2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「今週の本棚:無縁介護=山口道宏・編著」、『毎日新聞』2013年01月27日(日)付。

- 今週の本棚:無縁介護 山口道宏・編著 (現代書館・1680円) 世界最速級で高齢化が進む中、身寄りもなく、誰にも知られずひっそり死んでいく孤独死(無縁死)が増えている。福祉を受けるには、自ら申請しないと役所が動かない問題を『申請主義の壁!』…

覚え書:「今週の本棚:三浦雅士・評 『空海と日本思想』=篠原資明・著」、『毎日新聞』2013年01月27日(日)付。

- 今週の本棚:三浦雅士・評 『空海と日本思想』=篠原資明・著 毎日新聞 2013年01月27日 東京朝刊 (岩波新書・798円) ◇変奏されて生き続ける「思想の基本系」 二十年以上も昔の話になるが、四国善通寺の戒壇めぐりを体験して驚愕(きょうがく)したこと…

覚え書:「直木賞に選ばれて−− 30年前のインド体験と等伯の世界=安部龍太郎」、『毎日新聞』2013年01月24日(木)付・夕刊。

- 直木賞に選ばれて−− 30年前のインド体験と等伯の世界 寄稿 安部龍太郎 等伯を書く上でもっとも苦労したのは、法華経との関係をどうとらえるかということだった。 等伯が生まれた奥村家も、養子に行った長谷川家も熱心な日蓮宗の信徒である。寺や檀家の求…

覚え書:「書評:『のめりこませる技術 ―誰が物語を操るのか』 フランク・ローズ著 評・開沼博」、『読売新聞』2013年01月20日(日)付。

- 『のめりこませる技術 ―誰が物語を操るのか』 フランク・ローズ著評・開沼 博(社会学者・福島大特任研究員) インターネット上には、例えば2ちゃんねるなら排外主義的言辞を、ツイッターなら放射線被曝 ひばく の危険性を自主的に四六時中繰り返し書き続…

覚え書:「書評:『ホロコースト後のユダヤ人』 野村真理著 評・星野博美」、『読売新聞』2013年01月20日(日)付。

- 『ホロコースト後のユダヤ人』 野村真理著評・星野博美(ノンフィクション作家・写真家) 欧州を去った真の理由 ナチによってユダヤ人が虐殺されたホロコーストについて知らない人はほとんどいないだろう。生き残った多くの人が「約束の地」を求めてパレス…

覚え書:「今週の本棚:伊東光晴・評 『大正という時代』=毎日新聞社・編」、『毎日新聞』2013年01月27日(日)付。

- 今週の本棚:伊東光晴・評 『大正という時代』=毎日新聞社・編 (毎日新聞社・2520円) ◇不穏な日々“やわらかな社会”に憧れた人々 昭和のはじめに生まれ、戦時中に小中学校時代、戦後に大学教育を受けた私には、「大正」という時代は、父や中学の教師…

書評:三浦瑠麗『シビリアンの戦争 デモクラシーが攻撃的になるとき』岩波書店、2012年。

戦争を始めるのは軍人だ……「軍の暴走」に対する懸念は、歴史に対する反省からの知恵であり、デモクラシーの政軍関係の基本である。しかし本書によれば、どうやら実態は必ずしもそうとは限らない。軍人よりも文民が戦争を欲している。本書はクリミア戦争から…

覚え書:「今週の本棚:20世紀遺跡 帝国の記憶を歩く=栗原俊雄・著」、『毎日新聞』2013年01月27日(日)付。

- 今週の本棚:20世紀遺跡 帝国の記憶を歩く 栗原俊雄・著 (角川学芸出版・1680円) 「帝国の記憶」という副題がついているが、実際は忘却されたことの掘り起こしだ。空襲で亡くなった人たちの埋葬地、硫黄島に生き残った兵士のあいだで起きた出来事…

覚え書:「時代の風:民主主義の将来=仏経済学者・思想家、ジャック・アタリ」、『毎日新聞』2013年01月27日(日)付。+α

- 時代の風:民主主義の将来=仏経済学者・思想家、ジャック・アタリ 毎日新聞 2013年01月27日 東京朝刊 ◇理念欠けばポピュリズム 「民主主義」というギリシャ語の言葉には軽蔑的な意味がある。貴族が人民による統治、つまりはポピュリズムを批判するのに使っ…

教会と信仰生活を日常のものとして生活し、大事に実践されていた。けれども、決して聖書の句を引くとか、まじめくさった難しい話はされない。

- 先生は終生、本郷教会の会員であられました。教会を本当に大切にされました。私によく、「君は教会に行きますか」とお聞きになった。「いいえ」と言うと、「そうですか、それはやっぱり教会へ行く方がいいですね」と御忠言をされた。それも「行きたまえ」…

