2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「「自分の一部を訳しているよう」 村上春樹さん、チャンドラーの長編7作完訳」、『朝日新聞』2017年12月22日(金)付。

- 「自分の一部を訳しているよう」 村上春樹さん、チャンドラーの長編7作完訳 2017年12月22日 写真・図版 チャンドラー小説の村上春樹さんによる新訳作品 米国の作家レイモンド・チャンドラー(1888〜1959)の小説を村上春樹さんが新訳した『水底(…

日記:松本清張『砂の器』を読む/「人間への関心」とは至極、現代的課題である。

知人の勧めで松本清張『砂の器』を読む。清張の作品はノンフィクションしか読んだことがなく、小説は初めてだが、一気に読み終えた。ネタバレを慎み筋は横に置くが、読書の楽しみとは、知識を得たり蒙を啓くことだけにあるのではなく、読むこと自体の楽しみ…

覚え書:「折々のことば:973 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月26日(火)付。

- 折々のことば:973 鷲田清一 2017年12月26日 After all, tomorrow is another day. (マーガレット・ミッチェル) ◇ 「だって、あしたは今日とは別の日だから」。波瀾万丈(はらんばんじょう)の人生、主人公は愛する夫…

覚え書:「【論壇時評】 積極的棄権論 選挙ルールのゆがみ指摘 中島岳志」、『東京新聞』2017年11月28日(火)付。

- 【論壇時評】 積極的棄権論 選挙ルールのゆがみ指摘 中島岳志 2017年11月28日 今回の衆院選で、最も重要な問題提起だったのは、東浩紀(あずまひろき)の「積極的棄権」論だと思う。東はインターネット上で「2017年秋の総選挙は民主主義を破壊している…

覚え書:「【考える広場】安室奈美恵と私たち」、『東京新聞』2017年12月16日(土)付。

- 【考える広場】 安室奈美恵と私たち 2017年12月16日 四半世紀にわたりトップを走った歌手安室奈美恵さん(40)= 参照=が来年九月、引退する。歌もダンスも切れ味抜群。かっこよさと自分なりの生き方が、ファンの羨望(せんぼう)を集めもした。「安室…

日記:honorよりもdignityを

人間が誇りをもって生きるということを表現するには、honorではなくてdignityを宛てるべきなのではないかと反省している。honorには上下関係のなかで定位という意味が色濃くあって、そうではない人間の尊厳を考えていかなければならないからね。前者は唾棄さ…

覚え書:「折々のことば:971 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月24日(日)付。

- 折々のことば:971 鷲田清一 2017年12月24日 サンタクロースがいなければ……人間のあじわうよろこびは、ただ目にみえるもの、手でさわるもの……だけになってしまうでしょう。 (フランシス・P・チャーチ) ◇ サンタクロースってほんとにいるの? 189…

覚え書:「【考える広場】子連れ出勤、ダメですか?」、『東京新聞』2017年12月09日(土)付。

- 【考える広場】 子連れ出勤、ダメですか? 2017年12月9日 熊本市議が乳飲み子をだっこして議場に現れ、同伴出席を試みたが、認められなかった。「アグネス論争」から三十年たち、子連れ出勤への社会の目は変貌への過渡期にある。子育て中の本紙記者三人が…

覚え書:「【考える広場】刑務所から見るニッポン 佐藤直子・論説委員が聞く」、『東京新聞』2017年11月25日(土)付。

- 【考える広場】 刑務所から見るニッポン 佐藤直子・論説委員が聞く 2017年11月25日 刑務所の内側を想像したことがありますか。映画や小説に出てくるような残忍な受刑者はむしろ少なく、そこで刑に服しているのは、貧困のために無銭飲食や万引などの軽微な…

日記:森本あんり『異端の時代――正統のかたちを求めて』岩波新書、発売。

今月21日刊行の新書『異端の時代――正統のかたちを求めて』の見本を、ICUの森本あんり先生にお届けしてきました。この機会にお薦めの本、また『異端の時代』の読み方(何章から読むのがお薦めか?)もうかがいました。近日「B面の岩波新書」にUP予定です。 pi…

