2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「ギャンブラー・モーツァルト 「遊びの世紀」に生きた天才 [著]ギュンター・バウアー [評者]横尾忠則」、『朝日新聞』2013年09月22日(日)付。

- ギャンブラー・モーツァルト 「遊びの世紀」に生きた天才 [著]ギュンター・バウアー [評者]横尾忠則(美術家) [掲載]2013年09月22日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■社交の主役、ゲームの魔術師 今まで読んだ何冊かのモーツァルトの伝記でも、彼の常軌…

覚え書:「『東洋の魔女』論 [著]新雅史 [評者]水野和夫」、『朝日新聞』2013年09月22日(日)付。

- 「東洋の魔女」論 [著]新雅史 [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2013年09月22日 [ジャンル]歴史 ■紡績業通して語る日本戦後論 本書の途中でページをめくることができなくなった。「女工に負けたら恥じよ」と当時強豪の女子校チームに野次(やじ…

書評:北川達夫・平田オリザ『ニッポンには対話がない』三省堂、2008年。

- 北川 相手の見解があって自分の見解がある、それが対立する、対立するとお互いが変わってくる。まさに、その変わってくるところを楽しめるか、そこを重視できるかですよね。回避をせずに、対立を恐れないでぶつかって、そのうえでお互いにどう変われるか、…

覚え書:「カッパ・ブックスの時代 [著]新海均 [評者]内澤旬子」、『朝日新聞』2013年09月22日(日)付。

- カッパ・ブックスの時代 [著]新海均 [評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター) [掲載]2013年09月22日 [ジャンル]人文 ■熱い本作りの場、暗転の軌跡描く 1970年代、小学生のときにはじめて手にした大人向けの本といえば、カッパ・ブックスだ。『頭の体…

覚え書:覚え書:「境界なき土地 [著]ホセ・ドノソ [評者]いとうせいこう」、『朝日新聞』2013年09月22日(日)付。

- 境界なき土地 [著]ホセ・ドノソ [評者]いとうせいこう(作家・クリエーター) [掲載]2013年09月22日 [ジャンル]文芸 ■無意識と抗えぬ血が湧き出す 南米チリの作家ホセ・ドノソは前世紀の終わり頃に亡くなっている。作品が日本に紹介されたのは主に70年代の…

覚え書:「『南原繁と新渡戸稲造 −私たちが受け継ぐべきもの−』 EDITEXから刊行」、『週刊読書人』2013年9月27日(金)付。

- 『南原繁と新渡戸稲造 −私たちが受け継ぐべきもの−』 EDITEXから刊行 (有)EDITEX(エディテクス=東京都文京区本郷2-35-17コート本郷301)から南原繁研究会編『南原繁と新渡戸稲造−−私たちが受け継ぐべきもの−−』が刊行された。A5判212…

覚え書:「書評:混浴と日本史 下川 耿史 著」、『東京新聞』2013年09月22日(日)付。

- 【書評】混浴と日本史 下川 耿史 著 2013年9月22日 ◆禁じられた性の享楽 [評者]岡村民夫=法政大教授 著者は名高い性風俗史研究家。『公衆浴場史』や武田勝蔵の先行研究を踏まえた本書は、日本の入浴文化の通史として読めるが、やはり性との関係を重視し…

覚え書:「書評:イエス・キリストの生涯 小川 国夫 著」、『東京新聞』2013年09月22日(日)付。

- 【書評】イエス・キリストの生涯 小川 国夫 著 2013年9月22日 ◆奇蹟の意味、背景描く [評者]横尾和博=文芸評論家 世界で一番有名なのに、世界でもっとも謎の多い人物がイエス・キリスト。その生涯は多くの作家の創作意欲を掻(か)き立てた。現代日本文…

覚え書:「みんなの広場 あまりにものんきすぎる国会」、『毎日新聞』2013年09月26日(木)付。

- みんなの広場 あまりにものんきすぎる国会 中学校講師 61(京都府舞鶴市) 先の国際オリンピック委員会(IOC)総会で安倍晋三首相は東京五輪の招致演説の際、原発汚染水について「状況はコントロールされている」と発言した。世界に向けられたこの言葉…

覚え書:「<脳と文明>の暗号 M・チャンギージー 著 中山宥訳」、『東京新聞』2013年09月22日(日)付。

- 【書評】<脳と文明>の暗号 M・チャンギージー 著 中山宥訳 2013年9月22日 ◆音楽の起源は足音のまね [評者]金子務=科学史家 音楽が魂を揺さぶり、人を踊らせるのはなぜだろう? この難問に、人工知能研究者の著者はこともなげに、音楽が自然をまねて…

