書評:朴三石『知っていますか、朝鮮学校』岩波ブックレット、2013年。

1_2





朴三石『知っていますか、朝鮮学校岩波ブックレット、読了。私たちはどれだけ朝鮮学校について知っているのだろうか。先ずは「事実を知ること」。そのことで誤解は解消される。本書は著者が大学で行った講義と学生の感想をもとに構成し、朝鮮学校に関する基本的な事実や情報を簡便にまとめた一冊。


本書はカリキュラム・教科書をはじめ、あらゆる角度から日常の学校生活を詳述する。朝鮮学校のイメージは「パッチギ!」とはほど遠いし、「反日教育」など行われていない。朝鮮学校の歴史では、如何に戦後日本政府がその固有性を同化によって抹消しようとしたかよく分かる。

朝鮮学校は、日本社会における多民族多文化共生の「試金石」であるにも関わらず、無知が差別を助長する。この問題は、「単に朝鮮学校の生徒や保護者のみの問題ではなく、朝鮮学校をめぐる日本社会の問題であり、日本人自身の問題である」。

「人びとが国際化時代を生きるということは、人びとがコスモポリタンになるということではない。それぞれの人びとが自分の文化的アイデンティティを基盤にして、他国の人たちと国際的な関係をもつこと」。その実践スクールが朝鮮学校であろう。

「互いの文化を尊重し、互いに学び理解を深める国際交流ができることは、日本社会をより豊かにすることにつながる」。

無償化反対の「気分」に呑み込まれる前にひともきたい一冊である。








Resize1207