2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「今週の本棚:沼野充義・評 『牛乳屋テヴィエ』=ショレム・アレイヘム著」、『毎日新聞』2012年10月28日(日)付。

- 今週の本棚:沼野充義・評 『牛乳屋テヴィエ』=ショレム・アレイヘム著 (岩波文庫・945円) ◇「屋根の上のバイオリン弾き」原作の愉快な世界 『牛乳屋テヴィエ』といってもぴんとこない人が多いかもしれないが、大ヒットしたあのミュージカル「屋根の…

書評:斉藤環『世界が土曜の夜の夢なら  ヤンキーと精神分析』角川書店、2012年。

- 「気合」と「いきほひ」のあいだ ここまでヤンキーと古事記の関係にふれてきた以上、丸山眞男の言葉にも耳を傾けないわけにはいかない。それでは、丸山は何を言ったか。彼は古事記を徹底的に読み込んで、「つぎつぎになりゆくいきほひ」の歴史的オプティミ…

覚え書:「今週の本棚:『未解決の戦後補償』=田中宏・中山武敏・有光健ほか著」、『毎日新聞』2012年10月28日(日)付。

- 今週の本棚:『未解決の戦後補償』 田中宏・中山武敏・有光健ほか著 (創史社・1890円) 「大東亜共栄圏」を掲げた大日本帝国の戦争は、国内外に禍根を置き去りにした。被害者や遺族たちは戦争が終わって67年たった今も、補償や謝罪を求めて闘っている…

夫婦間であれ親子間であれ、「無駄話」や「お喋り」をかわしあえる関係こそが、最も深く安定する

- 僕がギャル語に注目するのは、まさにこうした機能に特化して進化してきた言語であるという点だ。それは「会話のための会話」、いわば「純粋言語」の作法として、特異な発展を遂げつつある。ちなみに僕は、こうした会話を「毛づくろい的会話」と呼んでいる…

覚え書:「ViewPoint 宗教がリトマス紙の時代は終わった=ケント・ギルバート」、『毎日新聞』2012年10月22日(月)付。

- ViewPoint 宗教がリトマス紙の時代は終わった ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士・タレント 2週間後に迫った米大統領選で政権奪還を目指す共和党は今回、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事を正式候補に指名した。彼は4年前の大統領選…

覚え書:「今週の本棚:張競・評 『メインストリーム 文化とメディアの世界戦争』=フレデリック・マルテル著」、『毎日新聞』2012年10月28日(日)付。

- 今週の本棚:張競・評 『メインストリーム 文化とメディアの世界戦争』=フレデリック・マルテル著 (岩波書店・3780円) ◇娯楽文化を巡る主導権争いの全容に迫る ここ十数年来、情報通信技術は文字通り日進月歩の進化を遂げており、人類文化にはまさに…

個人的なことは政治的なことの原点である

- フェミニズムは、一九六〇年代以降、「個人的なことは政治的なこと」と主張して来た。このスローガンは、たとえば家事労働など個人的なことと切り捨てられていたあらゆる事象や問題には、政治的な力関係が働いていることを意味している。 〈3・11フクシ…

覚え書:「引用句辞典 不朽版 いじめ=鹿島茂」、『毎日新聞』2012年10月24日(水)付。

- 引用句辞典 不朽版 いじめ 鹿島茂「仲良し」の産物という悲しい逆説をどうするか 日本人は、子ども時代には特権を与えられ、心理的には気楽な気持ちでいられる。そのような経験をしているだけに、少年期以降のありとあらゆるしつけを経たあとも、依然とし…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 『38%』に働きかける工夫を=湯浅誠」、『毎日新聞』2012年10月26日(金)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 「38%」に働きかける工夫を 湯浅誠 反貧困ネットワーク事務局長「支えるのは誰か」という議論 世界47カ国の人を対象に「政府は、自力で生活できない人に対応する責任があるか」と聞いた、海外機関の調査結果がある。「全…

覚え書:「書評:人と芸術とアンドロイド―私はなぜロボットを作るのか [著]石黒浩 [評者]荒俣宏(作家)」、『朝日新聞』2012年10月21日(日)付。

- 人と芸術とアンドロイド―私はなぜロボットを作るのか [著]石黒浩 [評者]荒俣宏(作家)■分身から知る「自分らしさ」 外出することが危険になった未来社会、本人に代わって外で働くロボットが「惨殺」されると、本人までもが死んでしまうという事件が起きるの…