覚え書:「松岡二十世とその時代 北海道、満洲、そしてシベリア 松岡 將 著」、『東京新聞』2013年09月22日(日)付。

- 松岡二十世とその時代 北海道、満洲、そしてシベリア 松岡 將 著 2013年9月22日 ◆「農民のため」 貫いた生涯 [評者]脇地炯(けい)=評論家 松岡二十世(はたよ)は昭和初頭、エリートの道を捨てて北海道の農民運動に投じた人である。小林多喜二『不在地…

書評:樋口陽一『いま、「憲法改正」をどう考えるか 「戦後日本」を「保守」することの意味』岩波書店、2013年。

樋口陽一『いま、「憲法改正」をどう考えるか 「戦後日本」を「保守」することの意味』岩波書店、読了。安倍首相が力をいれる憲法改正と、なし崩し的にその雰囲気に呑み込まれる世相の何が問題なのか。本書は明治以来の立憲政治と憲法史の伝統から、その問題…

覚え書:「今週の本棚:張競・評 『爪と目』=藤野可織・著」、『毎日新聞』2013年09月22日(日)付。

- 今週の本棚:張競・評 『爪と目』=藤野可織・著 毎日新聞 2013年09月22日 東京朝刊 (新潮社・1260円) ◇愛の不在、孤独をありふれた日常として 不思議な小説である。静かな物語展開なのに、軽やかな文体のなかに微量の鉛がよどんでいる。作品自体は理…

覚え書:「今週の本棚:本村凌二・評 『チーズと文明』=ポール・キンステッド著」、『毎日新聞』2013年09月22日(日)付。

- 今週の本棚:本村凌二・評 『チーズと文明』=ポール・キンステッド著 毎日新聞 2013年09月22日 東京朝刊 (築地書館・2940円) ◇曲折した九千年の足跡をたどる 若いころの記憶では、チーズなんか少しも美味(おい)しくなかった。なにかしら石鹸(せっ…

覚え書:「悼む ロバート・ベラーさん 米宗教社会学者」、『毎日新聞』2013年09月23日(月)付。

- 悼む ロバート・ベラーさん 米宗教社会学者 7月30日死去・86歳魅力的な思考展開 ロバート・ベラーはいかにも学者らしい学者だったが、また荒野を彷徨い、神に問いかける預言者のようでもあった。ウェーバーやデュルケム以来の、人類史的・文明史的な…

覚え書:「今週の本棚:海部宣男・評 『食べられないために』=G・ウォルドバウアー著」、『毎日新聞』2013年09月22日(日)付。

- 今週の本棚:海部宣男・評 『食べられないために』=G・ウォルドバウアー著 毎日新聞 2013年09月22日 東京朝刊 (みすず書房・3570円) ◇昆虫の成功をもたらした進化の驚くべく戦略 いま地球上で一番成功している生物は? 「人間」も一つの答えだが、…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『新編 天才監督 木下惠介』 著者・長部日出雄さん」、『毎日新聞』2013年09月22日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『新編 天才監督 木下惠介』 著者・長部日出雄さん 毎日新聞 2013年09月22日 東京朝刊 (論創社・3150円) ◇正義と家族愛をいま、改めて−−長部日出雄(おさべ・ひでお)さん 映画をこよなく愛する作家が、「本当の人間」を描くこと…

日記:怒の倫理的意味

- 今日、怒の倫理的意味ほど多く忘れられているものはない。怒はただ避くべきものであるかのように考えられている。しかしながら、もし何物かがあらゆる場合に避くべきであるとすれば、それは憎みであって怒ではない。憎しみも怒から直接に発した場合には意…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『沖縄の自立と日本』=大田昌秀・新川明・稲嶺惠一・新崎盛暉、著」、『毎日新聞』2013年09月22日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『沖縄の自立と日本』=大田昌秀・新川明・稲嶺惠一・新崎盛暉、著 毎日新聞 2013年09月22日 東京朝刊 (岩波書店・2205円) 副題は「『復帰』40年の問いかけ」。元県知事と前県知事、沖縄大名誉教授、元沖縄タイムス会長が、論考…

覚え書:「恋歌 [著]朝井まかて」、『朝日新聞』2013年09月15日(日)付。

- 恋歌 [著]朝井まかて [掲載]2013年09月15日 [ジャンル]文芸 気鋭の時代小説作家が、樋口一葉の師として知られる歌人、中島歌子を描いた。幕末から明治にかけて、過酷な運命の下でひたむきに生きる女たちの重厚な物語だ。 明治後期、歌子の部屋で、教え子の…

