2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

東京の大雪:雪原をふき来る風はつめたくて春の光のあまねくなりぬ

- 雪原をふき来る風はつめたくて春の光のあまねくなりぬ 昭和十一年 南原繁 −−南原繁『歌集 形相』岩波文庫、1984年、24頁。 - 朝からぼんやり降り出した雪ですが、昼前になってみるとかなりの降雪。少し諸事で外出することがあり、近所をスケッチしました。…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『現代史のリテラシー 書物の宇宙』 著者・佐藤卓己さん」、『毎日新聞』2012年2月26日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『現代史のリテラシー 書物の宇宙』 著者・佐藤卓己さん (岩波書店・2415円) ◇「現在」の問題をえぐり出す−−佐藤卓己(さとう・たくみ)さん 『「キング」の時代』『言論統制』などの話題作を書いてきたメディア史家による書評…

あまりに一方的なるニュースのみにわれは疑うこの民の知性を

- 君が代条例が成立へ 維新・公明が合意 大阪市議会 2012年2月28日 君が代の起立斉唱を市立学校の教職員に義務づける大阪市の君が代条例案が、28日開会の市議会(定数86)に提出される。橋下徹市長が率いる大阪維新の会の市議団(33人)と公明党(19…

覚え書:「今週の本棚:富山太佳夫・評 『子どもの教育』/『マス・リテラシーの時代−近代ヨーロッパにおける読み書きの普及と教育』」、『毎日新聞』2012年2月26日(日)付。

- 今週の本棚:富山太佳夫・評 『子どもの教育』/『マス・リテラシーの時代−近代ヨーロッパにおける読み書きの普及と教育』 ◇『子どもの教育』=J・ロック著、北本正章・訳 (原書房・5040円) ◇『マス・リテラシーの時代−近代ヨーロッパにおける読み…

くよくよでもよいから、煮え切らなくてもよいから、自分の言動に責任をもつ生き方

- 最後につけ加えるならば、私が戦争直後に、教科書に炭を塗った世代にあたっています。日本の敗戦のとき、国民学校の五年生でした。そのため、時々「わたしは小学校には一年も行っていません」と言います。それは入学するときに小学校が国民学校に変わり、…

覚え書:「今週の本棚:本村凌二・評 『哲学者マキァヴェッリについて』=レオ・シュトラウス著」、『毎日新聞』2012年2月26日(日)付。

- 今週の本棚:本村凌二・評 『哲学者マキァヴェッリについて』=レオ・シュトラウス著 (勁草書房・7350円) ◇信仰による真理を拒んだ「近代哲学」の立役者 二十年ほど前、「新入生に薦める三冊の本」という企画があった。そのとき私がとりあげた一冊が…

拝啓 石原慎太郎知事殿。 覚え書:「石原語録:知事会見から 憲法/衆院選挙」、『毎日新聞』2012年2月25日(土)付(東京版)。

- 石原語録:知事会見から 憲法/衆院選挙 /東京 ◇歴史的に無効−−憲法 ◇当分ないだろう−−衆院選挙 −−21日にあった都議会自民党の集いで、「憲法を破棄せよ」と発言した。 ◆破棄ということは激しいかもしれんが、歴史的に無効なんだから。占領のために作ら…

覚え書:「急接近:青木保さん アジアに急増する文化施設、対抗策は?」、『毎日新聞』2012年2月25日(土)付。

- 急接近:青木保さん アジアに急増する文化施設、対抗策は? <KEY PERSON INTERVIEW> アジア諸国が近年、ミュージアムなどの文化施設整備に力を入れている。その狙いは何か。日本は今、どんな文化政策を立てるべきなのか。各国の事情に…

「現実の具体的な歴史を、あなたたちは、あなたたちの頭のなかにしかない歴史発展の大法則に置き換えているのだ」と言ってやりましたよ

- マルクス主義者やネオ=マルクス主義者が歴史を知らないと言って私を非難したとき、私は彼らにこう答えたのです−−「歴史を知らないのは、あるいは歴史から眼をそむけているのはあなたたちだ」、とね。「現実の具体的な歴史を、あなたたちは、あなたたちの…

覚え書:「経済観測 自由と牢獄=埼玉大学大学院客員教授 水野和夫」、『毎日新聞』2012年2月23日(木)付。

- 経済観測 自由と牢獄 埼玉大学大学院客員教授 水野和夫 「私たちはみな牢獄のなかにいる」と、グローバリゼーションの負の側面を早くから指摘してきた政治経済学者、スーザン・ジョージは言った(2010年)。古代ギリシャ以来、人類は常に「自由」を求…

