2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「2011 東京フィルメックス (5)『無人地帯』藤原敏史監督インタビュー(齋藤敦子)、河北新報社 2011/11/29」

- 覚え書:「2011 東京フィルメックス (5)『無人地帯』藤原敏史監督インタビュー(齋藤敦子)、河北新報社 2011/11/29」―『無人地帯』は、単なる震災やフクシマの問題を越えた、人間とは何か、世界のあり方とは何かというところまで見通した映画でした。…

国家は生物の個体に比すべきもので、個々人は細胞のようなものだ、と考えている人もいるに違いない。しかし、これは明らかに間違いである。

- 国家は道具である、などと主張すると怒る人がいるかもしれない。日本が滅んだら、日本人の大部分は困るのだから、個々の日本人よりも、やっぱり日本という国家の方が大事だろう、と思っているのかもしれない。そう思っている人がいることは否定しない。こ…

買いかぶりおよび見くびりの感情は常に悪である

- 定理四八 買いかぶりおよび見くびりの感情は常に悪である。 証明 なぜならこれらの感情は(感情の定義二一および二二により)理性に矛盾する。したがって(この部の定理二六および二七により)それは悪である。Q・E・D・定理四九 買いかぶりは買いかぶ…

覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『「写真週報」に見る戦時下の日本』=保阪正康・監修、太平洋戦争研究会・著」、『毎日新聞』2011年11月27日(日)付。

- 今週の本棚:池内紀・評 『「写真週報」に見る戦時下の日本』=保阪正康・監修、太平洋戦争研究会・著 世界文化社・2625円 ◇国民を誘導したプロパガンダの記録 昭和十三年(一九三八)二月、一つの雑誌が創刊された。大判で本文二四ページ、そのうちの…

「富の生産、流通、あるいは蓄積に参加できないということ」は果たして「怠惰」なのか?

- 一七世紀の半ばに、急激な変化が起こる。狂気の世界が排除の世界に一変するのである。 ヨーロッパ全土で大規模な収容施設が作られる。この施設は狂者を収容するだけでなく、少なくともわれわれからみて非常に多様な人間を収容するためのものであった−−貧し…

覚え書:「記者の目:北杜夫さんを育てた旧制高校=澤圭一郎(東京社会部)」、『毎日新聞』2011年11月25日(金)付。

- 記者の目:北杜夫さんを育てた旧制高校=澤圭一郎(東京社会部) ◇今こそ「教養教育」が必要だ 「学校の勉強以外で教師や友人と深く触れ合ったのが、旧制高校でしたね。私は松本高校(長野県松本市、現信州大)に入ったことが人生の転機になり財産になった…

覚え書:「論点 原発輸出」、『毎日新聞』2011年11月25日(金)付。

- 論点 原発輸出 10月の日本・ベトナム首脳会談でベトナムの原子力発電所建設を日本が受注することで合意しました。国内では脱原発依存を唱えながら輸出は認められるか。政府の原発輸出を論じます。十市勉 日本エネルギー経済研究所顧問 ◇アジアの発展取り込…

平等であるということは単なる比喩であって、人間の意思や人格を有効に測量し、計算しうるということを意味するものではない

- 平等であるということは単なる比喩であって、人間の意思や人格を有効に測量し、計算しうるということを意味するものではない。 −−ケルゼン(西島芳二訳)『デモクラシーの本質と価値』岩波文庫、1966年、39頁。 - 差別に対峙し、平等を保障していかなけれ…

覚え書:「ロールズ 政治哲学史講義1・2 [著]ジョン・ロールズ」、『朝日新聞』2011年11月20日(日)付。

- ロールズ 政治哲学史講義1・2 [著]ジョン・ロールズ [評者]姜尚中(東京大学教授) ■率直、簡潔に「正義」を読み解く 本書はロールズによるハーバード大学での講義録であるが、現代の古典(カノン)として名高い『正義論』の読解に不可欠なテキストであ…

覚え書:「ザ・特集:ギリシャ人、何思う 怠惰、浪費、脱税…欧州危機で非難の的」、『毎日新聞』2011年11月24日(木)付。

- ザ・特集:ギリシャ人、何思う 怠惰、浪費、脱税…欧州危機で非難の的 ♪ソ、ソ、ソクラテス−−じゃないけれど、悩めるギリシャが気にかかる。債務危機が続く欧州で、世界経済を危機のふちに追いやった張本人のように後ろ指をさされる昨今。西洋文明発祥の地…