「人あるいは政党人は国家的にではなく党派的に行動するといいてこれを難ずる。だが、それは官僚とて同じことである」

- 政党から国家への、権力の位置は大きく転換する。国家とは要するに官僚が支える国家のことである。憲法学者の宮澤俊義は官僚が台頭する政治的な背景を論じている。「満州事件にはじまるこの『非常時』のおかげでいちばん損をしたのが政党だとすると、いち…

覚え書:「書評:官僚制としての日本陸軍 [著]北岡伸一 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)」、『朝日新聞』2012年10月21日(日)付。

- 官僚制としての日本陸軍 [著]北岡伸一 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)■明治の政軍関係、解体の過程描く 著者は冒頭で、本書が「近代日本における政軍関係の特質を、さまざまな角度から明らかにしようとするもの」と語る。日本陸軍の誤謬(ごびゅう…

智を愛すること、すなわち真の哲学の姿

- 哲学は英語でフィロソフィーと言う。ソフィーは古代ギリシャ語のソピア、ラテン語のソフィアに由来して「智」を意味し、ギリシャ語のフィロスは「愛する」とか「求める」という意味なので、哲学は「愛智」の学と言い換えることができる。今回の講義は、視…

覚え書:「今週の本棚:『幸福度をはかる経済学』=ブルーノ・S・フライ・著」、『毎日新聞』2012年10月21日(日)付。

- 今週の本棚:『幸福度をはかる経済学』=ブルーノ・S・フライ・著 (NTT出版・3570円) このところ、幸福をめぐる本が目につく。あえて幸福を論ずることが求められる時代とは、はたして何なのだろうか。本書の原著名も『幸福』、そしてサブタイトル…

覚え書:「今週の本棚:高樹のぶ子・評 『死について』=辻井喬・著」、『毎日新聞』2012年10月21日(日)付。

- 今週の本棚:高樹のぶ子・評 『死について』=辻井喬・著 (思潮社・2940円) ◇先立った人へ、負い目に満ちた詩の重さ 詩集の書評は初めてのこと、しかも死がテーマとあれば、作者にとっての死、すなわちこれまで生きてきた短くはない人生すべての認識…

自分自身、「判断ができない」“真空地帯”ってヤツが、生活世界の中には存在するなあ

- 政治に情熱は必要だが距離をおくことが必要である。政治はきわめて厳粛〔重大〕な行動であるからむしろ生一本の情熱ではだめであるという paradox がある。 a sence of humour があるということは、観念に人間が使われず、人間が観念を使うために必要であ…

覚え書:「今週の本棚:白石隆・評 『世界政治と地域主義』=ピーター・J・カッツェンスタイン著」、『毎日新聞』2012年10月21日(日)付。

- 今週の本棚:白石隆・評 『世界政治と地域主義』=ピーター・J・カッツェンスタイン著 (書籍工房早山・2625円) ◇米国の力の下で「地域」はどう編成されるのか 冷戦が終わって20年余、世界はどう変わりつつあるのか。新興国が台頭し、米国の力が相…

もし我々がピカソとダリのどちらかを選ぼうとすると、この世で理想的な絵がモナリザだという診断(たとえそのような先験的診断が可能であるとしても)を行っても何の役にも立たない。

- 先験的アプローチの問題は、単に正義の評価にとって適切だと主張しうる、競合する原理が複数、存在しうるということのみから生じるのではない。完全に公正で特定可能な社会的取り決めが存在しないという問題は重要であるが、正義の実践理性に向けての比較…

覚え書:「今週の本棚:村上陽一郎・評 『肯定の心理学−−空海から芭蕉まで』=熊倉伸宏・著」、『毎日新聞』2012年10月21日(日)付。

- 今週の本棚:村上陽一郎・評 『肯定の心理学−−空海から芭蕉まで』=熊倉伸宏・著 (新興医学出版社・2625円) ◇自他を超えて響き合う「開き」への誘い 自殺願望の女性がひとり。幼児体験の問題を抱えていた上に、最近最も親しくしていた友人を突然失っ…

政治はそもそも絶対的に異なっている者を相対的な平等という点で組織するのであって、相対的に違っている者を組織するのとは区別されるのである。

- すべての人間は、お互いに絶対的に異なっているのであり、この差異は、民族、国民、人種という相対的な差異より大きなものである。その場合、神による《人間》の創造は、複数性のなかに含まれている。しかしながら、政治はこの点ではまるで何も関係ない。…

