2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「今週の本棚:荒川洋治・評 『ドクトル・ジヴァゴ』=ボリース・パステルナーク著」、『毎日新聞』2013年04月28日(日)付。

- 今週の本棚:荒川洋治・評 『ドクトル・ジヴァゴ』=ボリース・パステルナーク著 毎日新聞 2013年04月28日 東京朝刊 (未知谷・8400円) ◇すべての運命がきらめく、変革の古典 二〇世紀現代文学の古典「ドクトル・ジヴァゴ」(一九五五)はソ連での発表…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『表現の自由とメディア』=田島泰彦・編著」、『毎日新聞』2013年04月28日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『表現の自由とメディア』=田島泰彦・編著 毎日新聞 2013年04月28日 東京朝刊 (日本評論社・4515円) 「表現の自由」の観点から考えると、新聞、放送、ネットメディアにはさまざまな制約がある。人権・プライバシー侵害に対する権…

個人と社会という二レベルのHACSの関係を考えること

- コミュニケーションとプロパゲーション HACS(引用者注……「階層的自律コミュニケーション・システム(Hierarchical Autonomous Communication System)」というモデルをつかうと、情報や知識の伝達や蓄積を論じることができる。 すでに述べたように、…

覚え書:「書評:諏訪根自子 [著]萩谷由喜子 [評者]出久根達郎」、『朝日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 諏訪根自子 [著]萩谷由喜子 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2013年04月21日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■ナチスから贈られた名器の謎 ショックだったのは、この人の死が半年もたってから報じられたことだった。それも外国の新聞が亡き人として取り上…

覚え書:「書評:幸福の経済学 人々を豊かにするものは何か [著]キャロル・グラハム [評者]水野和夫」、『朝日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 幸福の経済学 人々を豊かにするものは何か [著]キャロル・グラハム [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2013年04月21日 [ジャンル]経済 ■幸せな農民、不満な成功者の謎 幸福は経済学者や心理学者がそれを考察対象とする以前から哲学的な思想のテ…

わたつみの豊旗雲に入日さし こよひの月夜さやけくありこそ

「わたつみの豊旗雲に入日さし こよひの月夜さやけくありこそ」(天智天皇・万葉集)。 先月と同じようなエントリーで恐縮ですが、またしても葬儀にて、瀬戸大橋を渡る機会がありましたので、その寸描を残しておきます。日が沈む前なので、紅くは染まってい…

覚え書:「書評:謎の独立国家ソマリランド [著]高野秀行 [評者]内澤旬子」、『朝日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 謎の独立国家ソマリランド [著]高野秀行 [評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター) [掲載]2013年04月21日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 著者:高野秀行 出版社:本の雑誌社 価格:¥ 2,310Amazon.co.jp楽天ブックス紀伊國屋書店BookWebTSUTAYA onlin…

覚え書:「書評:戦後『中央公論』と「風流夢譚」事件 [著]根津朝彦 [評者]田中優子」、『朝日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 戦後『中央公論』と「風流夢譚」事件 [著]根津朝彦 [評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化) [掲載]2013年04月21日 [ジャンル]歴史 ■言論の自由と暴力・自主規制 伊藤整に『日本文壇史』という素晴らしい仕事がある。文学作品が人のつながりの中で、あ…

覚え書:「みんなの広場 優れた師と出会いたい」、『毎日新聞』2013年04月25日(木)付。

- みんなの広場 優れた師と出会いたい 大学生 21(東京都調布市) 時代錯誤かもしれないが、私は今、師弟関係というものに憧れる。家庭でもなく、友人でもなく、先輩後輩の関係でもない。優れた人物から教えを受け、その考えに共感し、時には疑問をもち、そ…

覚え書:「書評:ラカン [著]ポールロラン・アスン」、『朝日新聞』2013年04月21日(日)付。

- ラカン [著]ポールロラン・アスン [掲載]2013年04月21日 [ジャンル]歴史 著者:ポール=ローラン・アスン、西尾彰泰 出版社:白水社 価格:¥ 1,260Amazon.co.jp楽天ブックス紀伊國屋書店BookWebTSUTAYA online フロイトの後継を自認する精神分析家であり、…

