2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「今週の本棚:『橋下徹現象と部落差別』=宮崎学・小林健治・著」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。

- 今週の本棚:橋下徹現象と部落差別 宮崎学・小林健治著 (にんげん出版モナド新書) 橋下徹・大阪市長の出自を取り上げて論じた『週刊朝日』の緊急連載は、橋下氏の抗議などを受けて中止に追い込まれた。そうした報道の問題点について、作家の宮崎学氏と部…

覚え書:「今週の本棚:湯川豊・評 『ちょうちんそで』=江國香織・著」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。

- 今週の本棚:湯川豊・評 『ちょうちんそで』=江國香織・著 毎日新聞 2013年02月24日 東京朝刊 (新潮社・1365円) ◇愛しすぎた人間のなかに残ったもの 江國香織氏の新しい長篇小説には、ずいぶん斬新な工夫がその構造の中にほどこされている。端正で落…

覚え書:「時流底流 『ミゼラブル』な番号=小笠原みどり」、『毎日新聞』2013年02月23日(日)付。

- 時流底流 「ミゼラブル」な番号 小笠原みどり ジャーナリスト ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」が日本で洋画久々の大ヒットとなっている。人が困難な人生を生きるのに必要なのはなによりも愛と信頼であること、理想のために闘い倒れても精神を受け継ぐ…

覚え書:「今週の本棚:松原隆一郎・評 『残すべき建築』=松隈洋・著」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。

- 今週の本棚:松原隆一郎・評 『残すべき建築』=松隈洋・著 毎日新聞 2013年02月24日 東京朝刊 (誠文堂新光社・1890円) ◇モダニズムの“初心”から解体の無頓着に抗する 日常の生活で出会う、ちょっとした風景に愛着を覚えることは、誰もが経験している…

覚え書:「今週の本棚:持田叙子・評 『冥府の建築家−ジルベール・クラヴェル伝』=田中純・著」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。

- 今週の本棚:持田叙子・評 『冥府の建築家−ジルベール・クラヴェル伝』=田中純・著 毎日新聞 2013年02月24日 東京朝刊 ◇持田叙子(のぶこ)評 (みすず書房・5250円) ◇「骸」をひきずり「不死」の建築をのこした男の生涯 これは、生れつき重い宿痾(…

書評+研究ノート:シーナ・アイエンガー(櫻井祐子訳)『選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』文藝春秋、2010年。

- コカ・コーラは一八八六年に発明されて以来、攻撃的でしばしば巧妙な広告戦略を通じて、消費者の心とアメリカ文化の中にしっかりと根を下ろしてきた。コカ・コーラ者は、イメージが製品そのものより重要だということに、いち早く気がついた企業だ。この一…

覚え書:「今週の本棚:歴史の愉しみ方=磯田道史・著」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。

- 今週の本棚:歴史の愉しみ方 磯田道史 (中公新書・777円) 人は齢を重ねるとともに古の出来事に関心が出てくるもの。自分自身にも歴史が刻まれて行くのだから、自然の理である。だが、ときには天賦の才に恵まれ、幼児のころから過去の事象に異常なほど…

覚え書:「今週の本棚:養老孟司・評 『アリの巣の生きもの図鑑』=丸山宗利ほか著」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。

- 今週の本棚:養老孟司・評 『アリの巣の生きもの図鑑』=丸山宗利ほか著 毎日新聞 2013年02月24日 東京朝刊 (東海大学出版会・4725円) ◇たがいに関わり合って生きる者たちに学ぶ とても面白い図鑑である。アリの巣に住んだり、アリの巣となにか関係を…

覚え書:「みんなの広場 『無知の知』を友人関係や外交に」、『毎日新聞』2013年02月20日(水)付。

- みんなの広場 「無知の知」を友人関係や外交に 高校生 17(東京都清瀬市) 先哲ソクラテスの「無知の知」という言葉を学校で知った。この言葉は、自分の知恵が完全でないことに気がついている、言い換えれば無知であることを知っている点において、知恵者…

覚え書:「異論反論 安倍首相が沖縄を訪問しました=佐藤優」、『毎日新聞』2013年02月20日(水)付。

- 異論反論 安倍首相が沖縄を訪問しました 寄稿 佐藤優「沖縄の主権」直ちに認めよ 2日、安倍晋三首相が日帰りで沖縄を訪問し、仲井真弘多県知事と会談した。報道から判断すると、MV22オスプレイの沖縄配備強行問題、米開閉隊普天間飛行場の辺野古(同…

