覚え書:「後藤正文の朝からロック 「本当の日本」を書き記す」、『朝日新聞』2017年12月27日(水)付。
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後藤正文の朝からロック 「本当の日本」を書き記す
2017年12月27日
写真・図版
アジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤正文さん
今年の夏に、ロック雑誌で連載していた短編小説をまとめて、『YOROZU〜妄想の民俗史〜』という本を作った。
ロックと民俗史がどうつながるのかという疑問を持つ人が多いと思うけれど、教科書に載ることの少ない庶民の歴史と、ロックなどの大衆音楽には共通項があるのではないかと感じる。
民俗史について書いログイン前の続きてみようと思ったのは、網野善彦や宮本常一らの著書を読むようになったことがきっかけだった。
学校の社会科や日本史の授業で取り上げられるのは、権力者についての歴史であることが多い。
歴史資料も同じように、権力者についての古文書はたくさん残っているけれど、庶民の風習や文化については、あまり文献が残されていないそうだ。
ところが、そうした少ない文献を元に編まれた民俗史の本を読むと、僕たちが学校で教わった「日本」がガラガラと崩れるような、本当の「日本」の端っこに触れたような気分になる。
教科書に書かれた太文字の見出しや年号の後ろには、書き残されなかった庶民の歴史が無言のまま、堆(うずたか)く積みあがっている。
前線で命を落とした名もなき足軽の思いは、想像する以外に方法がない。今を生きる市民の思いも、書かなければ消えてしまう。
歴史小説の執筆は、書き記すことの政治性について考える機会でもあった。(ミュージシャン)
ーー「後藤正文の朝からロック 「本当の日本」を書き記す」、『朝日新聞』2017年12月27日(水)付。
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(後藤正文の朝からロック)「本当の日本」を書き記す:朝日新聞デジタル