書評:上丸洋一『「諸君!」「正論」の研究 保守言論はどう変容してきたか』岩波書店、2011年。

上丸洋一『「諸君!」「正論」の研究 保守言論はどう変容してきたか』岩波書店、読了。本書は戦後保守の代表的オピニオン雑誌を材料に、戦後の言論・思想状況の変遷を明らかにする。核武装論や靖国と東京裁判のほか、それぞれの創刊者の対比(池島信平と鹿内…

覚え書:「江戸創業金魚卸問屋の金魚のはなし [著]吉田智子 [評者]出久根達郎」、『朝日新聞』2013年09月15日(日)付。

- 江戸創業金魚卸問屋の金魚のはなし [著]吉田智子 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2013年09月15日 [ジャンル]文芸 科学・生物 ■戦時中は爆弾よけに飼われた 大抵の人が一度は飼った覚えがあるはずだが、その結末は記憶に無い。ふしぎな「ペット」である。は…

覚え書:「原風景のなかへ [著]安野光雅 [評者]原真人」、『朝日新聞』2013年09月15日(日)付。

- 原風景のなかへ [著]安野光雅 [評者]原真人(本社編集委員) [掲載]2013年09月15日 [ジャンル]アート・ファッション・芸能 ■魔法が隠されているよう 安野光雅が描くと、花も森も写実的なようでいて、なぜかだれの絵とも違う、淡く、澄んだ色調になる。独特の…

覚え書:「みんなの広場 満蒙開拓団の悲劇を知る」、『毎日新聞』2013年9月18日(日)付。

- みんなの広場 満蒙開拓団の悲劇を知る 林業 65(北九州市八幡西区) 長野県阿智村に満蒙開拓団の記念館が開館したという道根馨さんの投稿(8月31日)を読み、本棚から「満州移民の村・信州泰阜村の昭和史」(筑摩書房)を出し、読み直しました。当初で言…

覚え書:「死後に生きる者たち―〈オーストリアの終焉〉前後のウィーン展望 [著]マッシモ・カッチャーリ [評者]佐々木敦」、『朝日新聞』2013年09月15日(日)付。

- 死後に生きる者たち―〈オーストリアの終焉〉前後のウィーン展望 [著]マッシモ・カッチャーリ [評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授) [掲載]2013年09月15日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■めくるめく思弁の「連作歌曲」 著者は、ネグリ、アガンベン…

覚え書:「GHQの検閲・諜報・宣伝工作 [著]山本武利 [評者]保阪正康」、『朝日新聞』2013年09月15日(日)付。

- GHQの検閲・諜報・宣伝工作 [著]山本武利 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年09月15日 [ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝 ■見えない形の巧みな言論弾圧 GHQ(連合国軍総司令部)は、日本占領終結後にプレス政策をどのように進…

日記:「哲学には答えがない」わけではなく

哲学の授業をしていると、「哲学には答えがない」ですね、という反応がよくあります。たしかに、これまで義務教育で学習したような意義での「答えがない」のかもしれませんが、厳密には「答えがない」わけではありません。このあたりは最初に断るようにして…

覚え書:「流動化する民主主義―先進8カ国におけるソーシャル・キャピタル [編著]ロバート・D・パットナム [評者]水無田気流」、『朝日新聞』2013年09月15日(日)付。

- 流動化する民主主義―先進8カ国におけるソーシャル・キャピタル [編著]ロバート・D・パットナム [評者]水無田気流(詩人・社会学者) [掲載]2013年09月15日 [ジャンル]政治 社会 ■重要な地域社会の人間関係 絆やつながりの大切さ。東日本大震災以降のひと頃…

覚え書:「日本の『ゲイ』とエイズ―コミュニティ・国家・アイデンティティ [著]新ケ江章友 [評者]内澤旬子」、『朝日新聞』2013年09月15日(日)付。

- 日本の「ゲイ」とエイズ―コミュニティ・国家・アイデンティティ [著]新ケ江章友 [評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター) [掲載]2013年09月15日 [ジャンル]社会 ■愛こそが、最大のリスク?! 1981年、朝日新聞に「ホモ愛好者に凶報」という記事が載…

覚え書:「みんなの広場 東京五輪開催を歓迎できない」、『毎日新聞』2013年09月18日(水)付。

- みんなの広場 東京五輪開催を歓迎できない アルバイト 43(盛岡市) 国際オリンピック委員会(IOC)総会で、東京が2020年のオリンピック開催地に選ばれた。その直前に行われた安倍晋三首相のスピーチを聞いて、がくぜんとした。福島第1原発の状況…