2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「そこが聞きたい 市民支える『アマチュア』感覚=大江健三郎」、『毎日新聞』2012年8月27日(月)付。

- そこが聞きたい 市民支える「アマチュア」=大江健三郎氏 脱原発を訴える市民活動が規模を広げている。作家の大江健三郎さんは他の作家らと共に、発起人や世話人として脱原発を目指す運動に取り組んでいる。エッセー集「定義集」の刊行を機に、知識人や文…

とにかく迎合するまえに批判せよ

- とにかく迎合するまえに批判せよが、簡にして要を得た解答となる。知識人にはどんな場合にも、ふたつの選択肢しかない。すなわち、弱者の側、満足に代弁=表象(レプリゼント)されていない側、忘れ去られたり黙殺された側につくか、あるいは、大きな権力…

覚え書:「著者・秋尾沙戸子さん=スウィング・ジャパン(新潮社)」、『毎日新聞』2012年8月26日(日)付。+α

- 著者・秋尾沙戸子さん=スウィング・ジャパン 新潮社・1890円日系ジャズ奏者と占領の時代 第二次大戦後、占領下の日本に米軍将校として赴任、ジャズを広めたジミー・アラキーー。日系二世として・高校時代を収容所で過ごし、米軍に召集されて両親の祖…

「人々に差別されつつ、人々を差別し返すという性格を刻印された小社会」の複合汚染

- 近代の知識人はみな「官」を志した。「官」になるべきだと世間にも考えられていた。「官」たりえないものは政客をめざし、または学者になろうとした。それが普通の道だと信じられていたなか、明治二十年頃「官」たるの道を余儀なく、また意図してはずれ、…

覚え書:「今週の本棚:加藤陽子・評 『帝国主義日本の対外戦略』=石井寛治・著」、『毎日新聞』2012年08月26日(日)付。

- 今週の本棚:加藤陽子・評 『帝国主義日本の対外戦略』=石井寛治・著 (名古屋大学出版会・5880円) ◇経済人はなぜ満州事変を阻止できなかったのか 日本の真珠湾攻撃を知ったその日、南原繁は「人間の常識を超え学識を超えておこれり日本世界と戦ふ」…

「自分と反対の考え方に対する理解力、それによって自分自身の考え方を練っていく」積極的アマノジャク

- つまり、福沢のシンパシーは明らかにミルの『自由論』にあるわけです。けれども、ミルの『自由論』と反対の立場からの説を述べようと思ったら、いつでも述べられる。これもつまり役割交換です。自分と反対の考え方に対する理解力、それによって自分自身の…

覚え書:「今週の本棚:三浦雅士・評 『私の昭和史・完結篇 上・下』=中村稔」、『毎日新聞』2012年08月26日(日)付。

- 今週の本棚:三浦雅士・評 『私の昭和史・完結篇 上・下』=中村稔・著 (青土社・各2520円) ◇甘え、独善を拒んだ潔癖な倫理の記録 「昭和三十六年一月二十日、マルキ・ド・サド『悪徳の栄え・続??ジュリエットの遍歴』を出版したことが、猥褻(わいせ…

研究ノート:吉野作造と聖書

- 私は吉野先生と言われて思い出す聖書の句がある。先生が別にこの句を愛しておられた訳でもないのですが、私は吉野先生って思うと思い出す聖書の句がある。これはヨハネ伝五章の四四節なんです。「互いに誉を受けて唯一の神よりの誉を求めぬ汝らは、いかで…

覚え書:「今週の本棚:『災害と妖怪 柳田国男と歩く日本の天変地異』=畑中彰宏著」、『毎日新聞』2012年08月26日(日)付。

- 日本人の信仰や神社についての入門書を上梓しているライター兼編集者が、昨年刊の『柳田国男と今和次郎』に続いて、柳田の残した文章から河童や天狗などの妖怪が生まれた背景を読み解いた。病から身を守るために生み出された習俗、災害を後世に伝えるため…

強制こそ、人からの愛や尊敬を得られなくしてしまう手段だということに、そろそろ支配者たちは気づくべきです

- 問題の本質は何なのか −−そういう意味では、強制への異議中立には意味があると思いますか。 「予防訴訟の原告の中には、いろんな反対論の人がいますが、かつての侵略戦争の象徴だったからとか、キリスト者として受け入れられないというのは分かりやすい。…

