日記:民進党代表選挙に対する見解=市民連合

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民進党代表選挙に対する見解

現在、民進党が発足してから初めての代表選挙が行われています。民進党の国会議員、党員・サポーターだけではなく、より広範な市民の前で、民進党と野党のこれからの進むべき進路について活発な議論が行われることを、私たち市民連合も期待しています。

 リーダーシップの交代によって党全体のイメージの刷新を図る方針は十分に理解できるものですが、代表選挙にあたっては、民進党がこれまでに岡田克也代表の下で成し遂げたことを正当に評価したうえで、今後、新しい代表とともにいっそう努力を傾注していく課題や目標を議論すべきではないでしょうか。

 確かに、参議院選挙で与党の勝利と改憲勢力の3分の2を許してしまったことは痛恨の極みですが、本来は圧倒的に不利な32の1人区すべてで野党統一候補を擁立し、11議席を獲得したという多大な成果と可能性を見失うことがあってはなりません。市民の後押しする野党共闘がなく、民進党の獲得議席が2013年並みに止まっていたならば、民進党は結党早々から解党の危機に直面していたものと思われます。岡田執行部の下、民進党が市民に向き合い、他の立憲野党と手を携え、安倍強権政治と正面から戦う姿勢をとったことによって、立憲主義と民主主義は土壇場で踏ん張ることができたとも言えます。

 ところが残念ながら、これまでの各代表候補の発言を聞くかぎり、次の国政選挙における野党共闘について政党間の組み合わせにかかわる内向きなやり取りが先行しており、昨年の安保法制反対運動以来の市民運動と政党の関係や今年の参議院選挙における野党共闘の意義に関して、広い視野からの評価が欠けています。挙げ句の果てに、特定候補に対する差別的な意図さえ見え隠れする卑劣な攻撃が、何の法的な問題もないのに「国籍問題」として、代表選挙における貴重な議論の機会を乗っ取りかねない事態を招いていることを、私たちは看過することができません。

 今こそ民進党は、参議院選挙では野党間だけではなく、野党と広範な市民運動が連携したことが、1人区での多くの勝利をもたらしたことを的確に再認識すべきではないでしょうか。そして、これから安倍政治と対峙し、政権交代を目指していくためには、衆議院選挙での小選挙区で勝つことが大前提です。そのためには、このような立憲野党と市民の協力を持続していく以外にないことも明らかです。また、それこそが安倍政治に不安や不満を持つ市民の期待にこたえる道だと考えます。

 政治に対する市民の希望を取り戻し、みんなのための政策を実現していくために、野党第一党である民進党への期待とその責任は極めて大きいと言えます。衆議院選挙における選挙協力には、政策合意のいっそうの深化や広範な協力体制の構築が前提となることは、言うまでもありません。私たち市民連合は、代表選の残りの期間、「国民とともに進む」民進党が、その名にかなった市民や野党との共闘についての前向きな議論を深めることを強く求めます。
2016年9月09日

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民進党代表選挙に対する見解 – 市民連合




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覚え書:「悩んで読むか、読んで悩むか 環境は自分が招く、自分で変えられる 石田純一さん [文]石田純一」、『朝日新聞』2016年08月21日(日)付。

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悩んで読むか、読んで悩むか
環境は自分が招く、自分で変えられる 石田純一さん
[文]石田純一  [掲載]2016年08月21日

いしだ・じゅんいち 54年生まれ。俳優。ABC「おはよう朝日です」コメンテーターも務める。


■相談 すぐ周りのせいにする娘が心配

 高校1年の娘がいます。うまくいかないことがあると、すぐに周りのせいにして、逃げてばかりで、なかなか自分自身と向き合ってくれません。友達などとの人間関係、そして自分自身も大事にしてほしいのです。反抗期で難しい時期ですが、心配しています。彼女の人生の指針になるような本があったら教えて下さい。(福岡市 主婦・46歳)