覚え書:「【考える広場】移住女子−都会と地方」、『東京新聞』2017年11月18日(土)付。

- 【考える広場】 移住女子−都会と地方 2017年11月18日 都会の女性の間に「移住女子」になる願望が高まっているという。東京一極集中は続き「家族はどうするの」「子育ては」「しきたりは大変よ」など課題も多い中、地方への夢はなぜ膨らんでいるのか。 <移…

覚え書:「【考える広場】二重国籍が問うもの」、『東京新聞』2017年11月04日(土)付。

- 【考える広場】 二重国籍が問うもの 2017年11月4日 民進党元代表・蓮舫議員の二重国籍騒ぎで、日本人の国籍への考え方がクローズアップされた。難民問題が国際問題になり、日本の国際化も進む中で、二重国籍問題を含めて「日本人ファースト」の空気感が国…

覚え書:「【考える広場】 「施設」と「家庭」−児童養護のあり方」、『東京新聞』2017年11月11日(土)付。

- 【考える広場】 「施設」と「家庭」−児童養護のあり方 2017年11月11日 虐待や貧困などのため、親元で暮らせない子は、国内で約四万六千人。この子らを社会としてどう育てるか。国は今夏「施設より里親を優先」という新目標を導入した。児童養護の現場の声…

日記:未来へ、或いは過去へ、思考が自由な時代、人が個人個人異なりながら孤独ではない時代へ―

「真実が存在し、なされたことがなされなかったことに改変できない時代へ向けて」。言葉の意味がすり替えられ、あったことがなかったことにされる現代こそ、ジョージ・オーウェル(高橋和久訳)『一九八四年』(早川書房)読まずに何ができようか。こんなSF…

覚え書:「折々のことば:970 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月23日(土)付。

- 折々のことば:970 鷲田清一 2017年12月23日 感覚について言えば、不平不満が「形容詞」には渦巻いているようでもある。 (森山卓郎) ◇ 色名は無数にあるのに、まずい、辛い、苦い、酸っぱいなど、味覚を表す形容詞は意外に少ない。昔の人は素材をその…

覚え書:「社説 憲法70年 筋道立たない首相発言」、『朝日新聞』2017年12月21日(木)付。

- 社説 憲法70年 筋道立たない首相発言 2017年12月21日 自民党の憲法改正推進本部が、衆院選で公約に掲げた改憲4項目に関する「論点取りまとめ」を公表した。 焦点の9条については、1項と2項を維持して自衛隊を明記する安倍首相の案と、戦力不保持をう…

覚え書:「耕論 明治維新150年 三谷博さん、色川大吉さん」、『朝日新聞』2017年12月20日(水)付。

- 耕論 明治維新150年 三谷博さん、色川大吉さん 2017年12月20日 写真・図版 イラスト・田中和 来年は明治元年から数えて150年。政府は施策を数々用意し、「明治の精神に学び、更に飛躍する国へ」とうたう。NHK大河ドラマの主役は西郷隆盛だ。だが…

書評:ジーン・シャープ(瀧口範子訳)『独裁体制から民主主義へ 権力に対抗するための教科書』(ちくま学芸文庫)。

ジーン・シャープ(瀧口範子訳)『独裁体制から民主主義へ 権力に対抗するための教科書』(ちくま学芸文庫)紐解く。なぜ非暴力不服従が有効なのか? 答えは簡単だ。独裁者は統治する民衆の支えを必要とするからだ。歴史的変革を事例に198の方法を提案す…

覚え書:「折々のことば:969 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月22日(金)付。

- 折々のことば:969 鷲田清一 2017年12月22日 内と外との区別は、自と他との区別が入りこんでくるところでのみ可能になる (ガブリエル・マルセル) ◇ 白い球面に○を書く。円周のいずれの側を内とし外とするかは、それだけでは決定不能である。円周のい…

覚え書:「安保考 日米同盟の現在地 奥谷禮子さん、杉本正彦さん、佐藤丙午さん」、『朝日新聞』2017年12月19日(火)付。

- 安保考 日米同盟の現在地 奥谷禮子さん、杉本正彦さん、佐藤丙午さん 2017年12月19日写真・図版 イラスト・大屋信徹 北朝鮮危機が高まった今年、日本の安全保障のあり方が何度も問われた。トランプ氏は、米国の武器を大量購入すればよい、とあからさまにい…

