2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧
- 階級「断絶」社会アメリカ 新上流と新下流の出現 [著]チャールズ・マレー [評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学) [掲載]2013年03月24日 ■「真のエリートとは」を問う 実に挑発的な米国論だ。 貧困や格差に関する本なら山ほどある。しかし、過去50年間…
- 差別と反逆 平野小剣の生涯 [著]朝治武 [評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史) [掲載]2013年03月24日■平等求め、天皇に託した希望 被差別部落に生まれ、初期水平運動で華々しく活躍した平野小剣。長髪で髭(ひげ)を伸ばし、人…
新井政美編著『イスラムと近代化 共和国トルコの苦闘』講談社、読了。イスラムは「反近代的」か。イスラムと近代的価値観の対立・調和の実験場=トルコの近現代史を材料に、本書は、共和国トルコの「苦悶」の歩みから「近代化」「政教分離」「世俗化」の内在…
- なめらかな社会とその敵 [著]鈴木健/ルールに従う [著]ジョセフ・ヒース [評者]山形浩生(評論家)■社会を変革する遠大な思考実験 『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。だが古代人たる評者にも、その意気込みはわかる。まったく新しい…
- 今週の本棚:伊東光晴・評 『税金 常識のウソ』=神野直彦・著 毎日新聞 2013年03月24日 東京朝刊 (文春新書・840円) ◇「官のファイナンス」ではない「公の税」とは 税金についての単なる「知識」をこえて、体系的な「理解」を多くの人に、という意図…
- みんなの広場 大震災を改憲の口実にするな 無職 75(奈良県香芝市) 東日本大震災からまる2年の前日である10日、自民党の石破茂幹事長は党宮城県連退会での講演で、大震災に関連して「国民の生命・愛三や国家そのものが危急存亡の危機にひんしたとき、…
- 今週の本棚・情報:共同展「文学と天災地変」 毎日新聞 2013年03月24日 東京朝刊 東日本大震災から2年が経過した今春、全国の文学館・記念館で「文学と天災地変」を共通テーマにした企画展が一斉に開催されている。全国文学館協議会に加盟する99館のうち…
- 今週の本棚:鴻巣友季子・評 『ハピネス』=桐野夏生・著 毎日新聞 2013年03月24日 東京朝刊 (光文社・1575円) ◇素敵なママたちの孤独な世界にひそむ物語 桐野夏生は多様な題材を多様なスタイルで書く。『東京島』や『ポリティコン』などで閉ざされた…
- 人はなぜ旅をするか 中村 インドの哲学者や行者には、どこかにこもり、じっと一か所にいて瞑想にふけり、真実を深めている人がいます。 しかし、私はやはり旅をしたい。旅をしますと、非常に新鮮な感銘をうける。旅は自分がもっていないもの、あるいは自分…
- 今週の本棚:マス・イメージ論 吉本隆明・著 (講談社文芸文庫・1680円) 長らく絶版となっていた1980年代の代表作が、著者・吉本隆明の没後1年を機に再刊された。 鹿島茂の卓抜な解説によれば、著者は20世紀から21世紀へと向かう新しい時代…
- 今週の本棚:養老孟司・評 『なめらかな社会とその敵』=鈴木健・著 毎日新聞 2013年03月24日 東京朝刊 (勁草書房・3360円) ◇生命とネットから現代の思考様式を問う 久しぶりに野心的な本を読んだ。若い世代がこういう本を書く時代まで生きたのは、年…
- こどものころに読んだ佐々木邦の『奇人群像』という小説に、閣下と呼ばれる人の書をあつめて、それを納める蔵をたて、「閣下閣」と名づける計画をたてる人の話がでていた。 その後、しばらくたって戦中に、おたがいに閣下になったということにして、 「□□…
- 今週の本棚・新刊:『社会運動の戸惑い』=山口智美、斉藤正美、荻上チキ・著 毎日新聞 2013年03月24日 東京朝刊 (剄草書房・2940円) 反発、反動を意味する「バックラッシュ」。フェミニズムや社会学に関心のある人なら、2000年ごろから各地で起…
- 今週の本棚:張競・評 『卒業式の歴史学』=有本真紀・著 毎日新聞 2013年03月24日 東京朝刊 (講談社選書メチエ・1680円) ◇涙と感動を誘う“形式”の起源を徹底解剖する アメリカにいたとき、保護者として公立中学校と私立高校の卒業式に出席したことが…