覚え書:「書評:卒業式の歴史学 [著]有本真紀 [評者]渡辺靖」、『朝日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 卒業式の歴史学 [著]有本真紀 [評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学) [掲載]2013年04月21日 [ジャンル]歴史 ■日本に特有の「涙」はいつから 3月の風物詩といえば卒業式。ふと思い浮かべる曲は何だろう。〈仰げば尊し〉〈贈る言葉〉〈旅立ちの日に〉……。…

葬式についての雑感(2)

- 私の父は大学を定年引退したあとに熱心な仏教徒になったが、決して寺に行くことも僧侶の話を聞くこともなかった。日本の仏教は戦争犯罪を行い、反省をしていないと考えていたのである。それで父親は死ぬ数日前に、手書きの短い遺言を書いた。自分の死に際…

覚え書:「書評:電力の社会史 竹内敬二著」、『東京新聞』2013年4月21日(日)付。

- 電力の社会史 竹内 敬二 著 2013年4月21日 ◆遅らせられた自由化 [評者]山岡 淳一郎 ノンフィクション作家。著書『原発と権力』など。 原子力、環境、エネルギー分野は関連し合っており、全体の政策的バランスを保つのは難しい。東電福島原発事故後、民主…

覚え書:「書評:東北発の震災論 山下祐介著」、『東京新聞』2013年4月21日(日)付。

- 東北発の震災論 山下 祐介 著 2013年4月21日 ◆新たな「主体性」を思い描く [評者]赤坂 憲雄 学習院大教授・民俗学。著書『東北学/忘れられた東北』など。 3・11から二年余りの歳月が過ぎた。東京ではすでに東日本大震災は過去に属しているかのようだ…

葬儀という「文化」

4月24日の水曜日の朝。91歳で祖母(父の母)が無くなりました。夕方、連絡を受け、その日の夜勤をこなし、翌朝からの仕事へ出勤して、忌引きの調整をして、夜遅くに実家へ戻り、ご挨拶を済ませてきました。金曜日の朝、葬儀。骨あげと初七日を済ませ、…

覚え書:「書評:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹著」、『東京新聞』2013年4月21日(日)付。

- 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上 春樹 著 2013年4月21日 ◆絶望、孤独から再生の歩み [評者] 横尾 和博 文芸評論家。著書『新宿小説論』『文学÷現代』など。 本書の背後には3・11の大震災と原発事故がある。著者が一九九五年の阪神大震…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『桜ほうさら』 著者・宮部みゆきさん」、『毎日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『桜ほうさら』 著者・宮部みゆきさん 毎日新聞 2013年04月21日 東京朝刊 (PHP研究所・1785円) ◇筆跡の謎解きに恋を絡めて−−宮部(みやべ)みゆきさん 主人公は古橋笙之介(しょうのすけ)、22歳。長屋暮らしの浪人。お家騒…

病院日記(3) 洗う−洗われる 蜘蛛の糸の如き必然の対峙

病院仕事(看護助手)の介助入浴の見学を先日しましたが、昨日、実践に投入されました。先日の雑感→ 病院日記(2) アガンベンの「剥き出しの生」とレヴィナスの「倫理」より - Essais d’herméneutique 患者さんは全てを委ねざるを得ない点に「剥き出しの生…

覚え書:「今週の本棚:持田叙子・評 『沈黙のひと』=小池真理子・著」、『毎日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 今週の本棚:持田叙子・評 『沈黙のひと』=小池真理子・著 毎日新聞 2013年04月21日 東京朝刊 ◇持田叙子(のぶこ)評 (文藝春秋・1785円) ◇いのちの果てに往還する父娘の時間 お父さん。お父さん、お父さんお父さん、お父さーん……。 父恋いの濃密な…

覚え書:「今週の本棚:池澤夏樹・評 『旅立つ理由』=旦敬介・著」、『毎日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 今週の本棚:池澤夏樹・評 『旅立つ理由』=旦敬介・著 毎日新聞 2013年04月21日 東京朝刊 (岩波書店・2415円) ◇幸福感につつまれた「南の世界」の旅物語集 いやしくも書評を仕事としている以上、「珠玉の短篇」などという言葉は使いたくない。褒め言…

