覚え書:「今週の本棚・新刊:『民主化のパラドックス インドネシアにみるアジア政治の深層』=本名純・著」、『毎日新聞』2013年11月24日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『民主化のパラドックス インドネシアにみるアジア政治の深層』=本名純・著
毎日新聞 2013年11月24日 東京朝刊
(岩波書店・2835円)
国際的な支援の下、大々的な民主改革を実行してきたインドネシア。その陰で、改革が逆に「非民主的」な勢力の温存と拡大を助けている、と本書は指摘し、その「民主化のパラドックス」に対して警鐘を鳴らす。
立命館大教授の著者は、インドネシア政治と東南アジアの地域研究、その比較が専門。テロや貧困、民族紛争、政権交代などの政治問題の深層に何があるかを伝えたい、と長年フィールドワークを重ねてきた。
本書で焦点を当てるのは、(1)スハルト体制の「終わり方」(2)「スハルト後」の民主改革(3)スハルト退陣からメガワティ政権までの民主化移行期における政治エリートの権力闘争(4)ユドヨノ政権下での民主化の定着(5)分離独立運動、テロリズム、住民紛争などの治安問題(6)民主化に伴うアウトロー社会の変容−−の六つの局面。権力と暴力の生々しい実態を、当事者へのインタビューをもとに描いていく。
その上で、民主化のパラドックスが同国を超え他国でも存在することを論じ、アジアを含め世界各地で進行しつつある「民主化ドミノ」と、その促進を意図した国際的な民主化支援の問題を浮き彫りにする。(坪)
−−「今週の本棚・新刊:『民主化のパラドックス インドネシアにみるアジア政治の深層』=本名純・著」、『毎日新聞』2013年11月24日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20131124ddm015070008000c.html