■今週は石田純一さんが回答します

 思春期の娘さん、コミュニケーションも難しいかもしれませんね。僕自身、今やすっかり大きくなった子どもとの関わり方を振り返って考え込むことがあります。ただ、誰であろうと、その人の運命を形作るのは、結局その人自身に他ならない。
 それを繰り返し説くのが、ジョン・マクドナルドが1929年に出版した『マスターの教え』(旧題『運命の貴族となるために』)です。自分の運命の主人は自分。どんな道を歩くにも、何かを達成するには、まず自分の内なる心を意識することが必要。このインナーマインドには我々の想像以上の力があり、たいていのことを実現させられる、という話です。「思いやり」「調和」「信頼」などパワーのある言葉で内なる心に栄養を与えよう、という内容なんですが、ちょっと抽象的かなぁ。
 ではこんな文章はどうでしょう。「悪意、羨望(せんぼう)、怒り、不安、失望は、肉体から健康と美しさを奪い去ります」。これは、英国の哲学者ジェームズ・アレンの『「原因」と「結果」の法則』(坂本貢一訳、サンマーク出版・1296円)の一節です。芸能界にもきれいな人たちがいますが、性格がきつくて意地悪だったりすると、この先どんな顔になっていってしまうのかわかりません。
 容姿はほんの一例。自分の身に起こることは、良いことも悪いことも、みな自分に原因がある(不慮の災害などは別ですが)。周囲が敵だらけだとしたら、それも自分が招いた環境。ただし、環境は自分の意志で変えられる。自分をコントロールして周囲に穏やかに接すれば、広い意味での成功を手に入れられる。そんな因果関係を教えてくれる本です。
 耳の痛い教えがあちこちにありますね。息子が3歳になり、春に娘も生まれました。まだ本を読めないやんちゃ盛りの息子がページを破くのはしかたがない。でも観葉植物の葉っぱをちぎったりすれば、ちゃんと謝るまで口をききません。自分や他人も含め、命あるものを傷つけてはいけない。それだけは、僕も試行錯誤しながら伝えていきたいです。
    ◇
 次回(9月4日)は精神科医斎藤環さんが答えます。
 住所、氏名、年齢、職業、電話番号、希望の回答者を明記し、郵送は〒104・8011 朝日新聞読書面「悩んで読むか、読んで悩むか」係、Eメールはdokusho−soudan@asahi.comへ。採用者には図書カード2000円分を進呈します。
    −−「悩んで読むか、読んで悩むか 環境は自分が招く、自分で変えられる 石田純一さん [文]石田純一」、『朝日新聞』2016年08月21日(日)付。

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覚え書:「著者に会いたい 家裁調査官は見た 家族のしがらみ 村尾泰弘さん [文]吉川一樹」、『朝日新聞』2016年08月21日(日)付。

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著者に会いたい
家裁調査官は見た 家族のしがらみ 村尾泰弘さん
[文]吉川一樹  [掲載]2016年08月21日

村尾泰弘さん=山本和生撮影


■臨床心理学の目で解決さぐる

 「家にいる方があたたかいよ」。少女の言葉が、いまも心に残っているという。
 非行から立ち直れない少女。家庭裁判所調査官として十数回面接し、砂箱を使って自由に創作してもらう「箱庭療法」で寄り添った。すると暴君の父に屈服したくない、ゆえに更生できない少女の内面が表れ、つづいて家族も変わり、少女は家で過ごすようになったのだった。「心理療法の専門家は、いくつか核になるケースを大事に持っているもの。その一つですね」
 家裁調査官とは、家事事件や少年事件で当事者らに面接し、解決の道を探る専門職だ。大阪と福井、神奈川で計17年務め、面接した相手は数千人にのぼる。「家族の問題で苦しむ人は多い。私が経験した泣き笑いを、臨床心理学の知見も合わせて伝えられれば」。出版社に持ち込んだ原稿が、編集者に刺さった。
 本書で紹介される20を超える実例に、読者は自分をかえりみてハッとするかもしれない。たとえば、義母の過干渉を嫌い夫と離婚したいと訴える女性。生い立ちを聞くと、実母との確執を、義母と夫の関係に重ねる「感情転移」だとわかった。強盗傷害事件を起こした少年は、母、姉と3人暮らし。単身赴任中の父が子育てに関わらないことで「母子密着」が起こり、少年の自立が妨げられていた。
 「しがらみ」とは、元来は水流をゆるめるために川につくる仕掛けのことだという。副題には、「家族は人を縛るものであると同時に、人を守るもの」という二重の意味が込められているのだ。
 「家族の可能性を信じたい」。家族観が賛美と絶望の両極に振れがちな時代に、実務家の声が重く響いてくる。
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 新潮新書・778円
    −−「著者に会いたい 家裁調査官は見た 家族のしがらみ 村尾泰弘さん [文]吉川一樹」、『朝日新聞』2016年08月21日(日)付。