覚え書:「悼む 病と闘いながら歌い続け=熊谷たみ子さん アイヌ民族のジャズ歌手」、『毎日新聞』2013年02月23日(土)付。

- 悼む 病と闘いながら歌い続け 熊谷たみ子さん アイヌ民族のジャズ歌手 大腸がんのため 1月2日死去・60歳1枚のCDが手元にある。東日本大震災後、被災者支援を目的に有志で自主制作した。タイトルは「大地よ」。 同じくアイヌ民族の宇梶静江さん(79…

絶望工場日記(2)

- ごく一般的な話として、あらゆる種類の領域において全面的もしくはほぼ全面的に技術(テクニーク)が支配するとき、いたるところで悪が優勢になることは避けられない。 技術者はかならず支配者たらんとする。自分たちこそ問題を熟知する専門家だと感じてい…

覚え書:「書評:『「加藤周一」という生き方』 鷲巣力著」、『読売新聞』2013年02月10日(日)付。

- 『「加藤周一」という生き方』 鷲巣力著評・岡田温司(西洋美術史家・京都大教授) 文系と理系の最先端の知に通じ、古今東西の古典を渉猟し、英仏独語を母国語のように自在に操り、サルトルら世界の第一線の知識人たちと対等に渡り歩き、欧米の名門大学で…

覚え書:「書評:『フィールドワークの戦後史』 坂野徹著 評・開沼 博」、『読売新聞』2013年02月10日(日)付。

- 『フィールドワークの戦後史』 坂野徹著評・開沼 博(社会学者・福島大特任研究員) 「辺境」で見えた関係性 戦後復興期、「日本の辺境」に向かった研究者たちはそこに何を見出そうとしたのか。 敗戦の後、人類学・社会学・地理学・宗教学など幅広いジャン…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 対人支援インフラ整備を=湯浅誠」、『毎日新聞』2013年02月22日(金)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 対人支援のインフラ整備を 湯浅誠 反貧困ネットワーク事務局長自殺対策が生み出した利益3000億円 お金の話をしたい。 交通事故で人が亡くなると、加害者は被害者遺族に対して賠償する。その金額は逸失利益を踏まえて算出…

覚え書:「書評:『政治はなぜ嫌われるのか――民主主義の取り戻し方』 コリン・ヘイ著 評・宇野重規」、『読売新聞』2013年02月10日(日)付。

- 『政治はなぜ嫌われるのか――民主主義の取り戻し方』 コリン・ヘイ著評・宇野重規(政治学者・東京大教授) 世界共通の気分 まずはテストをしていただきたい。あなたは次の三つの言明をその通りだと思うか。 第一、政治家はいくら建前で公共を語っても、実…

覚え書:「書評:ニュートンと贋金づくり [著]トマス・レヴェンソン [評者]荒俣宏(作家)」、『朝日新聞』2013年02月17日(日)付。

- ニュートンと贋金づくり [著]トマス・レヴェンソン [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年02月17日 [ジャンル]歴史 ■「怖い官僚」になった大科学者 あの大科学者ニュートンは「金」に縁がある。長年ひそかに研究したのは錬金術だったし、当時の錬金術は「贋金づ…

書評:木村涼子『〈主婦〉の誕生 婦人雑誌と女性たちの近代』吉川弘文館、2010年。

- 近代社会が提示した女性の新しいライフスタイルは、社会的な孤立を女性に強いるものであった。「男は仕事、女は家庭」という性分業によれば、学校卒業後、男性は高等教育機関や軍隊、官庁、工場、会社など、その他の近代的な組織に参入していくのに対し、…

覚え書:「書評:写真家 井上青龍の時代 [著]太田順一 [評者]後藤正治(ノンフィクション作家)」、『朝日新聞』2013年02月17日(日)付。

- 写真家 井上青龍の時代 [著]太田順一 [評者]後藤正治(ノンフィクション作家) [掲載]2013年02月17日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■ドヤ街に住み、撮影した無頼派 大阪・釜ケ崎は日本有数のドヤ街として知られる。昭和30年代、幾度か暴動も起きた。…

覚え書:「書評:地図をつくった男たち―明治の地図の物語 [著]山岡光治 [評者]楊逸(作家)」、『朝日新聞』2013年02月17日(日)付。

- 地図をつくった男たち―明治の地図の物語 [著]山岡光治 [評者]楊逸(作家) [掲載]2013年02月17日 [ジャンル]歴史 ■当たり前の裏側に先人の努力 日本の近代地図の始まりは伊能忠敬の「大日本沿海輿地(よち)全図」いわゆる「伊能図」なのだが、これは大変精…

