2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧
- 哀しすぎるぞ、ロッパ―古川緑波日記と消えた昭和 [著]山本一生 [掲載]2014年09月21日 [ジャンル]文芸 人文 ノンフィクション・評伝 競馬文化の本も多い近代史研究家が世に送る古川緑波の評伝。ロッパは榎本健一と並ぶ昭和期の代表的喜劇人で、膨大な日記…
- 「平等」理念と政治―大正・昭和戦前期の税制改正と地域主義 [著]佐藤健太郎 [評者]諸富徹(京都大学教授・経済学) [掲載]2014年09月21日 [ジャンル]政治 社会 ■折衷主義の積極面浮き彫りに 本書の対象である神戸正雄は戦前、京都帝国大学教授として財政学…
- 文明と文化の思想 [著]松宮秀治 [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2014年09月21日 [ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝 ■新しい神話を生んだ西欧近代 評者が漠然と感じていたグローバリゼーションなどの不気味さの正体を知らしめてくれた…
- くらしの明日 私の社会保障論 年功序列が崩れない理由 日本語の敬称と関係 山田昌弘 中央大教授 日本の職場では、新卒一括採用や年功序列慣行がなかなか崩れない。その結果、学生は新卒でできるだけ条件のよい企業に就職しようと、就職活動に時間を取られ…
- ひねくれ古典『列子』を読む [著]円満字二郎 [評者]三浦しをん(作家) [掲載]2014年09月21日 [ジャンル]人文 ■物語を愛し求めた心に共感 いきなり漢文を読めと言われても腰が引けるが(というか無理だが)、中国の古典の世界を知りたい。欲を言えば、『論…
- 敗戦とハリウッド―占領下日本の文化再建 [著]北村洋 [評者]吉岡桂子(本社編集委員) [掲載]2014年09月21日 [ジャンル]歴史 ■米国映画浸透の歴史、多面的に ハリウッド映画は、米国が第2次世界大戦で打ち負かした日本に、「良きアメリカ」を埋めこみ、そ…
- サイボーグ昆虫、フェロモンを追う [著]神崎亮平 [評者]赤坂真理(作家) [掲載]2014年09月21日 [ジャンル]科学・生物 ■「完全形生物」の驚異的世界 昆虫は、地球上で最も繁栄している種である。いわば、神の手で開発され、自ら進化・適応した完全なサイボ…
- 読書 宗教とグローバル市民社会 ロバート・N・ベラー、島薗進、奥村隆編偏狭な国家主義への憂慮 一昨年秋、宗教社会学の巨人ロバート・ベラーは85歳の恒例にもかかわらず来日し、立教大学などで精力的に講演した。本書は、その講演・シンポジウムの内容…
- 裏山の奇人―野にたゆたう博物学 [著]小松貴 [評者]佐倉統(東京大学教授・科学技術社会論) [掲載]2014年09月21日 [ジャンル]科学・生物 ■自然の不思議が「見える」人 スーパー・ナチュラリストの作り方、といった趣の本である。なにしろ著者は、二歳のこ…
- 琉球独立論―琉球民族のマニフェスト [著]松島泰勝 [評者]柄谷行人(哲学者) [掲載]2014年09月21日 [ジャンル]政治 社会 ■緊張の東アジアへ、今こそ普遍的意義 本書は「琉球独立」を提唱するものである。たとえば、スコットランドがイギリスからの独立を求…
- 【書く人】人のためにできること 『エヴリシング・フロウズ』 作家 津村 記久子さん(36) 2014年9月21日 理不尽な暴力を目の当たりにした時、力の弱い素朴な人間は、一人で何ができるだろう。中学三年生の日常を細やかに描いた物語を通し、そんな問いを…
- ロシア文化人、勇気の異論 ウクライナ紛争の陰で 寄稿・沼野充義(写真キャプション)推理作家のアクーニンさん(左)と妻エリカさん 最近の緊迫したウクライナ情勢については、日本でもかなり報道されてきた。しかし、それと並行してロシア国内で進行して…
- 弱いつながり 東 浩紀 著 2014年9月21日 ◆旅で発見 検索ワード [評者]土佐有明=ライター 情報のデジタル化が劇的に進む現在、万能のツールだと思われがちなグーグル検索について、著者はその限界を指摘する。ネットの使用がルーティーンになると検索ワ…
- <肖像>文化考 平瀬 礼太 著 2014年9月21日 ◆絵に出る日本人の精神性 [評者]下川耿史(こうし)=風俗研究家 三十年ほど前、写真家の内藤正敏氏と津軽半島の先端を旅したことがある。その山中に三十枚くらいの肖像画が飾られたお堂があった。モデルはい…
- 集団的自衛権と安全保障 豊下 楢彦・古関 彰一 著 2014年9月21日 ◆解釈改憲の論理矛盾抉る [評者]山本武彦=早稲田大名誉教授 集団的自衛権の行使容認に向けた安倍政権の動きは、日本の「戦後」を支えてきた不戦の体制に風穴を開けるかのような勢いを示…