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家裁調査官は見た ―家族のしがらみ― (新潮新書)
村尾 泰弘
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覚え書:「文庫この新刊! 池上冬樹が薦める文庫この新刊! [文]池上冬樹(文芸評論家)」、『朝日新聞』2016年08月21日(日)付。

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文庫この新刊!
池上冬樹が薦める文庫この新刊!
[文]池上冬樹(文芸評論家)  [掲載]2016年08月21日


(1)『暗殺者の反撃』(上・下) マーク・グリーニー著、伏見威蕃訳、ハヤカワ文庫・各994円
(2)『殺人出産』 村田沙耶香著、講談社文庫・562円
(3)『拝み屋怪談 禁忌を書く』 郷内心瞳著、角川ホラー文庫・734円
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 (1)は、世界最高の冒険小説である暗殺者グレイマン・シリーズの第5弾。CIAの暗殺部隊との死闘は凄絶(せいぜつ)で、被弾や骨折の激痛を激しく喚起させながら興奮の坩堝(るつぼ)へと誘い込む。第1シーズン完結編なので、ぜひ第1作から。活劇の嵐ともいいたくなるほどの凄(すさ)まじいアクションの連続には必ずや圧倒されるはず。
 (2)は、女のみならず男も人工子宮で子供を産み、10人産めば1人殺害できる制度が機能する未来社会の物語。昨年の暮れに出た大傑作『消滅世界』の助走ともいうべき秀作で、倫理も道徳も根底から覆す。「クレイジー沙耶香」の異名をもつ鬼才の注目作だ。
 (3)は、現役の拝み屋が体験する怪談話で53編収録されている。春から初秋にかけての物語で、男の後悔と贖罪(しょくざい)が主題となっていて長編としても読める。主に4人の女性を巡る怪異で、戦慄(せんりつ)と郷愁と悲哀が綴(つづ)られている。時に怖気(おじけ)を震い、時に甘い感傷に浸り、時に若くして逝った女性の家族の話に感涙を絞られてしまう。恐怖と感動が併存する会心作だ。
    −−「文庫この新刊! 池上冬樹が薦める文庫この新刊! [文]池上冬樹(文芸評論家)」、『朝日新聞』2016年08月21日(日)付。

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覚え書:「今こそ良寛:和歌にも書にも、自然な人となり」、『朝日新聞』2016年06月06日(月)付。

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今こそ良寛:和歌にも書にも、自然な人となり
2016年6月6日

良寛托鉢像」(部分、遍澄画、良寛記念館蔵)
 大愚(たいぐ)の号を持つ僧が目指したのは、つつましく心豊かに生きるという姿だった。

 

 「名僧」といえば誰を思い浮かべるだろう。とんちで有名な一休さん? お大師さんこと空海さん? でも、昭和の中ごろまで一番親しみをもって語られていたのは「良寛さん」ではないだろうか。

 良寛は宝暦8(1758)年、現・新潟県出雲崎町で名主の子として生まれた。名主の見習いをしていた数え18歳で出家。その後、大忍(たいにん)国仙和尚から得度を受け、備中玉島(現在の岡山県)の円通寺で修行したのち諸国を行脚。越後に戻って庵(いおり)を結んだ。

 良寛のすごさは、自らについてほとんど語らなかった一方で、書き残した千数百といわれる和歌、俳句、漢詩などがいずれも後世極めて高い評価を受けていることにある。

 たとえば、歌は万葉調とされるが、歌人伊藤左千夫は「秋の夜は長しといへどさすたけの君と語ればおもほへなくに」という歌などについて「趣向も詞も自然なるが故に、作者当時の感興を読者に伝ふるを得るなり」と絶賛。書も評価が高い。現存するのは2千点以上と言われるが、こだわらない、飾り気のない自然な書きぶりが特徴で、生前から人気があった。

