2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「東日本大震災:トッドさん、三神さん対談 被災地を巡って見えたもの=エマニュエル・トッドさん」、『毎日新聞』2011年9月29日(木)付。

- 東日本大震災:トッドさん、三神さん対談 被災地を巡って見えたもの=エマニュエル・トッドさん フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッドさんが来日し、8月上旬に東日本大震災の被災地を歩いた。日本の家族構造分析を通して見えてきた、被災地の姿…

その世界に、あり余るほど豊かな手段のみを見て、その背後にある苦悩は見ない「慢心しきったお坊ちゃん」

- 創造的な生は、厳格な節制と、高い品格と、尊厳の意識を鼓舞する絶えざる刺激が必要なのである。創造的な生とは、エネルギッシュな生であり、それは次のような二つの状況下においてのみ可能である。すなわち、自ら支配するか、あるいは、われわれが完全な…

覚え書:「異論反論 普天間問題『沖縄の理解を』と首相が訴えました 構造的差別を認識せよ 寄稿=佐藤優」、『毎日新聞』2011年9月28日(水)付。

- 異論反論 普天間問題『沖縄の理解を』と首相が訴えました 構造的差別を認識せよ 寄稿=佐藤優 23日(日本時間24日)、訪米中の野田佳彦首相が内外記者会見を行った。〈首相は普天間移設を巡り、日米首脳会談でオバマ大統領に「昨年の日米合意にのっとって…

公式主義と機会主義とは一見相反するごとくにして、実は同じ「惑溺」の異なった表現様式にほかならない

- かくして福沢の場合、価値判断の相対性の強調は、人間精神の主体的能動性の尊重とコロラリーをなしている。いいかえれば価値をアプリオリに固定したものと考えずに、是を具体的状況に応じて絶えず流動化し、相対化するということは強靱な主体的精神にして…

覚え書:「記者の目:東日本大震災後の論壇=鈴木英生(東京学芸部)」、『毎日新聞』2011年9月28日(木)付。

- 記者の目:東日本大震災後の論壇=鈴木英生(東京学芸部) ◇重みと覚悟のある主張を 東日本大震災から半年間、多くの識者が「国難」、「戦後最大の危機」などと語ってきた。私は、政治・経済、社会問題など各分野の学者や評論家の主張を記事にする論壇担当…

古来より専制圧制の下ニ生活して干渉せらるゝニなれ、干渉なけれバものを忘れたる如く、干渉せられるハ何やらこゝちよきまでに慣れて、遺伝の天性の如くなり居れる

- 仏国の人民が法律を重んずるハ法律を軽んずる如くなれども、その理決して軽ずるニあらずして終ニ完全なる法文を造らしめたり。 我日本の国民が古来より専制圧制の下ニ生活して干渉せらるゝニなれ、干渉なけれバものを忘れたる如く、干渉せられるハ何やらこ…

覚え書:「記者の目:生活保護200万人の時代=小林多美子」、『毎日新聞』2011年9月27日(火)付。

- 記者の目:生活保護200万人の時代=小林多美子 「最後のささえ」切り捨てが心配だ 生活保護の受給者が増え続けている。今年3月、戦後の混乱期以来となる200万人を突破した。8月中旬、新潟面で「働きたいのに 生活保護200万人の時代」を連載し、…

「知っているつもりではいるのですが」 「それならひとつ、言ってみてくれたまえ」。

- 「君はいま、ほかならぬ自分自身の魂の世話を、あるひとりの男−−君のいうところによれば、ソフィストであるところのひとりの男−−にゆだねようとしているということだ。では、そのソフィストとはそもそも何ものなのか、君がもしそれを知っているとしたら、…

覚え書:「田中優子評 原発と原爆−−「核」の戦後精神史」、『毎日新聞』2011年9月25日(日)付。

- 田中優子評 原発と原爆−−「核」の戦後精神史 川村湊(河出ブックス・1365円)不信と恐怖にとらわれた歩み 「ゴジラ」「アトム」「AKIRA」「ナウシカ」……これら、それぞれの世代になじみ深い映画やアニメの主人公たちの共通点は何か? それは、す…

覚え書:「急接近:エマニュエル・トッドさん 「アラブの春」を予言、背景と見通しは?」、『毎日新聞』2011年9月24日(土)付。

- 急接近:エマニュエル・トッドさん 「アラブの春」を予言、背景と見通しは? <KEY PERSON INTERVIEW> 中東の民主化運動「アラブの春」の行方を国際社会がかたずをのんで見守っている。4年前に著書「文明の接近」でアラブ諸国の近代化…