覚え書:「みんなの広場:読書が大好き、お薦めは物語」、『毎日新聞』2012年8月2日(土)付。

- みんなの広場 読書が大好き、お薦めは物語 中学生 13(埼玉県狭山市) 私の一番好きなことは読書です。電車の中で、家で、学校で。いつも持ち歩いている本は、私にとっての必需品です。 特に読むのが、電車での移動時間中です。何もすることがないこのよ…

「近代国家の重心は、『情念としての国家』から『機能としての国家』へとシフトを移しつつある」わけですが、この国では……

- 近代国家は、みな国民国家である。個々人の人権も、国民国家としてのまとまりによって初めて支えられる。私たちは、法に守られることを捨てて無国籍人としての生を選ぶのでないかぎり、今のところこの枠をはみ出すわけにいかない。ところでこのまとまり、…

覚え書:「ドキュメンタリー映画:『報道写真家 福島菊次郎 90歳』 銀座、新宿で上映中」、『毎日新聞』2012年08月24日(金)付(東京版)。

- ドキュメンタリー映画:「報道写真家 福島菊次郎 90歳」 銀座、新宿で上映中 90歳以上ならば鑑賞料90円 /東京 ◇権力の嘘を追い、昨秋福島県を訪ねるまで 反骨の写真家として知られる福島菊次郎さん(91)=山口県柳井市=の軌跡をたどるドキュメン…

書評:塩川伸明『民族とネイション  ナショナリズムという難問』岩波新書、2008年。

- ナショナリズムは極度に多様な現象である。それは他のさまざまな政治イデオロギーと自在に結合する。リベラリズムと結合することもあれば、反リベラリズムの色彩を濃くすることもある(近年の動向としては、リベラリズムに敵対する傾向が目立ち、ナショナ…

覚え書:「だいあろ〜ぐ:東京彩人記 『特撮博物館』副館長の映画監督・樋口真嗣さん」、『毎日新聞』2012年08月22日(水)付(東京版)。

- だいあろ〜ぐ:東京彩人記 「特撮博物館」副館長の映画監督・樋口真嗣さん /東京 ◇「日本独自」に目を向けて 「特撮博物館」副館長の映画監督 樋口真嗣さん(46) 都現代美術館(江東区三好4)で10月8日まで開催中の企画展「特撮博物館 ミニチュアで…

同じような番組のどのタレントも似たような動作をする。別に悪い、といっているのではないが、やっぱり、おかしくてニヤッとしてしまう。

- 戦争中や戦後の、あのたまらない空腹時代に生きた私などには、グルメ流行の昨今が夢のようだ。 仕事場にちかい原宿を歩いていると、若者たちがさまざまな服装をして集まっているが、彼等をみると私などは「ああ、この世代はひもじいということを知らないの…

書評:宋連玉『脱帝国のフェミニズムを求めて 朝鮮女性と植民地主義』有志舎、2009年。

- 数少ない女子学生の前で、「女に学歴は必要ない」などと無神経に言ってのける在日朝鮮人男性群にうんざりし、当時一世を風靡したウーマン・リブの思想に心惹かれながらも、その頃の私はなぜか日本の女性たちに同一化することはできなかった。 多くの歳月が…

覚え書:「今週の本棚:『寅さんとイエス』=米田彰男著」、『毎日新聞』2012年08月19日(日)付。

- 寅さんとイエス 米田彰男著(筑摩選書・1785円)神父である著者が最も気にかかるイエスと寅さん。その共通点はユーモアの塊であることだと言う。寅さんについてはよくわかるが、イエスをユーモアたっぷりのフーテンだと言われると戸惑う。しかし、「男…

La Pensée sauvage:植民地支配は文明化なんだから感謝しろってドヤ顔に涙

- さて、わが主題に話を戻すとして、自分の習慣にはないものを、野蛮と呼ぶならば別だけれど、わたしが聞いたところでは、新大陸の住民たちには、野蛮で、未開なところはなにもないように思う。どうも本当のところ、われわれは、自分たちが住んでいる国での…

覚え書:「今週の本棚:松原隆一郎・評 『それをお金で買いますか』=マイケル・サンデル著」、『毎日新聞』2012年08月19日(日)付。

- 今週の本棚:松原隆一郎・評 『それをお金で買いますか』=マイケル・サンデル著 (早川書房・2200円) ◇驚くべき「市場化」の実態を暴く 一昨年の夏、フォークの岡林信康のコンサートに行った時、曲の合間に岡林がこんなことを言った。「僕ら若い頃は…

Philosophy and Theology ask the question of being. But they ask it from different perspectives.

