2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧
- まことに私の言葉が錯綜しておって、かつ時間も少なくございますから、私の考えをことごとく述べることはできない。しかしながら私は今日これで御免をこうむって山を降ろうと思います。それで来年またふたたびどこかでお目にかかるときまでには少なくとも…
- 戦争について意見をもち、討論をし、合意を作り出す上で、どうしても知っておく必要のある基本的な論点(argument)を、しっかりと集約して示しておきたいと思う。 「戦争はきらいだ、自分はどんな力の行使にも反対だ」という人に対しては、「目の前であな…
- 当時、私はマレーシア理科大学の客員教授であり、たまたまペナンのグリーン・レーンにあるマレーシア仏教徒瞑想センターの近くに住んでいた。ある日曜日、私は思いきってそのセンターを訪れ、儀式に参加させてもらえないかと願い出てみた。私は心からの歓…
- 社会の変革、自治社会の樹立は、生産の過程の中で単独に中心的に成就されることは明らかにできなかったしできない、人類学的な変化をともなう。そうでないとすれば、社会の変革という思想は、興味のない虚構である。でないとするなら、既成秩序の否認、自…
- 子どもに向かって、「自分の言いたいことをきちんとことばにしなさい」という教育方法に対して、私はいささか疑問を抱いています。 どうしてそういう教育方法に疑問があるかというと、「自分の言いたいことをきちんとことばにしなさい」というときには、「…
- プラトンもマルクスも、与えられた法を相対化する。−−その点で彼らはもっともである。彼らはしかしながらまた、法といったものをも相対化する。−−足がすべるのはそこでである。すべての法は、その抽象的な普遍性によっていつも欠陥があり不十分であるとい…
- イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに…
- 福沢の影響を強く受けた武藤山治は、「福沢先生は明治の半より、塾生が一身の生活安定なくして余りに政治の方面に狂奔するのを見てこれを匡正せんとして盛んに塾生に向って金儲けの必要を説かれました」と語り、さらに「思うに福沢先生の御意中は先ずかく…
- まず、はじめにいちばん大切なことから。 「誰もが尊敬できる先生」なんて存在しません。 昔からいませんでした。「絶滅寸前種」どころか、はじめから存在しなかったのです。はじめから存在しなかったものを「存在しなくなった」と文句を言っても仕方があ…
- 自分の問いに答えを出すのは弟子の仕事です。師は「説教壇の上から」出来合いの学問を教えるのではありません。師は、弟子が答えを見出す正にその時に答えを与えます。 −−ジャック・ラカン(ジャック・アラン・ミレール編、小出浩之ほか訳)「セミネールの…
- 哲学は、一切のものを智慧に関係せしめるが、しかしそれは学という道を通じてことである。学問の道は、いったん開かれると決して雑草に埋もれることのない、また行人を迷わすことのない唯一の道である。数学、自然科学はもとより、人間の経験的知識すら大…
- 心情の理解は単なる理解でなくして、それは同時に行為であるが如き理解である。「愛」、詳しくは「神の愛」の概念はまさしくこのことを現わす。愛は理解と行為との合一である。我々はパスカルが神の認識における実践的なる要素を高調しているのを到る処に…
- 「いや、どうも、こんなにしていただいたのじゃあ、わるうございますねえ」 恐縮しながらも明神の次郎吉、わるい気もちではなかった。 行き倒れの坊さんの始末をしたのは、はじめての次郎吉であるが、これまでには小さな善行を何度もつみかさねてきていて…
- 「いや、どうも、こんなにしていただいたのじゃあ、わるうございますねえ」 恐縮しながらも明神の次郎吉、わるい気もちではなかった。 行き倒れの坊さんの始末をしたのは、はじめての次郎吉であるが、これまでには小さな善行を何度もつみかさねてきていて…
- 世界は道義の支配する世界である。我々国民は対外体内両面の生活に於て著しく同義の支配を感ずることになる。一躍して黄金時代が来ると見るのも間違だけれども、同義を無視して尚且つ栄える途があると思ふならば、之れ日天に沖して尚前世紀の悪夢に迷ふも…