「私の親兄弟はあなたの国の兵隊によって殺されたのだ」と言われた時、あなたはどう対応すべきか。

- *戦後世代は「道徳的責任」を負う必要はないが「政治的責任」はある ……以上の観点に立って「戦争責任」の問題を再び問い直すなら、次のようになろう。 戦後世代は、旧帝国が行った戦争の「悪」の部分に対して、だれも「道徳的責任」を負う必要がない。し…

覚え書:「みんなの広場:生活のためパート継続しかない」、『毎日新聞』2012年2月22日(水)付。

- 生活のためパート継続しかない パート 64(山口県) この3月で65歳になるが、いまだにパート勤めをしている。時間や体力を持て余しているわけではなく生活のために働いている。 若い頃は老後のことを考えたことはなく、成り行き任せで生きてきた。故にこ…

私たちを救い、力づけてくれたピエール神父の思い出

- ポワリエ 大戦中はなにをなさっていたのですか? レヴィナス 私は非常に早い時期に捕虜になりました。一九三九年より何年か前に私は軍事通訳の試験に受かっていたので、ロシア語とドイツ語の通訳として動員されました。そしてレンヌで退却中の第一〇軍団と…

覚え書:「記者の目:東京大の学部生秋入学移行=木村健二(社会部)」、『毎日新聞』2012年2月22日(水)付。

- 記者の目:東京大の学部生秋入学移行=木村健二(社会部) ◇各大学は主体的に検討を 東京大が、学部生の入学時期を春から秋へ全面的に移そうとしている。京都大など他の有力大11校や産業界にも4月からの協議を呼びかけ、5年前後で実現を目指すもので、…

文は文字ではない、思想である。そうして思想は血である、生命である

- 純潔なる思想は書を読んだのみで得られるものではない。心に多くの辛い実験を経て、すべての乞食根性を去って、多く祈って、多く戦って、しかる後に神より与えられるものである。これを天才の出産物と見做すのは大なる誤謬である。天才は名文を作る、しか…

覚え書:「リアル30’s:続・反響特集第2回 上の世代が下の世代食い物に/親は突き放すことも考えて」、『毎日新聞』2012年2月20日(月)付。

- リアル30’s:続・反響特集第2回 上の世代が下の世代食い物に/親は突き放すことも考えて 引き続き、リアル30's取材班に寄せられた反響をほぼ全文で紹介します。毎日新聞の日刊タブロイド「MAINICHI RT」でも後日紹介し、関連ツイートも掲…

「答え」だけをとにかく早急に求める、そして主張する傾向の空恐ろしさ

- 人生論者というのは、本来モラリストのことをいうのだろう。モンテーニュだとか、ラ・ロシュフコーだとか、山本常朝だとかいった連中のことを指すのだろう。つまり、道徳家ではなく、人生を傍観している連中だ。したがって、かれらは、われわれにむかって…

覚え書:「今週の本棚:五百旗頭真・評 『レーガン−いかにして「アメリカの偶像」となったか』=村田晃嗣・著」、『毎日新聞』2012年2月19日(日)付。

- 今週の本棚:五百旗頭真・評 『レーガン−いかにして「アメリカの偶像」となったか』=村田晃嗣・著 ◇五百旗頭(いおきべ)真・評 (中公新書・924円) ◇保守の「大きい物語」を生きた大統領 誰もが知る自明の人、元ハリウッドの俳優、ただし一流ではな…

現実の人間は、なんらかのこれまでの理想の『望ましい』人間よりもはるかに高い価値を示している

- 三九〇 〔二三一〕(673) 私の結論は以下のごとくである。すなわち、現実の人間は、なんらかのこれまでの理想の「望ましい」人間よりもはるかに高い価値を示しているということ。人間に関するすべての「願望」は不条理な危険な逸脱であり、これでもって或…

覚え書:「今週の本棚:海部宣男・評 『日本人はどんな大地震を経験してきたのか−地震考古学入門』=寒川旭・著」、『毎日新聞』2012年2月19日(日)付。

- 今週の本棚:海部宣男・評 『日本人はどんな大地震を経験してきたのか−地震考古学入門』=寒川旭・著 (平凡社新書・840円) ◇過去を読み解く、「予知」を見なおす M7級の首都直下地震が起きる確率は四年以内に七〇%という研究結果が、なぜか大新聞…

