覚え書:「折々のことば:978 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月31日(日)付。
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折々のことば:978 鷲田清一
2017年12月31日
うたかたの仮の浮世の、はかない人間の一生を、何に託してみたところで、大なる差違はない
(江戸川乱歩)
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探偵小説のパイオニアは、「誰も面白がらない」ものをと、探偵小説と同性愛文献を蒐集(しゅうしゅう)してきた。何百とある和綴(と)じのものは、本ごとに桐箱(きりばこ)か手製の厚紙の箱に収めた。生来ずぼらな自分が柄になくここまで几帳面になれたのは、それがあくまで「遊戯としての執着」にすぎなかったからだと、醒めた物言いをする。随想「私の蒐集癖」から。
−−「折々のことば:978 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月31日(日)付。
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