小倉紀蔵『朱子学化する日本近代』藤原書店、読了。儒教社会から脱皮(西洋化)することが近代日本の歩みであるとの通説を打破するのが本書の狙い。著者によれば「日本の近代化は半儒教的な徳川体制を脱皮し、社会を『再儒教化』する過程」であり、福沢諭吉…
- 今週の本棚:さらさらさん 大野更紗・著 (ポプラ社・1470円) ビルマ(ミャンマー)の奥地で難民支援の使命感に燃える大学院生から一転、原因も治療法も不明な難病を患い、「助けられる」当事者になってしまった著者。痛みと苦しみに満ちた病気との闘…
- 今週の本棚:堀江敏幸・評 『メモワール−写真家・古屋誠一との二〇年』=小林紀晴・著 毎日新聞 2013年03月24日 東京朝刊 (集英社・1785円) ◇悲劇に昂ぶる“人間の闇”を追って 若い写真家が先達の仕事に強く引きつけられ、その作品を前に感じた昂(た…
さて、個人的な状況報告が続き申し訳ございませんが、昨日は雨の中の引っ越しでしたが、一夜あけると快晴。ベランダから雄大な富士山を拝見することがきました。四月一日から新年度。さらに勢いをつけてがんばっていこうと思います。
- 『郷愁と童心の詩人 野口雨情伝』 野口不二子著評・畠山重篤(カキ養殖業) 孫ならではの秘話 明日3月11日で東日本大震災から2年を迎える。岩手、宮城、福島の被害は甚大だが、茨城も津波に襲われた。 筆者の野口不二子さんは野口雨情の直系の孫に当た…
- 『バタイユ 聖なるものから現在へ』 吉田裕著評・管 啓次郎(詩人・比較文学者・明治大教授) 不安が生んだ思想 太陽がすべてを与えている。地球上の生命とは太陽エネルギーが変換された現象にすぎない。 あたりまえのことだが、何度でも確認しておく必要…
さて本日は、夕方からお引っ越し。 近所ですが、10年くらした家を後に、新居へ。しかし、引っ越しやさんの手気の良さに驚いてしまいます。前提としては、お金を払ってという商売にはなりますが、金額以上のことをして頂いたというのが実感です。ありがとう…
- 戦後変格派・山田風太郎―敗戦・科学・神・幽霊 [著]谷口基 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年03月17日■「戦中派」の原罪意識を見抜く 山田風太郎は多面体の貌(かお)を持つ作家だ。推理、SF、時代、科学、怪談、信仰の分野の小説を書…
- キャパの十字架 [著]沢木耕太郎 [評者]後藤正治(ノンフィクション作家) [掲載]2013年03月17日■「贋」背負い「真」へ、1枚の写真への旅 第二次世界大戦前夜に戦われたスペイン内戦。共和国軍(人民戦線)は反乱軍(ファシズム陣営)に敗れ去るが、多くの人…
- くらしの明日 私の社会保障論 誰にも介護虐待のリスク 湯浅誠 反貧困ネットワーク事務局長 親が要介護になる。介護ヘルパーを頼んでも、必要な介護のすべてがカバーできるわけではない。家族・親族でカバーするしかないが、昔の大家族ならともかく、今の核…
- 統計学が最強の学問である―データ社会を生き抜くための武器と教養 [著]西内啓 [評者]川端裕人(作家) [掲載]2013年03月17日■最速で最善の答えを出すために 挑発的なタイトル。統計学を「最強の武器」と位置づける。「どんな分野においてもデータを集めて最…
- 銀座並木通り [著]池波正太郎 [評者]逢坂剛(作家) [掲載]2013年03月17日■心に食い込む不思議なリズム 最後の文士(とあえていおう)池波正太郎は、すでに死して23年になろうとするが、今もなお広く江湖に読み継がれる、稀有(けう)の作家の一人である。…
- みんなの広場 橋下市長は任命責任果たしたか 無職 69(大阪府豊中市) 橋下徹・大阪市長は、自身の肝煎りの公募で就任した区長の一人を更迭するという。昨年8月の就任からわずか7カ月。報道によると、私用で会議を欠席したり、途中退席したりすることが…
- 当事者研究の研究 石原 孝二 編 2013年3月17日 ◆「自分語り」で取り戻す自分 [評者] 佐藤 幹夫 フリージャーナリスト。著書に『ハンディキャップ論』など。 べてるの家。障害当事者による自分語りなどのユニークな活動で、その名を全国に轟(とどろ)か…
- 今週の本棚:明治神宮 「伝統」を創った大プロジェクト 今泉宣子・著(新潮選書・1575円) 年間一千万人が参拝する明治神宮は、社だけでなく、高層ビルを望む七十二ヘクタールの杜の存在感が大きい。明治天皇の御息所を東京にという願いから造られたも…
- ――ただ気の向くままに―― おおそうだ。気の向くままに放浪さえしていれば、俺には希望があった、光明があった。放浪をやめて、一つ土地に一つ仕事にものの半年も辛抱することが出来ないのが、俺の性分であった。人にコキ使われて、自己の魂を売ることが俺に…