「必要が人間に都市を造らせ、その連合体である社会を造らせ」た筈なんだけど( ;´Д`)

- 必要が人間に都市を造らせ、その連合体である社会を造らせました。こうして、団結の力によってお互いに野獣や群盗の被害を防ぐことができるようにしたのです。人間界では、一人の人間だけで事が足りるというものは何もありません。たとえば、人類は、もし…

覚え書:「私が愛した東京電力―福島第一原発の保守管理者として 著・蓮池透」、『朝日新聞』2011年11月20日(日)付。

- 私が愛した東京電力―福島第一原発の保守管理者として [著]蓮池透 [評者]上丸洋一(本社編集委員)■原発の「自滅」を在職中に確信 東日本大震災の発生以降、「東京電力」の名を見聞きしない日は一日もない。新聞もテレビもこの会社を主語とするニュースを連…

「ヒキガエルの目に映ずる通りに自然を書き出す技術」に過ぎませんが……紅葉。

- 写実主義 (realism n.) ヒキガエルの目に映ずる通りに自然を書き出す技術。モグラが描く風景ないし尺取虫の筆になる物語にみなぎる魅力。 ビアス(西川正身編訳)『悪魔の辞典』岩波文庫、1997年、181頁。 - ちょいと箸休め。月曜に大学へ出講した際、紅…

覚え書:「日本の若者は何を考えるのか 20代の若者は現在の生活に満足」、『毎日新聞』2011年11月21日(月)付。

- 日本の若者は何を考えるのか 20代の若者は現在の生活に満足 ◇格差や貧困に当事者意識ない ◇古市憲寿(ふるいち・のりとし=東京大学大学院総合文化研究科博士課程) 長らく日本の若者の政治離れが叫ばれてきた。「政治に興味がない」「投票に行かない」…

真直ぐな、開かれた、信頼に満ちた眼差し

- ところで、さらに明らかにしなくてはならないことは、彼らは果たしてどのような仕方で「形式的意味における世界観」に、すなわち世界を観入するその仕方に影響を及ぼしているのかということである。まずフッサールについて言わなくてはならないことは、彼…

覚え書:「オウム裁判:きょう終結 妻亡くなり事件は終わった−−松本サリン被害者の河野さん」、『毎日新聞』2011年11月21日(月)付。

- オウム裁判:きょう終結 妻亡くなり事件は終わった−−松本サリン被害者の河野さん オウム真理教による一連の事件は21日、教団元幹部の遠藤誠一被告(51)=1、2審死刑=に最高裁判決が言い渡され、上告が棄却されれば全公判は終結する。以前に遠藤被…

知性の一面的な訓練は、しばしば分業的な技術に導くこと、またかえりみられなかった非合理的な心の衝動にとつぜん反作用をおこさせるおそれがある

- 第三帝国に先立つ時代のこの観察者は、次のように語った。大学でりっぱな専門教育をうけてきた技術家、技師等々は、十年ないし十五年間は自己の職業にまったく献身的に専念し、脇目もふらずにひたすら有能な専門家になろうとする場合が、現在非常に多い。…

覚え書:「著者に会いたい 人権という幻 対話と尊厳の憲法学 遠藤比呂通さん」、『朝日新聞』2011年11月13日(日)付。

- 著者に会いたい 人権という幻 対話と尊厳の憲法学 遠藤比呂通さん 憲法を実践、釜ケ崎で生きる [文]樋口大二 1996年、36歳で東北大学法学部の助教授を辞め、その2年後に大阪・西成の労働者街「あいりん地区」(釜ケ崎)で弁護士事務所を開業した。 …

近代の文化と文明に浴している人間にとっての重大な問題は、精神生活における合理的なちからと非合理的な力のあいだの健全な、自然な、そして調和的な関係である

- 近代の文化と文明に浴している人間にとっての重大な問題は、精神生活における合理的なちからと非合理的な力のあいだの健全な、自然な、そして調和的な関係である。なぜなら、まさにこの近代の文化と文明こそ、それのもつ特性によって、この均衡を脅かして…

覚え書:「時代を駆ける:谷口ジロー」、『毎日新聞』1〜9

- 時代を駆ける:谷口ジロー/1 欧州へ日本の日常漫画 ◇JIRO TANIGUCHI 普通の日本人の日常を描く、一見目立たない日本人漫画家が、その精密な絵とストーリーの独創性から欧州で人気を集めている。谷口ジローさん。64歳。古里鳥取を舞台に家…