- 歴史の中で戦いと暴力とにまき込まれるという罪−−これと無縁だった国が、ほとんどないことは事実であります。しかしながら、ユダヤ人を人種としてことごとく抹殺する、というのは歴史に前例を見ません。 この犯罪に手を染めたのは少数です。公けの目にふれ…
刑罰法規に触れる現行表現にははっきりいって抵抗はあるけれども、それは受容者の問題にすぎないし、それをどのように処理していくかは、その受容者の属する共同体の討議によって決していくことが基本だろうと思います。改正前の罰則規定でも充分対応可能な…
- 理性は、その一切の企てにおいて批判に随順しなければならない、またこの批判の自由を禁令によって侵害するようなことがあってはならない。もしそのようなことをしたら、理性は自分自身を傷つけ、かつ自分にとって不利な疑惑を招くことになる。効用の点で…
- SUNDAY NIKKEI 今を読み解く:アメリカ史左右する宗教 象徴・信念の国柄示す 日本の最重要相手国アメリカを理解するのは、簡単なようで案外むずかしい。理由の一端はその宗教性にある。たとえば昨年1月のオバマ大統領就任式の報道では、テレビ中継の通訳…
- VI ですから、こんにちでも「わたくしは、自分が何も知らないということ、そしてそのことをほとんど知っていないということを知っている」というソクラテス的洞察がきわめて実際的である−−おそらくソクラテスの時代よりもはるかに実際的である−−ことを示す…
- ▼森巣博が提唱する「ちんぽこ」モデル−−戦後日本の、数多くの日本論・日本人論を素描してみよう!森巣 ちょっとここで、私なりに、戦後の日本論・日本人論の流れを、簡単に素描させてください。 姜 お願いします。 森巣 まず、「国体」ナショナリズムの呪…
- 「…… 人間というものは、どんな種類のものであれ、生まれついての権利など持っていることはあり得ないのだから、その結果は予言できたはずなのだ」 デュボア先生は話をとぎらした。だれかがその餌にとびついた。 「先生……では、“生命、自由、幸福の追求”に…
- ▼無族協和とは何か−−リイマジンド・フォーエバー(巨人軍は消滅しても、再想像は永遠です)森巣 「五族協和」ってのがあったでしょう。一九三二年、満州国の建国宣言の中に出てきた言葉で、満州に住む五族が共存共栄していくことを説いていた。ちなみに、…
- ヴィクター・フランケンシュタインが自然科学の知識を動員し、「狂乱に近い衝動」で創造した人間は完全な失敗であった。ヴィクターは、みずからが創造主になり、彼が創造した人間から神のように祝福されるために人間を創造した。彼が理性にしたがって「手…
- 国家は、政治団体の一部、すなわち特に法の維持・共同の福祉と公共の秩序との促進・公務の処理を担当する部分にすぎない。国家は、全体の利益というものを専門に司る部分である。国家は一個人でもなければ、人々の一団でもない。国家は、一群の制度が組み…
- ロボットの問題 この問題は、他人の精神的現象の認識をめぐる問題でもなければ、その意味をめぐる問題でもない。あえていえば、その存在をめぐる問題であるといえよう。 想定されているのは、外見上人間そっくりのロボットである。外から見たところでは、…
- 語る者を聞く者にむすびあわせるものは、たいていの場合たしかに、両者が互いに共に語りあう主題である。そのばあい主題は主題化された主題ではなく、会話の−主題なのである。会話の主題として、主題は一箇の伝達である。根源的にいえば、伝達されたものは…
- 今日、文明を脅かしている最大の危険はこれ、つまり生の国有化、あらゆるものに対する国家の介入、国家(ステート)による社会的自発性の吸収である。すなわち、人間の運命を究極的に担い、養い、押し進めてゆくあの歴史的自発性の抹殺である。大衆がなん…
- L=S 私の両親は信仰をもっていませんでしたが、子供の頃には、とにかくユダヤ的伝統に近いところにいたことになります。両親がユダヤの祭日を祝うことはありませんでしたが、話題にはしていました。ヴェルサーユで、両親はバルミツヴァ〔ユダヤ教の成人…
- 身近な環境や自分が生まれ育ち生活した地方のことによく精通しており、自分の近隣の自然や自然の産物のことをくわしく知っており、それらに十分精通しているというたしかな感じ、その生き生きとした意識ほど、幼児や少年や青年に真の力の感情を、また高尚…