2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「書評:魚で始まる世界史 越智 敏之 著」、『東京新聞』2014年07月27日(日)付。

- 魚で始まる世界史 越智 敏之 著 2014年7月27日◆歴史つくったタラ、ニシン [評者]池田智=成城大講師 西欧食文化の軸は動物の肉のイメージが強い。だが、著者によると、それは十八世紀の農業革命によって一年中肉を供給するシステムが確立してからのこと…

覚え書:「書評:街場の共同体論 内田 樹 著」、『東京新聞』2014年07月27日(日)付。

- 街場の共同体論 内田 樹 著 2014年7月27日 ◆効率化が招く生きづらさ [評者]永江朗=フリーライター 「月刊内田樹(?)」と言いたくなるほど毎月のように新刊が出る内田樹であるが、本書は近年、著者が書いてきたことや言ってきたことの総まとめ的な本だ…

覚え書:「今週の本棚:中島京子・評 『吾輩ハ猫ニナル』=横山悠太・著」、『毎日新聞』2014年07月27日(日)付。

- 今週の本棚:中島京子・評 『吾輩ハ猫ニナル』=横山悠太・著 毎日新聞 2014年07月27日 東京朝刊 (講談社・1296円) ◇笑い誘うルビ、日本語の豊かさ再発見 いまから正確に百年前、日本人が競って読んだベストセラー小説が何か、ご存じだろうか。それは…

書評:増井元『辞書の仕事』岩波新書、2013年。

増井元『辞書の仕事』岩波新書、読了。本書は辞書編纂に30年以上係わった著者が、その内幕を丁寧につまびらかにする一冊。非常に面白かった。辞書は「引く」ものなのか「読む」ものなのか。おそらくその両方なのだろう。辞書づくりの「黒子」に徹した著者…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『日露戦争史全3巻』 著者・半藤一利さん」、『毎日新聞』2014年07月27日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『日露戦争史全3巻』 著者・半藤一利さん 毎日新聞 2014年07月27日 東京朝刊 (平凡社・各1728円) ◇戦史、文学史両面から見た成果−−半藤一利(はんどう・かずとし)さん ベストセラー『昭和史』の著者、「歴史探偵」が今回描いた…

覚え書:「今週の本棚:本村凌二・評 『神と黄金 上・下』=ウォルター・ラッセル・ミード著」、『毎日新聞』2014年07月27日(日)付。

- 今週の本棚:本村凌二・評 『神と黄金 上・下』=ウォルター・ラッセル・ミード著 毎日新聞 2014年07月27日 東京朝刊 ◇『神と黄金 イギリス、アメリカはなぜ近現代世界を支配できたのか 上・下』 (青灯社・各3456円) ◇ローマ帝国に重なって見える米英…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『映画の奈落 北陸代理戦争事件』=伊藤彰彦・著」、『毎日新聞』2014年07月27日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『映画の奈落 北陸代理戦争事件』=伊藤彰彦・著 毎日新聞 2014年07月27日 東京朝刊 (国書刊行会・2592円) 「北陸の帝王」こと川内組組長、川内弘をモデルにした東映映画「北陸代理戦争」(深作欣二監督、松方弘樹主演)。公開約1…

拙文:「読書 社会はなぜ左と右にわかれるのか ジョナサン・ハイト著」、『聖教新聞』2014年07月26日(土)付。

- 読書 社会はなぜ左と右にわかれるのか ジョナサン・ハイト著 高橋洋訳まず直観に基づく道徳的判断 道徳的判断を下す際、それは直観ではなく理性によって導かれると、普段、私たちは考えるが、実際には逆らしい。 本書は膨大な心理実験から「まず直観、それ…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『第一次世界大戦と日本』=井上寿一・著」、『毎日新聞』2014年07月27日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『第一次世界大戦と日本』=井上寿一・著 毎日新聞 2014年07月27日 東京朝刊 (講談社現代新書・864円) 今年開戦100年を迎えた第一次世界大戦。関連書の刊行も相次いでいる。本書は、この戦争の日本への影響を新書の形式でコンパ…

覚え書:「今週の本棚:井波律子・評 『二千七百の夏と冬 上・下』=荻原浩・著」、『毎日新聞』2014年07月27日(日)付。

- 今週の本棚:井波律子・評 『二千七百の夏と冬 上・下』=荻原浩・著 毎日新聞 2014年07月27日 東京朝刊 (双葉社・各1404円) ◇縄文・弥生人骨が語る歴史ファンタジー 東日本大震災から数か月後の2011年夏、関東某所のダム建設予定地から、およそ…