人間を見よ、そうすれば諸君は、世界についてどう考えるべきであるかを、知るであろう

- 世界がどれほどの価値あるものなのかということを、世界の最小の小部分でさえも、顕示してくれるに違いない、−−人間を見よ、そうすれば諸君は、世界についてどう考えるべきであるかを、知るであろう。 −−ニーチェ(渡辺二郎訳)「哲学者の書」、『ニーチェ…

覚え書:「木語:神風の「もしも」=金子秀敏」、『毎日新聞』2011年11月17日(木)付。

- 木語:神風の「もしも」=金子秀敏 <moku−go> 元寇(げんこう)の沈没船が長崎県松浦市の鷹島(たかしま)付近で見つかった。泥に埋まった竜骨(キール)の長さは確認されただけで12メートルあった。全長20メートルを超える大型船らしい。「神…

あたりの黄ばんだ葉を濡らしながら、地面と植物が発散させるあの十一月の香りを強めながら

- わたしたちが帰路につくためにふたたび俥の中に腰を下ろすころには、もう地平線の上には黄ばんだ太陽の最後の一端が残っているばかり。 黄昏の中を、わたしたちは今朝と同じ道を反対の方向にとって返す。小さな谷々の同じ迷路の中の、わたしたちの視野を仕…

覚え書:「語る:加藤尚武さん 『災害論』を刊行」、『毎日新聞』2011年11月17日(木)付。

- 語る:加藤尚武さん 『災害論』を刊行 ◇原発事故は哲学への挑戦 福島第1原発事故の背景には、原子力をめぐる高度な技術の壁が潜んでいる。未曽有の事態を前に、何を出発点に、どんな順番で考えるべきかが見えない不安も人々の中にある。哲学者の加藤尚武…

国民的追憶に関しては、哀悼は勝利以上に価値あるものです

- 国民的追憶に関しては、哀悼は勝利以上に価値あるものです。というのも、哀悼は義務を課し、共通の努力を命ずるのですから。 −−エルネスト・ルナン(鵜飼哲訳)「国民とは何か」、エルネスト・ルナンほか(鵜飼哲ほか訳)『国民とは何か』インスクリプト、…

覚え書:「記者の目:米大統領候補者選びのケイン氏人気=吉富裕倫(静岡支局)」、『毎日新聞』2011年11月17日(水)付。

- 記者の目:米大統領候補者選びのケイン氏人気=吉富裕倫(静岡支局) ◇吉富裕倫(ひろみち) 静岡支局(前ロサンゼルス支局) ◇白人保守層の主張に迎合か 米国の野党共和党の大統領候補者選びは、黒人実業家のハーマン・ケイン氏(65)が草の根保守「テ…

飲む気になれば,理由はいつでもどこでも,必ずある.古今東西を通じて真理であろう

- 【さけ】 84 飲む理由はたくさんある. multae sunt causae bibendi. ことわざ飲む気になれば,理由はいつでもどこでも,必ずある.古今東西を通じて真理であろう. −−柳沼重剛編『ギリシア・ローマ名言集』岩波文庫、2003年、120−121頁。 - とりあえず…

覚え書:「ニセ科学って何だ? 久保田裕さんが選ぶ本 『もうダマされないための「科学」講義』」、『朝日新聞』2011年11月06日(日)付。

- ニセ科学って何だ? 久保田裕さんが選ぶ本 『もうダマされないための「科学」講義』 [文]久保田裕(科学医療部) [掲載]2011年11月06日■思い込みが行動を左右する 一見、科学的な主張に見えるものの、実は科学でない。そんな主張を、ニセ科学とかエセ科学…

希望こそ太古より聳える巌のごとくあれ! 足下を掘り世界と連帯する詩心に関する一考察?

- 希望 とはいえ、かようの限界、かようの堅固な壁の いとわしい門からは閂(かんぬき)がはずれゆくのだ。 希望こそ太古より聳える巌のごとくあれ! 一個の実体が軽やかにいましめなく動き、 厚い雲、霧、驟雨のうちから、希望の手で われらは高められ、希…

覚え書:「時代の風:共同体維持の知恵=東京大教授・坂村健」、『毎日新聞』2011年11月13日(日)付。

- 時代の風:共同体維持の知恵=東京大教授・坂村健 ◇EU流イノベーション 海外で和食は着実に定着している。伝統的なモノから新和食まで。10月ほぼ1カ月ヨーロッパにいたが、今回訪れたどの都市でも多彩な和食が食べられた。立食パーティーの場では、の…