覚え書:「記者有論 戦争と人間 リアリズム、歴史から学べ 三浦俊章」、『朝日新聞』2017年12月19日(火)付。

- 記者有論 戦争と人間 リアリズム、歴史から学べ 三浦俊章 2017年12月19日 都内の大学で、20世紀の戦争とジャーナリズムについての講義を始めて3年になる。第1次世界大戦から、今世紀初頭のイラク戦争までを扱う。なぜ戦争が起きたのか、メディアはどう…

日記:ムーミンの作者トーベ・ヤンソンの初期短編集『旅のスケッチ』(筑摩書房)

- カプリとアナカプリから半々の地点で、ふたりは出逢った。彼女はしばしば呆然と辻馬車に坐っていたが、つぎの瞬間、走りでて、彼の腕に飛びこみ、幸福にうち震えながら声をあげて泣いた。説明も質問も必要なかった。 ただ、グレンロス氏は「どう?」といっ…

覚え書:「折々のことば:967 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月20日(水)付。

- 折々のことば:967 鷲田清一 2017年12月20日 人生は、手遅れのくり返しです。 (ある僧侶) ◇ あの時はわからなかったけど今だったらわかるということが、人生にはよくある。自分のしたことが、他人に思いも寄らぬ仕方で受けとめられ戸惑う。他人の人生…

覚え書:「世界発2017 沖縄、特攻、伝え続ける 沈没の米艦エモンズ、戦友会」、『朝日新聞』2017年12月18日(月)付。

- 世界発2017 沖縄、特攻、伝え続ける 沈没の米艦エモンズ、戦友会 2017年12月18日 写真・図版 戦友会に参加したエモンズの4人の元乗組員たち=バファロー、宮地ゆう撮影 太平洋戦争で日本の特攻機の攻撃を受けた後、沖縄の海に沈んだ米海軍の掃海艇エ…

覚え書:「文化の扉 ジャポニスムの魅惑 「素朴で謎めいた国」ゴッホら刺激」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

- 文化の扉 ジャポニスムの魅惑 「素朴で謎めいた国」ゴッホら刺激 2017年12月17日 写真・図版 JAPONISME(ジャポニスム)<グラフィック・高山裕也>写真・図版 日本のアニメやマンガは海外で人気だ。だが昔を振り返ると、19世紀半ば〜20世紀…

日記:文明の歴史は犠牲の内面化の歴史である

- 人間が自分自身を自然としてもはや意識しなくなる瞬間に、人間がそのために生きて行くすべての目的、社会の進歩、あらゆる物質的・精神的力の向上、さらには意識そのものさえ、すべては価値を失ってしまう。そして、手段を目的化して王座に即(つ)かせる…

覚え書:「折々のことば:966 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月19日(火)付。

- 折々のことば:966 鷲田清一 2017年12月19日 人間は動物に戸籍をもちながら、できるだけ動物から逃走し、動物性を拒否し、動物であろうとしない、奇妙な逆説的動物だった (山内昶〈ひさし〉) ◇ ヒトは、食物を摂取し、排泄(はいせつ)するという代謝…

覚え書:「日曜に想う トンネルを抜けたその先には 編集委員・曽我豪」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

- 日曜に想う トンネルを抜けたその先には 編集委員・曽我豪 2017年12月17日 写真・図版 「ヒツジカゲ 羊影」 絵・皆川明 1989年1月8日午前0時。平成になった瞬間、関門海峡の下を通る列車内にいた。正確には通路を走っていた。 まだ20代で、北九州…

覚え書:「ザ・コラム 核戦争になる前に 被爆校舎で首脳会談を 駒野剛」、『朝日新聞』2017年12月14日(木)付。

- ザ・コラム 核戦争になる前に 被爆校舎で首脳会談を 駒野剛 2017年12月14日 極東は朝鮮戦争以来の危機にある。 北朝鮮が核実験を繰り返し、11月29日にも核兵器を運搬する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射テストを行った。 米国は原子力空母3隻を…

日記:浮くものが好き=谷川俊太郎

- ふんわり浮くもの谷川 ラジオは、だいぶあとですね。戦争ですったもんだで……。なんだろうねえ。やっぱり、小学生のころは、模型飛行機でしょうね(引用者注…好奇心の対象について)。 工藤 その話、ちゃんと聞いたことがない。なぜ好きになったのですか? …