覚え書:「今週の本棚:養老孟司・評 『渇きの考古学−水をめぐる人類のものがたり』=スティーヴン・ミズン著」、『毎日新聞』2014年07月27日(日)付。

- 今週の本棚:養老孟司・評 『渇きの考古学−水をめぐる人類のものがたり』=スティーヴン・ミズン著 毎日新聞 2014年07月27日 東京朝刊 (青土社・3888円) ◇古代遺跡が教える「自然とともに仕事を」 ヒトとドブネズミはとくに多くの水を必要とする哺乳…

覚え書:「発言 海外から:『集団的自衛権』という軍服=デビッド・パーマー」、『毎日新聞』2014年07月23日(水)付。

- 発言 海外から 「集団的自衛権」という軍服 デビッド・パーマー メルボルン大客員研究員(歴史・政治学) 安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をした。「集団的自衛権」という言葉に力点を置くのは、平和憲法を前提とする日本独特の現象で…

覚え書:「ミッション・トゥ・マーズ 火星移住大作戦 [著]バズ・オルドリン」、『朝日新聞』2014年07月20日(日)付。

- ミッション・トゥ・マーズ 火星移住大作戦 [著]バズ・オルドリン [掲載]2014年07月20日 [ジャンル]科学・生物 著者は1969年7月20日(日本時間21日)、アポロ11号でアームストロング船長と共に人類で初めて月面着陸した宇宙飛行士。NASAを…

覚え書:「音楽の進化史 [著]ハワード・グッドール [評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)」、『朝日新聞』2014年07月20日(日)付。

- 音楽の進化史 [著]ハワード・グッドール [評者]島田雅彦(作家・法政大学教授) [掲載]2014年07月20日 [ジャンル]歴史 人文 ■洗練への過程、謎解きの面白さ 古代の骨笛からボーカロイドまで、洞窟での宗教儀礼からiTunesまで、偶然の発見や複雑な体…

覚え書:「SFを実現する 3Dプリンタの想像力 [著]田中浩也 [評者]佐倉統(東京大学教授・科学技術社会論)」、『朝日新聞』2014年07月20日(日)付。

- SFを実現する 3Dプリンタの想像力 [著]田中浩也 [評者]佐倉統(東京大学教授・科学技術社会論) [掲載]2014年07月20日 [ジャンル]科学・生物 社会 ■社会の凝りや澱がほぐされる タイトルの「SF」は、通常の「サイエンス・フィクション」に、「ソーシ…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 『かかりつけ医』を一歩に」、『毎日新聞』2014年07月23日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 「かかりつけ医」を一歩に 「病院頼み」からの脱却目指し 宮武剛 目白大大学院客員教授 かつて開業医の往診カバンには「200票入っている」と言われた。往診で地域を歩き、生活相談にも応じた町医者への信頼が集票力につな…

覚え書:「ファストファッション クローゼットの中の憂鬱 [著]エリザベス・L・クライン [評者]水無田気流(詩人・社会学者)」、『朝日新聞』2014年07月20日(日)付。

- ファストファッション クローゼットの中の憂鬱 [著]エリザベス・L・クライン [評者]水無田気流(詩人・社会学者) [掲載]2014年07月20日 [ジャンル]社会 ■現代社会の消費文化の縮図 今や私たちの日常生活を覆い尽くしている、「ファスト」な消費文化。規…

覚え書:「サルなりに思い出す事など 神経科学者がヒヒと暮らした奇天烈な日々 [著]ロバート・M・サポルスキー [評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家)」、『朝日新聞』2014年07月20日(日)付。

- サルなりに思い出す事など 神経科学者がヒヒと暮らした奇天烈な日々 [著]ロバート・M・サポルスキー [評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家) [掲載]2014年07月20日 [ジャンル]科学・生物 社会 ■アフリカとの裸のつきあい ケニヤの森で20年以上…

覚え書:「エラスムス 人文主義の王者 [著]沓掛良彦 [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)」、『朝日新聞』2014年07月20日(日)付。

- エラスムス 人文主義の王者 [著]沓掛良彦 [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2014年07月20日 [ジャンル]社会 ■現代を予見した「もの書く男」 エラスムスはルターとの対比で語られることが多い。行動派で勇猛果敢な後者に対して、前者は思索的…

書評:中澤篤史『運動部活動の戦後と現在 なぜスポーツは学校教育に結び付けられるのか』青弓社、2014年。

中澤篤史『運動部活動の戦後と現在 なぜスポーツは学校教育に結び付けられるのか』青弓社、読了。レクリエーション(英国)ともプロフェッショナリズム(米国)とも違う日本の部活動。ほぼ全ての学校が運動部を設置し「7割以上の中学生と5割以上の高校生」…