 生涯から浮かんでくるのは、多くを求めず、友と交わり、無心に生きるという、自由な生き方だ。晩年には貞心尼という40歳も年の離れた尼僧と心を通わせた。寺を持たない乞食(こつじき)僧で、江戸期の寺院制度の枠外に生きた。暮らしもぎりぎりだったらしい。

 だが、詩歌からは、そんな暮らしぶりを楽しむさまが浮かぶ。たとえば「子供らと手たづさはりて春の野に若菜を摘めば楽しくあるかも」という歌からは草摘みの楽しさが、「一衲一鉢(いちのういっぱつ)、わずかに身に随(したが)う」という漢詩からは持ち物が一枚の衣と鉢一つだけという状況を淡々と受け入れている様子がうかがえる。

 こうした良寛の生き方や作品に傾倒した著名人は多い。

 良寛を敬愛した詩人の相馬御風(ぎょふう)は『大愚良寛』を著し、夏目漱石良寛にちなんだ漢詩を残し、坪内逍遥歌人会津八一に頼んで別荘に良寛風の門額を揮毫(きごう)してもらっている。一方、日本画家の安田靫彦(ゆきひこ)は「良寛の書は同時に彼の生活にほかならぬ。すなわち彼の書は彼みずからの生活がもっていたものをもっていた。彼の書のよいところは、結局彼その人のよいところにほかならぬ」と評した。

 また、編集者の松岡正剛さんは、「あるとき五木寛之さんが言ったことだが、良寛に出会わなくて、どうして無事に晩年を過ごせる日本の知識人がいますかねえと、たしかに言いたくなるくらいなのだ」と書く。良寛とは、日本の近現代文化史に、それほど大きな影響を与えた巨人なのである。

 「ファン」も多い。良寛の遺徳を顕彰する個人と団体がつくる全国良寛会は会員約3千。「良寛さんは禅僧、歌人、書家と様々な顔を持つ。その一つにでも興味を持つと、研究へのめり込む人が多いようです」と、良寛会副会長の柳本雄司さん(79)。

 良寛がなぜ、あのような生き方を選んだのかはよくわかっていない。しかし、「口腹(暮らし)の為の故に一生外辺(仏の教えから離れたところ)に心をはせる」といった漢詩を残していることから、当時の仏教界のあり方を批判するような思いがあったことは確かなようだ。

 この世に暮らす以上、何のしがらみにもとらわれずに生きることは難しい。だからこそ、無我・無私に、自然に生きようとした「良寛さん」に私たちは憧れるのだろう。(編集委員・宮代栄一)

 

 <足あと> りょうかん 江戸時代後期の禅僧。幕府の天領だった越後国出雲崎(現在の新潟県出雲崎町)の名主の長男として生まれる。号は大愚。数え18歳で剃髪(ていはつ)し、諸国行脚の後、越後に戻った。万葉集にも造詣(ぞうけい)が深く、多くの和歌や俳句、漢詩などを残した。74歳で死去。何ものにもとらわれない生き方で、多くの人に慕われた。

 <もっと学ぶ> 良寛を描いた作品は水上勉良寛』(中公文庫)など多い。『良寛の“心が豊かになる”生き方』(宝島社)は読みやすい1冊。書などの作品を見たいなら新潟県良寛記念館へ。

 <かく語りき> 「うらを見せおもてを見せて散るもみぢ」(辞世の句。よい所も悪い所も見せて生きてきたの意)「この里に手まりつきつつ子供らと遊ぶ春日はくれずともよし」(子供たちと遊んだ様子を詠んだ和歌)

 ◆次回は20日、「エノケン」の愛称で知られた喜劇王榎本健一の予定です。
    −−「今こそ良寛:和歌にも書にも、自然な人となり」、『朝日新聞』2016年06月06日(月)付。

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http://www.asahi.com/articles/DA3S12395246.html





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