覚え書:「みんなの広場 軍隊で受けた恐怖の体罰体験」、『毎日新聞』2013年02月18日(月)付。

- みんなの広場 軍隊で受けた恐怖の体罰体験 無職 86(山口県光市) 連日のように体罰に関連する話題がマスメディアで取り上げられている。大阪市立桜宮高校バスケットボール部主将の男子生徒が顧問の体罰を受けた後に自殺したことが燎原の火のように全国…

覚え書:「書評:ふたつの講演―戦後思想の射程について [著]加藤典洋」、『朝日新聞』2013年02月17日(日)付。

- ふたつの講演―戦後思想の射程について [著]加藤典洋 [掲載]2013年02月17日 [ジャンル]社会 鶴見俊輔や吉本隆明らの「戦後思想」は圧倒的な外来思想への抵抗だった。それを受け継ぎ、その先に出るには、「戦後」がなくても善悪を考えられる足場を築くことだ…

覚え書:「書評:革命の季節―パレスチナの戦場から [著]重信房子/オウム事件 17年目の告白 [著]上祐史浩 [評者]保阪正康」、『朝日新聞』2013年02月17日(日)付。

- 革命の季節―パレスチナの戦場から [著]重信房子/オウム事件 17年目の告白 [著]上祐史浩 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年02月17日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■空虚さ漂う自省、歴史の歪み続く 1960年代後半から70年代に…

書評:南原繁研究会編『平和か戦争か 南原繁の学問と思想』to be出版、2008年。

- 南原は、その生涯において一度だけバルトと出会っています。一九五二年にヨーロッパを回ったとき、ドイツでは歴史家フリードリヒ・マイネッケやヒトラーと闘ったバルトの盟友マルティン・ニーメラーなどと出会い、とても共感を覚えています。 「私がドイツ…

覚え書:「今週の本棚:川本三郎・評 『江分利満家の崩壊』=山口正介・著」、『毎日新聞』2013年02月17日(日)付。

- 今週の本棚:川本三郎・評 『江分利満家の崩壊』=山口正介・著 毎日新聞 2013年02月17日 東京朝刊 (新潮社・1470円) ◇切実な覚悟で記した、亡き両親の私小説 山口瞳が死去したのは一九九五年(平成七年)。 子息である著者と、母親の二人だけの暮ら…

覚え書:「今週の本棚:小島ゆかり・評 『月の名前』=文・高橋順子、写真・佐藤秀明」、『毎日新聞』2013年02月17日(日)付。

- 今週の本棚:小島ゆかり・評 『月の名前』=文・高橋順子、写真・佐藤秀明 毎日新聞 2013年02月17日 東京朝刊 (デコ・2625円) ◇「銀の皿」に寄せる古今の詩歌のゆたかさ 詩人・高橋順子と写真家・佐藤秀明のコンビによる『雨の名前』『風の名前』『花…

「今のところ小康状態を保っていると言っていいのかと思います」が、またしても悪夢再来という拳(涙

- 昨年は第三回のシンポジウムをはさんで、教育基本法の改正、改悪と言ってもいいのですが、それが衆議院、参議院で可決されて、通ってしまいました。その時私共は、来年はひょっとしたら憲法改正が大きな話題になるのではないかと恐れておりましたけれども…

覚え書:「今週の本棚:富山太佳夫・評 『アンチモダン−反近代の精神史』=A・コンパニョン著」、『毎日新聞』2013年02月17日(日)付。

- 今週の本棚:富山太佳夫・評 『アンチモダン−反近代の精神史』=A・コンパニョン著毎日新聞 2013年02月17日 東京朝刊 (名古屋大学出版会・6615円) ◇“近代と反近代”複雑きわまりない関係に迫る 本を読むことの楽しみは、他の人が読まない本を読むこと…

覚え書:「今週の本棚:山崎正和・評 『子供の哲学−産まれるものとしての身体』=檜垣立哉・著」、『毎日新聞』2013年02月17日(日)付。

- 今週の本棚:山崎正和・評 『子供の哲学−産まれるものとしての身体』=檜垣立哉・著毎日新聞 2013年02月17日 東京朝刊 (講談社選書メチエ・1575円) ◇近代的自我を超える生殖の観点 近代の哲学は自我の存在、あるいは自我の意識を原点として世界を考え…

覚え書:「みんなの広場 今も忘れない鉄拳制裁の恐怖」、『毎日新聞』2013年02月16日(土)付。

- みんなの広場 今も忘れない鉄拳制裁の恐怖 自営業 67(大分県佐伯市) 50年以上前の中学生の頃の出来事が、今も忘れられずに心に残っている。男子の簿記を担当していた男性教師は、生徒の一人でも態度が悪かったり口答えをしたりすると、全員を並ばせて…