覚え書:「路地裏が文化を生む! [著]増淵敏之 [評者] 田中優子」、『朝日新聞』2013年01月20日(日)付。

- 路地裏が文化を生む! [著]増淵敏之 [評者] 田中優子(法政大学教授)■都市の可能性を発見できる場 「拡大するだけが都市の美徳ではない」。そのとおりである。本書はその思想を背景に、拡大しない「路地裏(バックストリート)」から都市を見た。新宿、渋谷…

覚え書:「司法よ! おまえにも罪がある [著]新藤宗幸 [評者]上丸洋一」、『朝日新聞』2013年01月20日(日)付。

- 司法よ! おまえにも罪がある [著]新藤宗幸 [評者]上丸洋一(本社編集委員)■人事交流が投げかける影 原発の安全性をめぐっては1973年に始まった伊方原発(愛媛県)訴訟以来、建設中止などを求める住民らによって、数々の裁判が提起されてきた。しかし、…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 生活保護見直し 影響は?=湯浅誠」、『毎日新聞』2013年01月25日(金)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 生活保護見直し 影響は? 湯浅誠 反貧困ネットワーク事務局長下がるのは「国民生活の最低ライン」 「生活保護を受けている人たちは、ちょっともらい過ぎではないか」と問えば、7〜8割の人が「そうだ」と答えるだろう。では…

覚え書:「火によって [著]ターハル・ベン=ジェッルーン [評者]いとうせいこう」『朝日新聞』2013年01月20日(日)付。

- 火によって [著]ターハル・ベン=ジェッルーン [評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)■今を生き、死ぬ者に捧げる物語 モロッコ出身にしてフランス語で書く作家、ターハル・ベン=ジェッルーンは11冊もの日本語訳を持つ、人気のある文学者だ。 夢幻的…

覚え書:「フランス組曲 [著]イレーヌ・ネミロフスキー [評者]小野正嗣」、『朝日新聞』2013年01月20日(日)付。

- フランス組曲 [著]イレーヌ・ネミロフスキー [評者]小野正嗣(作家・明治学院大学専任講師)■戦時下の人間描く一大絵巻 1940年6月、ナチスドイツはフランスに侵攻する。フランス軍は敗走を重ね、パリをはじめとする北部はドイツ軍に占領される。道から…

覚え書:「異論反論 政権交代で原発政策も見直されました=雨宮処凛」、『毎日新聞』2013年01月23日(水)付。

- 異論反論 政権交代で原発政策も見直されました 寄稿 雨宮処凛国論ではなく国民二分の恐れ 政権交代から約1カ月がたった。 1カ月前と比べ、この国が進む方向は大きく変わった。それは決していい方向には思えないわけだが、選挙の結果なのだから仕方ない。 …

覚え書:「今週の本棚:偏愛ムラタ美術館 発掘篇=村田喜代子・著」、『毎日新聞』2013年01月20日(日)付。

- 今週の本棚:偏愛ムラタ美術館 発掘篇=村田喜代子・著 (平凡社・2100円) 「作品をどう解釈するかは、読者次第。作者の手を離れているのだから」などと文学の世界ではよく言う。絵画も、さまざまな決まりのもとに描かれていたとしても、基本的には自…

覚え書:「【書評】大津波を生きる 高山文彦著」、『東京新聞』2013年01月20日(日)付。

- 【書評】大津波を生きる 高山文彦著 ◆防潮堤を築き闘った人々 [評者]稲葉 真弓 作家。著書に『半島へ』『海松』『千年の恋人たち』など。 東日本大震災の際、巨大な防潮堤が無惨(むざん)に破壊され、内側にあった町が海にさらわれ更地のようになった映…

なぜ、ロールズはグローバルな不平等に無関心だったのか

- なぜ、ロールズはグローバルな不平等に無関心だったのか 『正義論』を読んでジョン・ロールズを知った人たちは、この節のタイトルに驚いたことだろう。結論から言うと、ロールズはまさしく、平等主義を強く支持する立場をとっている。しかし、「平等からの…

覚え書:「ひと:朴秉植さん=『死刑を止めた国』韓国の事情を日本に紹介する」、『毎日新聞』2013年01月15日(火)付。

- ひと:朴秉植さん=「死刑を止めた国」韓国の事情を日本に紹介する 毎日新聞 2013年01月15日 東京朝刊 ◇朴秉植(パク・ビョンシク)さん(57) 研究室や自宅に死刑関連の書籍や資料がずらりと並ぶ。ほとんどが日本の文献だ。 「私の理論は日本製。日本で…

