文芸評論家 本書は、本年三月に亡くなった大西巨人の、一九九六年以降の批評やインタヴューの集成である。大西の生前に企画されていたが、結果的に遺稿集と…
毎日新聞 2014年08月24日(日)付。 - 今週の本棚:村上陽一郎・評 『医療の選択』=桐野高明・著 毎日新聞 2014年08月24日 東京朝刊 (岩波新書・842円) ◇医療の将来を考える絶好の書 最近「熟議型意見調査」(DP)という手法が、話題になっている。前…
- 今週の本棚:湯川豊・評 『屋根屋』=村田喜代子・著 毎日新聞 2014年08月24日 東京朝刊 (講談社・1728円) ◇夢に物語の道筋つけ、別世界へ ちょっと類例を見ないような、楽しい小説である。どういうふうに楽しいのか、伝えるのが難しいのだけれど。 …
広島土砂災害現場にネット右翼が「朝鮮人駆除自警団」として出動⇒わずか6時間で解散するも通報祭に - NAVER まとめ 東日本大震災でも、同様なデマが散見されたものの、倒壊した商店や無人の家から略奪してたのは日本人。しかし「日本人の礼儀正しさ」だの、…
- 今週の本棚:鴻巣友季子・評 『かたづの!』=中島京子・著 毎日新聞 2014年08月24日 東京朝刊 (集英社・1944円) ◇「戦わない力」貫く君主に作者の姿勢 江戸初期に遠野に実在した珍しい女大名を主役に据え、遠野の「叱り角」と言われる片角(かたづの…
- 今週の本棚・新刊:『ブラボー 隠されたビキニ水爆実験の真実』=高瀬毅・著 毎日新聞 2014年08月24日 東京朝刊 (平凡社・1944円) 1954年、米国の水爆実験で第五福竜丸が被ばくした「ビキニ事件」とはいったい何だったのか。これまで語られてきた…
- 今週の本棚:荒川洋治・評 『日日の麺麭・風貌』=小山清・著 毎日新聞 2014年08月24日 東京朝刊 (講談社文芸文庫・1512円) ◇文学の新しい情景を創り出す名品 <けれどもその静かな生活のたたずまいの中にいる青年の無心なさまを眺めると、たとえば光…
- くらしの明日 私の社会保障論 男女交際不活発社会 自治体「婚活支援」の是非 山田昌弘 中央大教授 国の予算がついたおかげで、いわゆる「婚活支援」、つまり、結婚したい人に出会いの機会を提供したり、つきあい方講座などを開いたりする自治体が増えてき…
- 今週の本棚・本と人:『悟浄出立』 著者・万城目学さん 毎日新聞 2014年08月24日 東京朝刊 (新潮社・1404円) ◇生身の人間の内面に迫る−−万城目学(まきめ・まなぶ)さん 特殊能力者が登場する『偉大なる、しゅららぼん』、ニートの忍者の物語『とっぴ…
- 今週の本棚・新刊:『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』=佐々涼子・著 毎日新聞 2014年08月24日 東京朝刊 (早川書房・1620円) 東日本大震災が起きた時、新聞用紙が不足して新聞各社は用紙確保に奔走した。同様に出版業界も紙不足に陥り、雑誌や…
- 今週の本棚・新刊:『ジェントリフィケーションと報復都市』=ニール・スミス著 毎日新聞 2014年08月24日 東京朝刊 (ミネルヴァ書房・6264円) ジェントリフィケーションとは、比較的貧困層が多く「停滞」してきたとされる大都市中心部が、再開発など…
どういう訳だか分からないのだけど、うちのお子さま(小5)が、割と生命尊厳の原理主義者。もちろん、肉も魚も「食べる」ので、その意義は十全に理解しているとは言い難いのだけど、目の前で、生命が「殺される」ことには断固として立ち向かう。これは在る…
- 駄作 [著]ジェシー・ケラーマン [掲載]2014年08月17日 [ジャンル]文芸 この読後感。思いがけない爽やかな感動をありがとうと言うべきか、なんだそりゃと腹を立てるべきか。 ベストセラー作家だった親友がのこした未発表作を盗み出し、主人公は一躍売れっ…
- 翻訳問答−−英語と日本語 行ったり来たり [著]片岡義男・鴻巣友季子 [掲載]2014年08月17日 [ジャンル]文芸 英語を日本語に「翻訳」するとはどういうことなのか。「あてはめ主義」で行くとクールに語る作家・片岡と、「文体が降りてくる」という憑依(ひょ…
- 「ニセ医学」に騙されないために−−危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る! [著]NATROM [評者]荻上チキ(「シノドス」編集長・評論家) [掲載]2014年08月17日 [ジャンル]社会 ■インチキ予防に「読むワクチン」 「水に汚い言葉をかけると壊れた…
- 書評 植木雅俊・著 仏教学者 中村元 求道のことばと思想前田耕作多角的な思想の全軌跡活動的な生涯とその開かれた視線をあますところなく活写 1979年12月末、ブレジネフはソ連軍のアフガニスタン侵攻を許可する書類に署名した。『広辞苑』(第3版・…
- シャバはつらいよ [著]大野更紗 [評者]いとうせいこう(作家・クリエーター) [掲載]2014年08月17日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■難病・震災、ユーモア交え描く 第1作『困ってるひと』では若くして突然始まってしまった自らの難病(自己免疫疾患系…
- 「インクルーシブデザイン」という発想−−排除しないプロセスのデザイン [著]ジュリア・カセム [評者]水無田気流(詩人・社会学者) [掲載]2014年08月17日 [ジャンル]アート・ファッション・芸能 ■多様なものを包み込む挑戦 包摂を意味する「インクルーシブ…
- 100%再生可能へ!−−ドイツの市民エネルギー企業 [著]村上敦池・田憲昭・滝川薫 [評者]諸富徹(京都大学教授・経済学) [掲載]2014年08月17日 [ジャンル]科学・生物 ■「無数の小さな主体」が変革担う ドイツでは、2013年に総電力消費量のうち、太陽…
- 読書 アダム・スミスとその時代 ニコラス・フィリップソン・著 永井大輔・訳近代経済学の父の生涯と思想 近代経済学の父=アダム・スミスの最新の評伝である。その生涯と思想をバランスよく叙述する本書は、大部の著作ながら一気に読み通すことができる。 …
- キルギスの誘拐結婚 [写真・文]林典子 [評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史) [掲載]2014年08月17日 [ジャンル]アート・ファッション・芸能 ■蛮行を写す、静かで断固たる怒り かくも虚(うつ)ろな目をした女性の写真を、見たことがあったろうか。ぼ…
- 世界で一番美しい猫の図鑑 [著]タムシン・ピッケラル [評者]横尾忠則(美術家) [掲載]2014年08月17日 [ジャンル]科学・生物 ■芸術家の霊性を引き出す力も 本書は猫の肖像写真集である。日本で刊行される猫の写真集は、生活環境の中で日常的に振る舞う様々…