覚え書:「街の人生 [著]岸政彦 [評者]荻上チキ(「シノドス」編集長・評論家)」、『朝日新聞』2014年07月20日(日)付。

- 街の人生 [著]岸政彦 [評者]荻上チキ(「シノドス」編集長・評論家) [掲載]2014年07月20日 [ジャンル]社会 ■優しく聞きとる、隣人の生活史 著者の岸政彦は、前著『同化と他者化』において、丁寧な聞き取りと見事な分析で戦後沖縄の社会を浮き彫りにした、…

覚え書:「短編を七つ、書いた順/ミッキーは谷中で六時三十分 [著]片岡義男 [評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)」、『朝日新聞』2014年07月20日(日)付。

- 短編を七つ、書いた順/ミッキーは谷中で六時三十分 [著]片岡義男 [評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授) [掲載]2014年07月20日 [ジャンル]文芸 ■人生の一場面、鮮やかに切り取る 片岡義男の筆にかかると、東京は、まるで外国の都市みたいに見えてくる…

覚え書:「身体巡礼 ドイツ・オーストリア・チェコ編 [著]養老孟司 [評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)」、『朝日新聞』2014年07月20日(日)付。

- 身体巡礼 ドイツ・オーストリア・チェコ編 [著]養老孟司 [評者]隈研吾(建築家・東京大学教授) [掲載]2014年07月20日 [ジャンル]医学・福祉 社会 ■連続していた生死、共同体消えて分節 こんなグロテスクな死体の処理があったのかと、驚かされ、背筋が寒く…

覚え書:「(インタビュー)民俗学からみる介護 介護施設で「聞き書き」する職員・六車由実さん」、『朝日新聞』2014年07月24日(木)付。

- (インタビュー)民俗学からみる介護 介護施設で「聞き書き」する職員・六車由実さん 2014年7月24日(写真キャプション)「みんないつかは体が弱って介護が必要になる。自分もだ、と認識することが介護を考える第一歩です」=郭允撮影 気鋭の民俗学者が大…

覚え書:「書評:現代アート経済学 宮津 大輔 著」、『東京新聞』2014年07月20日(日)付。

- 現代アート経済学 宮津 大輔 著 2014年7月20日 ◆効率化に揺らぐ芸術 [評者]藤田一人=美術ジャーナリスト もはやゴッホのような芸術神話は成立しない。そう本書は主張する。なぜなら今日の芸術に求められているのは、孤高なる芸術家の才能にも増して、ア…

覚え書:「書評:暴力的風景論 武田 徹 著」、『東京新聞』2014年07月20日(日)付。

- 暴力的風景論 武田 徹 著 2014年7月20日 ◆見る者を呪縛する力暴く [評者]上野昂志=評論家 風景とは何か? 著者は「世界観」や「物語」との近縁性も挙げるが、風景のあり様としては以下の言がもっとも適切だと思われる。すなわち「『風景』がひとたび視…

覚え書:「書評:ボラード病 吉村 萬壱 著」、『東京新聞』2014年07月20日(日)付。

- ボラード病 吉村 萬壱 著 2014年7月20日◆繋がれ生きる人間の慟哭 [評者]横尾和博=文芸評論家 私たちは、見えない鎖に繋(つな)がれている。巧妙で柔らかなファシズムの時代に生きている。「ボラード」とは、港で船を係留する繋船柱(けいせんちゅう)…

書評:ボリス・シリュルニク(林昌宏訳)『憎むのでもなく、許すのでもなく ユダヤ人一斉検挙の夜』吉田書店、2014年。

ボリス・シリュルニク(林昌宏訳)『憎むのでもなく、許すのでもなく ユダヤ人一斉検挙の夜』吉田書店、読了。6歳の時、占領下のフランスでナチに逮捕されたが、逃亡し、後に苦労して精神科医となった著者が自らの人生から導き出した教訓が本書の邦題だ。こ…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『モノクロームの国鉄 SINCE1965−1980』=諸河久・著」、『毎日新聞』2014年07月20日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『モノクロームの国鉄 SINCE1965−1980』=諸河久・著 毎日新聞 2014年07月20日 東京朝刊 (イカロス出版・2160円) 鉄道写真家の著者は、1960年代の学生時代からモノクロフィルムを使って中判カメラの撮影を始めた…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『泥だらけのカルテ』=柳原三佳・著」、『毎日新聞』2014年07月20日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『泥だらけのカルテ』=柳原三佳・著 毎日新聞 2014年07月20日 東京朝刊 (講談社・1296円) 本書のテーマは、副題の「家族のもとに遺体を帰しつづける歯科医が見たものは?」に凝縮している。 2011年3月11日の東日本大震災で…