覚え書:「みんなの広場 安倍首相の歴史観おかしい」、『毎日新聞』2013年05月09日(日)付 + 米国:安倍氏に懸念強め

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みんなの広場
安倍首相の歴史観おかしい
無職 66(埼玉県鴻巣市

 内閣支持率の上昇と株高、景況感の回復に自信を深めたのか、安倍政権が「安全運転」をやめてタカ派色・国家主義を全面に出してきた。国防軍だの憲法改正だのと勇ましい言葉が自民党に飛び交っているが、過去の大戦を正当化するというのは、歴史観がやや違うのではないか。
 「お国のために」というフレーズは当時の若者には殺し文句で、その美辞によってどれだけ多くの有為の若者が散っていったことか。「民主主義対ファシズム」。70年間の図式に日本をまたはめ込もうというのか。
 先の大戦をいたずらに長引かせたのは当時の軍部で、300万人といわれる同胞を死に追いやった。また、多くの他国民の生命を奪った責任は重大だ。
 安倍晋三首相は戦後生まれだが、過去のあやまちについてどう認識しているのか理解に苦しむ。
    −−「みんなの広場 安倍首相の歴史観おかしい」、『毎日新聞』2013年05月09日(日)付。

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米国:安倍氏に懸念強め 歴史認識「米の利益損なう恐れ」 議会報告書で「国家主義者」
毎日新聞 2013年05月10日 東京朝刊


国家安全保障会議創設に関する有識者会議であいさつする安倍晋三首相(左から2人目)=首相官邸で2013年5月9日、小出洋平撮影
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 米議会調査局が1日付でまとめた報告書で、安倍晋三(しんぞう)首相について「『ストロング・ナショナリスト(強硬な国家主義者)』として知られる」と記述し、歴史認識を巡る言動について「地域の関係を壊し、米国の利益を損なう恐れがある」と指摘していたことが8日、分かった。安全保障と経済でアジアに重心を移す米国にとって日中韓の関係悪化を懸念する動きが米政府内で広がっていることを示している。

 報告書は、議員活動用の資料で、米政府や米議会の見解を示したものではない。しかし、安倍首相について「戦時中の行動について日本が不当に批判を受けていると主張している集団と関係がある」と指摘。さらに「閣僚選定にも(歴史認識を巡る)考えが反映されているとみられ、国家主義者であることを主張している政治家たち何人かを選び、一部は極端な見方を持っている」と分析している。

 米側は安倍政権による中韓との関係構築を見守ってきた。しかし、中国と対立する沖縄県尖閣諸島問題では、米国は中国をけん制しつつ、日中両政府に冷静な対応を求める状況が続いている。さらに、北朝鮮の核・ミサイル問題への対応には、日米韓を基本に、北朝鮮への影響力を持つ中国とも連携が必要だ。

 しかし、安倍首相は4月に国会で、過去の植民地支配と侵略を認めておわびした1995年の村山富市首相(当時)の談話について、「侵略の定義は定まっていない」などと答弁。閣僚らの靖国参拝について「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」などと述べた。報告書はこうした発言について「日本と韓国、さらに他の(アジアの)国々との関係を悪化させるだろう」と指摘している。

 米政府は非公式の外交ルートで閣僚の靖国参拝や首相発言を照会するなどして、日本側に自制を促すメッセージを発出。米国務省元高官も「政治指導者が歴史の修正主義者のようなことを言ってはいけない」と米政府の懸念を代弁した。【ワシントン西田進一郎】

 今回の米議会調査局報告書について、菅義偉(よしひで)官房長官は9日の記者会見で「米議会の公式見解ではない」と強調した上で、安倍首相を「国家主義者」とした記述について「誤解に基づく」と指摘。「(戦後の)我が国の平和と繁栄の歩みを見れば分かってもらえると思う」と述べた。報告書の背景について、日本政府内では「中韓が米国内で情報戦を強めている」との分析が大勢だ。外務省幹部は「日米関係がおかしくなっているわけではない」と強調する。

 「レッテル貼りだ」。菅氏は会見で中韓両国からの批判にこう応戦したが、同時に「アジアの人々に多大な損害と苦痛を与えたと認識している点は過去の内閣と一緒だ」と改めて火消しも図った。

 首相の歴史認識靖国神社参拝を巡る強気の発言の背景には、首相の支持基盤である保守派に配慮しなければならない事情がある。このため首相らは事態収拾にあたり、村山談話と05年の小泉談話で用いられた「侵略」という言葉を引用することは避けている。「侵略戦争を否定した」という印象を軌道修正しつつも、歴代政権と一線を画したいとの思惑が見え隠れする。このほか、「高支持率による緩みが原因ではないか」(与党議員)との見方もある。

 ただ、中韓との関係を改善する見通しが立たない中、日本側がこのまま手をこまぬいて米国からの批判が強まれば、安倍政権が歴史認識をめぐって孤立する予想外の展開を招く恐れもある。政府内では「首相に直接苦言できる人がいない」(政府関係者)という懸念の声も漏れ始めている。【松尾良、鈴木美穂】
    −−「米国:安倍氏に懸念強め 歴史認識『米の利益損なう恐れ』 議会報告書で『国家主義者』」、『毎日新聞』2013年05月10日(金)付。

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http://mainichi.jp/select/news/20130510ddm001030072000c.html



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