他人に恩恵を求めてその与えられざるを怒り、常に世の無常を憤りながら憂き日月を送る者は実に愚かなる者である

アゴラの記事「『ディマンディング』が生み出す弊害について」(青木勇気さん)の記事を読みながら、「確かになー」ということが多かった。「デマンディング」が生み出す弊害について – アゴラ 「ディマンディング」とは「過剰に要求する(こと)」といった…

覚え書:「急接近:森谷賢さん 本格化する放射性物質除染作業の見通しは」、『毎日新聞』2012年2月18日(土)付。

- 急接近:森谷賢さん 本格化する放射性物質除染作業の見通しは <KEY PERSON INTERVIEW> 東京電力福島第1原発事故によって放出された放射性物質の政府主導の除染作業が、いよいよ本格化する。除染を必要とする地域は広く、汚染物質の処…

吉野作造と大川周明:「私は吉野さんに恩を蒙つてゐるので、一度お会ひして御礼を云ひたかつた」

- 吉野博士が死んでからもう一年を過ぎた。大川博士が下獄してから間もなく二年にならうとしてゐる。……この二人の学者の間に、不思議なる因縁のつながりがあることは、あまり世間に知られてゐない。 大川博士が法学博士の学位を授与されるとき最も努力したの…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 弱者サポートの充足が急務=湯浅誠」、『毎日新聞』2012年2月17日(金)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 弱者サポートの充足が急務 湯浅誠 反貧困ネットワーク事務局長高齢化社会の活性化に向け 生物としての人間は老いとともに機能が低下する。若くて元気な人間を前提につくられた社会での暮らしに、不都合を感じる場面は徐々に増…

真理を探究するには、生涯に一度はすべてのことについて、できるかぎり疑うべきである。

- 一 (真理を探究するには、生涯に一度はすべてのことについて、できるかぎり疑うべきである。) 我々は幼年のとき、自分の理性を全面的に使用することなく、むしろまず感覚的な事物について、さまざまな判断をしていたので、多くの先入見によって真の認識…

覚え書:「ザ・特集:福島第1原発事故11カ月 「死の灰」の教訓、どこへ 大石又七さんに聞く」、『毎日新聞』2012年2月16日(木)付。

- ザ・特集:福島第1原発事故11カ月 「死の灰」の教訓、どこへ 大石又七さんに聞く ◇ビキニ環礁水爆実験で被ばく、第五福竜丸乗組員 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故から、11カ月が過ぎた。広くまき散らされた放射性物質の影響が懸念される…

葬儀が「人」と「人外ノ者」を分かつとは怖ろしい

- 葬儀の自由化 新政府の宗教政策、教化政策を簡単に振り返っておきたい。 一八六八年の「王政復古」による祭政一致政策に基づき、まず、大宝令にある神祇官が太政官と並び、復興されることになった。キリシタン禁制の高札の再掲、神仏分離令(神仏判然令)…

覚え書:「性同一性障害:非配偶者間人工授精 『非嫡出子扱いは民法違反』 『差別許せない』遅れる生殖補助医療関連の法整備」、『毎日新聞』2012年2月15日(水)付。

- 性同一性障害:非配偶者間人工授精 「非嫡出子扱いは民法違反」 「差別許せない」遅れる生殖補助医療関連の法整備 心と体の性別が一致しない性同一性障害(GID)で戸籍の性を女性から男性に変えた東大阪市の前田良さん(29)=活動名=と妻(30)が…

多くの日本人は、ヨーロッパやアメリカには人種差別があるけど、自分たちには人種差別の伝統がないと思っているから、非常に無防備にレイシズムが表に出てきてしまう

- 姜 今回の「中国人犯罪者民族的DNA」発言(引用者註……、2001年5月8日付『産経新聞』掲載の石原慎太郎都知事のコラム、「こうした民族的DNAを表示するような犯罪が蔓延することでやがて日本社会全体の資質が変えられていく」と言及)は、「三国人」…

覚え書:「今週の本棚:湯川豊・評 『細部にやどる夢−私と西洋文学』=渡辺京二・著」、『毎日新聞』2012年2月12日(日)付。

- 今週の本棚:湯川豊・評 『細部にやどる夢−私と西洋文学』=渡辺京二・著 (石風社・1575円) ◇小説を読む行為の本質、意味を知る 何よりもまず、ディケンズの長篇小説を語った一連の短い文章がすごい。息をのんだ。渡辺京二氏は、ディケンズの現在的…