覚え書:「【書評】本の透視図 菅原孝雄著」、『東京新聞』2013年01月20日(日)付。

- 【書評】本の透視図 菅原 孝雄 著◆電子化の歴史的意味問う [評者]仲俣 暁生 文芸評論家・フリー編集者。著書に『極西文学論』など。 ここ数年、「電子書籍」の話題がメディアを席巻するのと歩調を合わせ、書物についての本が数多く書かれた。残念なこと…

「だから何なんだ」と問い続けること

- 「自分で考える」ということ そんな失意の中、七一年の春休みに帰省し、知人が持っていた一冊の本『自分で考えるということ』(澤瀉久敬著、角川文庫)のタイトルに惹かれた。一晩借りて読了した。「自分で考える」ことの手ほどきを手取り、足取りといって…

覚え書:「書評:『アホウドリと「帝国」日本の拡大』 平岡昭利著」、『読売新聞』2013年01月13日(日)付。

- 書評:『アホウドリと「帝国」日本の拡大』 平岡昭利著 評・星野博美(ノンフィクション作家・写真家) 明石書店 6000円 羽毛目当ての南進 南洋の絶海を優雅に舞う姿から、昔は信天翁、沖の太夫などと呼ばれた巨大な鳥、アホウドリ。 阿呆鳥、馬鹿鳥な…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『パレスチナ問題とキリスト教』 著者・村山盛忠さん」、『毎日新聞』2013年01月20日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『パレスチナ問題とキリスト教』 著者・村山盛忠さん (ぷねうま舎・1995円) ◇身に刺さったトゲに向き合って−−村山盛忠(むらやま・もりただ)さん 昨年11月に国連のオブザーバー国家となったパレスチナ、反発するイスラエル−−…

書評:ニーアル・ファーガソン(仙名紀訳)『文明 西洋が覇権をとれた6つの真因』勁草書房、2012年。

- 「いったいどのようにして……ヨーロッパはこれほど強大になり得たのだろうか。ヨーロッパ人は交易や征服のためにアジアやアフリカをたやすく訪れることができるのに、アジア人やアフリカ人がなぜヨーロッパの沿岸や港湾を侵略して植民地を築けないのだろう…

覚え書:「今週の本棚:海部宣男・評 『10万年の未来地球史』=カート・ステージャ著」、『毎日新聞』2013年01月20日(日)付。

- 今週の本棚:海部宣男・評 『10万年の未来地球史』=カート・ステージャ著 (日経BP社・2310円) ◇「始めてしまった」温暖化の行方を見極める 本書の表題に、「そーんな先の話?」という方もあろう。だがこれは温暖化問題に関心を寄せる読者には、…

覚え書:「今週の本棚:渡辺保・評 『時代を生きた名句』=高野ムツオ・著」、『毎日新聞』2013年01月20日(日)付。

- 今週の本棚:渡辺保・評 『時代を生きた名句』=高野ムツオ・著 (NHK出版・1260円) ◇巧妙細緻に「短詩形」で編まれた日本近代史寒昴(かんすばる)たれも誰かのただひとり照井翠 照井翠は岩手県釜石の高校教師だった。 二〇一一年三月一一日、東日…

覚え書:「文化 直木賞を待つ 安部龍太郎」、『日本経済新聞』2013年01月20日(日)付。

- 文化 直木賞を待つ 安部龍太郎 直木賞の発表を待つのは二度目だった。前回は第百十一回。十九年も昔である。まだ若かったせいか候補にしてもらっただけで舞い上がり、仕事が手につかなくなった。発表当日も期待と不安に我を忘れ、どんな状況だったかも覚え…

覚え書:「今週の本棚:中村達也・評 『世界しあわせ紀行』=エリック・ワイナー著」、『毎日新聞』2013年01月20日(日)付。

- 今週の本棚:中村達也・評 『世界しあわせ紀行』=エリック・ワイナー著 (早川書房・2415円) ◇生活の中に「幸福の形」を訪ねる この数年、社会科学の分野で幸福研究がにぎやかだ。経済があるレベルに到達すると、それ以上成長を続けても、生活満足度…

覚え書:「今週の本棚:加藤陽子・評 『蒋介石の外交戦略と日中戦争』=家近亮子・著」、『毎日新聞』2013年01月20日(日)付。

- 今週の本棚:加藤陽子・評 『蒋介石の外交戦略と日中戦争』=家近亮子・著 (岩波書店・2940円) ◇酷薄な歴史に堪えた「危機の指導者」像 70代半ばより年長の読者のなかで、満州からの引揚げ体験のある方、あるいは近親者から体験を聞いたことのある…