教育の力にもおのずから限りがある

- 世には教育万能者があって、何か社会におもしろくない事が起こると、すぐに教育者を責めるけれども、教育の力にもおのずから限りがある。 −−河上肇『貧乏物語』岩波文庫、1965年、44頁。 - 確かに、殆どの問題のたいていの原因は教育に起因する。 だから、…

隣人とは、端的に、ただそのひとが、ひとりの人間として存在するというだけの理由によって、私がなにものかを負おうている者のこと

- ……現代人は、テクノロジーや非人間的で抑圧的な国家権力に対する反動として、自分の優越性または優先性を確証したがる(同一性論理の勝利を讃え、それに基礎づけを与える)傾向あるようですが、それと同時に、みずからの解体と疎外を、間接的で技術的なコ…

覚え書:「ザ・特集:脱原発「6万人」デモ 「子供守ろう」母の声届け」、『毎日新聞』2011年9月22日(木)付。

- ザ・特集:脱原発「6万人」デモ 「子供守ろう」母の声届け 脱原発を訴えデモ行進する人たち=東京都渋谷区で、9月19日、小林努撮影 東京都内で19日に開かれ、6万人(主催者発表)もが参加した脱原発デモ「さようなら原発5万人集会」。来年2月まで…

秋は来ぬ おくれさきだつ秋草も みな夕霜のおきどころ 笑ひの酒を悲みの 盃にこそつぐべけれ

- 秋は来ぬ 秋は来ぬ おくれさきだつ秋草も みな夕霜のおきどころ 笑ひの酒を悲みの 盃にこそつぐべけれ −−藤村藤村「秋思」、島崎藤村自薦『藤村詩抄』岩波文庫、1995年、60頁。 - 昨夕、台風15号が首都圏を直撃。 夕刻、嵐の中を家人とひやひやしながら…

[東日本大震災]覚え書:「核心 大江健三郎 フクシマをみつめて」、『毎日新聞』2011年9月19日(月)付。

- 大江健三郎 「フクシマを見つめて」 大量の使用ずみ放射性廃棄物を、途方もない深さの穴に埋めるが、未来で処理にあたらねばならぬ人たちに、どんな言葉で警告するか? 誰が署名するか? そういう黒い笑いのS・Fを読んで、あまり時がたちませんが、すで…

覚え書:今週の本棚:渡辺保・評 『語りえぬものを語る』=野矢茂樹・著」、『毎日新聞』2011年9月18日(日)付。

- 今週の本棚:渡辺保・評 『語りえぬものを語る』=野矢茂樹・著 (講談社・2625円) ◇「言語的な世界」を逸脱する現実を捉える ガラにもなく私のような門外漢が、哲学の本を書評するのは無謀な話かもしれない。しかし面白い本だし、その面白さも普通の…

自分で考えると同時に学ぶこと

- 子供は遊技から学習という厳粛な行為へ移行することによって少年になる。子供たちはこの時代に、好奇心、とくに歴史に対する好奇心にもえ始める。子供たちにとって彼らに直接には現われない諸表象が問題になる。しかし主要な問題はここでは、彼らの心のな…

覚え書:「児童がつづった朝鮮人虐殺」、『毎日新聞』2011年9月17日(土)付。

- 児童がつづった朝鮮人虐殺 「デマ」の事実、継承されず関東大震災から88年後の今月1日、横浜市南区の宝生寺に、喪服を着た男女50人が集まった。セミしぐれが響き、むせかえるような残暑の中、参列者が手向けたのは朝鮮人犠牲者の慰霊碑。地震が発生した午…

“ヒトラーの哲学は稚拙である”以上に稚拙だけど声が大きいんですよw

- ヒトラーの哲学は稚拙である。けれどもそこでは多大な始原の潜在力が消費されて、その圧力のもとで、見すぼらしい空説虚言の殻は炸裂してしまう。そうした潜在力がドイツの魂の秘められた郷愁を目覚めさせる。伝染病とか狂気とかである以上に、ヒトラー主…