昨日の金曜日、後期2回目の「哲学」授業で、いよいよ本格的な導入の授業をすることができました。哲学を学ぶということは、「哲学をする」ことを学ぶ訳ですが、そこで大事になることは、あくまでも先ず「自分で考える」ということ。そして次に、その自分で…
- 今週の本棚・新刊:『螺旋階段』=山本譲司・著 毎日新聞 2014年09月21日 東京朝刊 ◇『螺旋(らせん)階段』 (光文社・1944円) 幸せとは何か。人生における充実感とはどういうものか。人間は社会とどうつながればいいか。家族はどうあるべきなのか。…
- 今週の本棚:堀江敏幸・評 『黒ヶ丘の上で』=ブルース・チャトウィン著 毎日新聞 2014年09月21日 東京朝刊 (みすず書房・3996円) ◇時が止まった農場の双子兄弟の百年 寡黙と饒舌(じょうぜつ)がまじりあい、嘘(うそ)と本当の入り乱れる全体がひと…
- 今週の本棚:沼野充義・評 『エウロペアナ』=パトリク・オウジェドニーク著 毎日新聞 2014年09月21日 東京朝刊 (白水社・2052円) ◇チェコ作家の奇抜なヨーロッパ二〇世紀史 これまで小説と呼ばれるものはかなりたくさん読んできて、たいていの主題は…
- 千の証言:軍国エリート少年、キリスト教の道究める 手のぬくもり、しみた 賀川豊彦に見いだされ 毎日新聞 2014年09月23日 東京朝刊(写真キャプション)キリスト教に出会った日々を振り返る大木さん=東京都北区の自宅で、山田大輔撮影 東京陸軍幼年学校の…
- 今週の本棚・新刊:『白菊 shiragiku』=山崎まゆみ・著 毎日新聞 2014年09月21日 東京朝刊 (小学館・1620円) 毎年8月に開かれる「長岡まつり大花火大会」(新潟県)の長岡花火は100万人の観衆を集める一大イベントだ。しかし、それは見…
- 今週の本棚・新刊:『大転換期 日本の人口事情』=エイジング総合研究センター・編著 毎日新聞 2014年09月21日 東京朝刊 (中央法規出版・1944円) 国内外の高齢化などに関する調査研究に実績を持つ民間研究機関「エイジング総合研究センター」が、戦後…
- 今週の本棚:本村凌二・評 『なぜ神は悔いるのか−旧約的神観の深層』=イェルク・イェレミアス著 毎日新聞 2014年09月21日 東京朝刊 (日本キリスト教団出版局・3240円) ◇罪悪感なく、人間が良くなるために 日本の古代神話もそうだが、ギリシャ神話の…
企画展「吉野作造と賀川豊彦―貧しき者、弱き者のために」ともにキリスト教者だった吉野作造と賀川豊彦は、当時の未熟な資本主義社会の中で 困窮する人々を助けるため、様々な社会事業に取り組みました。日本のセツルメント 活動の草分け的存在となった2人の…
- 今週の本棚・本と人:『エヴリシング・フロウズ』 著者・津村記久子さん 毎日新聞 2014年09月21日 東京朝刊 (文藝春秋・1728円) ◇冷徹に普遍的な「生」を描く−−津村記久子(つむら・きくこ)さん 大阪市大正区らしき埋め立て地を舞台に、中学3年のヒ…
- 今週の本棚・新刊:『日本の軍歌 国民的音楽の歴史』=辻田真佐憲・著 毎日新聞 2014年09月21日 東京朝刊 (幻冬舎新書・907円) 軍歌と聞けば、街宣車を連想する人も多いだろう。「右傾化」のせいか最近やや人気が出ているのは、気になる。おそらく初の…
- 今週の本棚:張競・評 『中国国境 熱戦の跡を歩く』=石井明・著 毎日新聞 2014年09月21日 東京朝刊 (岩波現代全書・2592円) ◇地道な細部調査、時宜にかなった考察 中国は世界で陸地の国境線がもっとも長く、隣接する国はもっとも多い。北東アジアの…
- 暮らしの明日 私の社会保障論 ドイツモデルの頑固さ 介護保険・本体に公費入れず宮武剛 目白大大学院客員教授 この夏、ドイツの介護保険の現状を見聞きする機会を得た。 日本の介護保険制度(2000年度施行)は、その先行例(1995年施行)を参考に…
- なぜ「小三治」の落語は面白いのか? [著]広瀬和生 [掲載]2014年09月14日 [ジャンル]アート・ファッション・芸能 著者はヘビーメタル音楽誌の編集長で大の落語好き。とりわけ柳家小三治の高座を追いかけてきた。小三治本人が「よく観(み)てますね、あ…
- 「自由」はいかに可能か―社会構想のための哲学 [著]苫野一徳 [評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史) [掲載]2014年09月14日 [ジャンル]人文 ■必要なのは法と教育と福祉 いま私たちは、自由・平等であることを、ともすると当たり前のように思っている…