覚え書:「今週の本棚:昭和後期の家族問題=湯沢雍彦」、『毎日新聞』2012年10月21日(日)付。

- 今週の本棚:昭和後期の家族問題 湯沢雍彦 (ミネルヴァ書房・3675円)家族の姿が、戦後から昭和末期までどのように変わってきたかを経済、教育、文化などの側面から浮き彫りにする。データと資料は膨大だが、かみくだかれた文章でわかりやすい。市井…

覚え書:「みんなの広場 歴史的な友好関係を壊すな」、『毎日新聞』2012年10月20日(土)付。

- みんなの広場 歴史的な友好関係を壊すな 主婦63(東京都板橋区) 11日の発信箱の「急ぐと悪魔が手伝う」という格言を読み、ガンジーの「善きことはカタツムリの速さでくる」という言葉を思い出した。 今、領土をめぐり隣国との関係が危うくなっている。私…

覚え書:「書評:茂吉 幻の歌集「萬軍」―戦争と斎藤茂吉 [編著]秋葉四郎 [評者]出久根達郎(作家)」、『朝日新聞』2012年10月14日(日)付。

- 茂吉 幻の歌集「萬軍」―戦争と斎藤茂吉 [編著]秋葉四郎 [評者]出久根達郎(作家) ■戦争歌は「時が批判する」 戦争末期、歌人の斎藤茂吉は、出版社の「決戦歌集」シリーズに応じて、自ら詠んだ戦争歌の中から、二百二十余首を選び浄書した。『萬軍(ばんぐん…

覚え書:「JA全中・万歳会長:脱原発へ 農業用水で水力発電」、『毎日新聞』2012年10月19日(金)付。

- JA全中・万歳会長:脱原発へ 農業用水で水力発電 脱原発を決議した全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章(ばんざい・あきら)会長は18日、毎日新聞のインタビューに答え、太陽光発電や小水力発電など再生可能エネルギーの事業化に取り組む考えを…

ひとりのふたをする者(リッダイト)および覆いをかける者(キャピスト)として

- 彼ら(一パーセント)は、私たちに要求が欠けている、などと言っています……たぶん彼らは知らないのでしょう、私たちの怒りだけで十分に彼らを破壊するに足りるということを。それでもここで私はいくつかの「革命を前にした」考えを皆さんに提示して、とも…

覚え書:「ニュースの本棚:デモと代議制 宇野重規さんが選ぶ本 議会制と民主主義は異質か」、『朝日新聞』2012年10月14日(日)付。

- デモと代議制 宇野重規さんが選ぶ本 [文]宇野重規(東京大教授〈政治思想史〉)■議会制と民主主義は異質か 首相官邸と国会議事堂を包囲するかのように集まった反原発デモに対し、あたかもそれがなかったかのように振る舞う首相と議員たち。このコントラス…

覚え書:「メインストリーム 文化とメディアの世界戦争 [著]フレデリック・マルテル [評者]渡辺靖」、『朝日新聞』2012年10月14日(日)付。

- メインストリーム 文化とメディアの世界戦争 [著]フレデリック・マルテル [評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)■文化の向かう先、巨視的な視点で 低迷を続ける政治や経済を横目に、マンガ・アニメからファッション、料理まで、日本文化はこの10年で影…

デモクラシーの理念には指導者のないことが適応している

- デモクラシーの理念には指導者のないことが適応している。プラトンがその『国家篇』(第三篇九章)で、理想国家では卓越した素質をもつ人物、天才がいかに遇せられねばならないかとの問いに対し、ソクラテスをして答えしめた言葉はまさにこの精神から発し…

覚え書:「書評:戦後日本の人身売買 [著]藤野豊 [評者]上丸洋一(本社編集委員)」、『朝日新聞』2012年10月14日(日)付。

- 戦後日本の人身売買 [著]藤野豊 [評者]上丸洋一(本社編集委員)■実態と政治の対応たどる 1948(昭和23)年12月3日の毎日新聞に「子供を売歩く男」という見出しの記事が載った。東京の上野駅に暮らす24歳の男が、10代前半の子供3人を栃木県の…

西洋におけるヒューマニズムの源泉となったギリシア哲学においては知性も或る直観的なものであった

- 西洋におけるヒューマニズムの源泉となったギリシア哲学においては知性も或る直観的なものであった。直観的な知性を認めるのでなければプラトンの哲学は理解されないであろう。ルネサンスのヒューマニズムにおいても同様である。デカルトは近代の合理主義…