覚え書:「急接近:鷲田清一さん 「3・11」後の知と大学のあり方とは?」、『毎日新聞』2011年9月17日(土)付。

- 急接近:鷲田清一さん 「3・11」後の知と大学のあり方とは?<KEY PERSON INTERVIEW> 東日本大震災の発生から6カ月。東京電力福島第1原子力発電所事故の発生で、科学の信頼は大きく揺らいだ。知のあり方、知を育む大学のあり方は…

機械的技芸《artes mechanicae》ではなく自由技芸《artes liberales》

- 政治的情熱に含まれるのは目的に憑かれた状態であり、理論的情熱に含まれるものは目的からの自由である。目的からのこの自由は学問においてはまさしく制度化されている。つまり学問とは自由技芸《artes liberales》であって、機械的技芸《artes mechanicae…

新しい主義の宣伝者を、かりに火つけ役だとすれば、相手に精神的な燃料があってこそ、火がつけられるのだ。

- むかし景気のよかったものは、復古を主張し、いま景気のよいものは、現状維持を主張し、まだ景気のよくないものは、確信を主張する。 相場はこんなところだ、相場は! かれらのいう復古は、かれらの記憶にある若干年前にもどることで、虞・夏・商・周の古…

覚え書:「ひと アイヌ語で歌うジャズ歌手 熊谷たみ子さん(59)」、『毎日新聞』2011年9月15日(木)付。

- ひと アイヌ語で歌うジャズ歌手 熊谷たみ子さん(59) 東日本大震災の被災者支援のCD「大地よ」を有志で自主制作した。 アイヌ民族の復権運動に力を注ぐ宇梶静江さん(78)が震災に寄せてつづった詩に曲を付け、日本語とアイヌ語で歌う。「愛する者と別…

「我々の為し得る最善のことは、他者に対する冷酷さを抑制することである」の現況……

- ……私は漠然と、西洋の考え方では、他者との組み合せの関係が安定した時に心の平安を見出す傾向が強いこと、東洋の考え方では、他者との全き平等の結びつきについて何かの躇いが残されていることを、その差異として感じている。我々日本人は特に、他者に害…

覚え書:「シュレーダー前ドイツ首相:脱原発『日本国民の決断次第』」、『毎日新聞』2011年9月13日(火)付。

- シュレーダー前ドイツ首相:脱原発「日本国民の決断次第」 独前首相 技術力を高く評価【ベルリン篠田航一】ドイツのシュレーダー前首相は毎日新聞との会見で、何度も「決断」を口にし、脱原発に抵抗する電力業界を説得した経緯を説いた。官僚や側近任せで…

哲学の目的は思考の論理的明晰化である。

- 四・二二 哲学の目的は思考の論理的明晰化である。 哲学は学説ではなく、活動である。 哲学の仕事の本質は解明することにある。 哲学の成果は「哲学的命題」ではない。諸命題の明確化である。 思考は、そのままではいわば不透明でぼやけている。哲学はそれ…

学問上の「達成」はつねに新しい「問題提出」を意味する。それは他の仕事によって「打ち破られ」、時代遅れとなることをみずから欲するのである。

- 学問上の「達成」はつねに新しい「問題提出」を意味する。それは他の仕事によって「打ち破られ」、時代遅れとなることをみずから欲するのである。学問に生きるものはこのことに甘んじなければならない。 −−ヴェーバー(尾高邦雄訳)『職業としての学問』岩…

生についての省察から、生活経験が成り立つ

- 生についての省察から、生活経験が成り立つ。種々の衝動や感情が私たちの内で束ねられ、それが周囲の世界や運命と遭遇することによって惹き起こされる個々の出来事は、生活経験において対照的で一般的な知識へととりまとめられる。人間の本性が常に同一で…

僕は精神が好きだ。しかしその精神が理論化されると大がいは厭になる

- 大杉栄「僕は精神が好きだ」『文明批評』一巻二号、一九一八年二月。 僕は精神が好きだ。しかしその精神が理論化されると大がいは厭になる。理論化という行程の間に、多くは社会的現実との調和、事大的妥協があるからだ。まやかしがあるからだ。 精神その…

悲しみにしろ喜びにしろ、それに心をおどらせたことのない人は、けっしてまともな人間とはいえないだろう。

- 悲しみにしろ喜びにしろ、それに心をおどらせたことのない人は、けっしてまともな人間とはいえないだろう。 −−ギッシング(平井正穂訳)『ヘンリ・ライクロフトの私記』岩波文庫、1951年、106頁。 - 自分が失念したいといえばただそれまでの噺なのですが、…