書評:浅見雅一、安延苑『韓国とキリスト教 いかにして国家的宗教になりえたか』中公新書、2012年。

- 教会成長理論は、一九六〇年代にフラー神学校で始まった新しい宣教学の理論である。フラー神学校の宣教学とは、教会成長を目的として、神学的要素のうえに社会科学と行動科学を統合させた理論であった。それに実践的要素を加えたものが教会成長理論と呼ば…

覚え書:「今週の本棚:古典を失った大学 近代性の危機と教養の行方=藤本夕衣・著」、『毎日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 今週の本棚:古典を失った大学 近代性の危機と教養の行方 藤本夕衣・著 (NTT出版・3990円) かつては世間離れした場として容認されていた大学にも、「改革」の波が打ち寄せる。予算の効率配分、多様なニーズへの対応、キャリア教育等。東大でも、…

覚え書:「今週の本棚:鴻巣友季子・評 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』=村上春樹・著」、『毎日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 今週の本棚:鴻巣友季子・評 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』=村上春樹・著 毎日新聞 2013年04月21日 東京朝刊 (文藝春秋・1785円) ◇血を流す傷と対峙する“無色の男”の物語 文学には異性関係を超越したプラトン的ソウルメイト(片割れ…

覚え書:「意見広告 意見議員=『憲法改正提案』の無資格者(一人一票実現国民会議)」、『毎日新聞』2013年4月20日(土)付。

なかなかインパクトのある全面広告です。

覚え書:「書評:鉄条網の歴史―自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明 [著]石弘之、石紀美子 [評者]荒俣宏(作家)」、『朝日新聞』2013年04月14日(日)付。

- 鉄条網の歴史―自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明 [著]石弘之、石紀美子 [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年04月14日 [ジャンル]歴史 ■家畜用から新たな環境の囲いへ 鉄条網は西部劇を終わらせた。その発明者グリッデンが後妻に「花壇が家畜に荒らされ…

覚え書:「書評:レジリエンス 復活力 [著]アンドリュー・ゾッリ、アン・マリー・ヒーリー [評者]田中優子」、『朝日新聞』2013年04月14日(日)付。

- レジリエンス 復活力 [著]アンドリュー・ゾッリ、アン・マリー・ヒーリー [評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化) [掲載]2013年04月14日 [ジャンル]社会 ■どんな領域も同時に扱う多様性 まだなじみの無い言葉だが、すでに「レジリエンス resili…

書評:西垣通『集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ』中公新書、2013年。

西垣通『集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ』中公新書、読了。ここ10数年のコンピュータの変化とは、人間に代わっての高速な処理から相互通信性にシフトしつつあることだ。本書は「〜2.0」のフレーズに代表されるインターネットを初めとする「…

覚え書:「書評:明治神宮―「伝統」を創った大プロジェクト [著]今泉宜子 [評者]保阪正康」、『朝日新聞』2013年04月14日(日)付。

- 明治神宮―「伝統」を創った大プロジェクト [著]今泉宜子 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年04月14日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■造営に挑んだ無数の庶民の姿 明治神宮造営運動は、明治天皇逝去の2日後から始まったという。渋沢…

覚え書:「書評:理想だらけの戦時下日本 [著]井上寿一 [評者]三浦しをん(作家)」、『朝日新聞』2013年04月14日(日)付。

- 理想だらけの戦時下日本 [著]井上寿一 [評者]三浦しをん(作家) [掲載]2013年04月14日 [ジャンル]歴史 政治 ■実情は、わりと好き勝手だった 国民精神総動員運動(精動運動)について、詳しくわかりやすく論じたのが本書だ。精動運動とは、1937年の日中…

書評:山田邦男『フランクルとの〈対話〉 苦境を生きる哲学』春秋社、2013年。

山田邦男『フランクルとの〈対話〉 苦境を生きる哲学』春秋社、読了。NHK・Eテレ「こころの時代」の放送を元に、名著『夜と霧』で有名なヴィクトール・E・フランクルを読み直す最新の入門書。震災以降注目を浴びるフランクルは「今、何を語りえるのか」…