- Philosophy and Theology ask the question of being. But they ask it from different perspectives. Philosophy deals with the structure of being in itself; theology deals with the meaning og being for us. From this difference convergent and …

覚え書:「みんなの広場 67年前の天気予報」、『毎日新聞』2012年8月19日(日)付。

- みんなの広場 67年前の天気予報 無職 86(静岡市葵区) 戦中にはラジオの天気予報の放送がなくなっていたが、敗戦後、ある日突然に「今日から天気予報を復活します」と言った。この時、「ああ平和が戻ったんだな」と、しみじみと思った。 「昭和家庭史年…

日本の国家的独立という事もまた福沢にとっては、条件的な命題であることを看過してはならない

- ヨーロッパ文明論と並ぶもう一方のテーゼとしての日本の国家的独立という事もまた福沢にとっては、条件的な命題であることを看過してはならない。国の独立が目的で文明は手段だと福沢がいうとき、それはどこまでも当時の歴史的状況によって既定せられた当…

男はしばしばひとりになりたいと思う、

- 男はしばしばひとりになりたいと思う、女もひとりになりたいと思う、そしてその二人が愛しあっているときは、そういう思いをたがいに嫉妬するものだ。 −−ヘミングウェイ(谷口孝男訳)『武器よさらば』(下)岩波文庫、1959年、116頁。 - 先週「妻が子供を…

旨いもの・酒巡礼記:東京都・八王子市編「立ち飲み居酒屋座らず屋 おや!福幸」

訪問してからだいぶたちますが、「立ち飲み居酒屋座らず屋 おや!福幸」を紹介しておきます。京王八王子駅前のいわゆる「立ち飲みやさん」で、先月利用させていただきました。だいぶ前から気にはなっていたところですが、角ハイボールの黄色い看板が目印です…

覚え書:「今週の本棚:持田叙子・評 『谷川健一全集 第七巻 沖縄三』=谷川健一・著」、『毎日新聞』2012年08月12日(日)付。

- 今週の本棚:持田叙子・評 『谷川健一全集 第七巻 沖縄三』=谷川健一・著 (冨山房インターナショナル・6825円) ◇掘りあてた「海の民族」のこころの歴史 このたび、『白鳥伝説』や『青銅の神の足跡』『魔の系譜』『常世(とこよ)論』『日本の地名』…

考えること、愛することは、パスカルによれば、人間の本性である。

- 「人間は考えるために生まれておる」(III,119)。−−「我々がただ愛するためにこの世にあることを誰が疑うであろうか」(III,123)。考えること、愛することは、パスカルによれば、人間の本性である。この本性に応じて生きることは幸福を作ることに他な…

覚え書:「今週の本棚:中村桂子・評 『家族進化論』=山極寿一・著」、『毎日新聞』2012年08月12日(日)付。

- 今週の本棚:中村桂子・評 『家族進化論』=山極寿一・著 (東京大学出版会・3360円) ◇父性の登場から「家族の起源」を探究する 人類の社会生活の基礎である性・経済・生殖・教育の四機能を果たすのが家族であり、世界中の共同体が家族を単位としてい…

日本軍国主義に終止符が打たれた八・一五の日はまた同時に、超国家主義の全体系の基盤たる国体がその絶対性を喪失し今や始めて自由なる主体となった日本国民にその運命を委ねた日でもあったのである。

- 日本軍国主義に終止符が打たれた八・一五の日はまた同時に、超国家主義の全体系の基盤たる国体がその絶対性を喪失し今や始めて自由なる主体となった日本国民にその運命を委ねた日でもあったのである。 −−丸山眞男「超国家主義の論理と心理」、『世界』岩波…

覚え書:「今週の本棚:堀江敏幸・評 『建築を考える』=ペーター・ツムトア著」、『毎日新聞』2012年08月12日(日)付。

- 今週の本棚:堀江敏幸・評 『建築を考える』=ペーター・ツムトア著 (みすず書房・3360円) ◇遅れの感覚として美を表現するために 子どもにとって、自分の家は建築物ではない。日々の細部を豊かにする五感が漠然と連なって形作られた、ひとつの集合体…