覚え書:「手のひらの音符 [著]藤岡陽子」、『朝日新聞』2014年03月16日(日)付。
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手のひらの音符 [著]藤岡陽子
[掲載]2014年03月16日 [ジャンル]文芸
全力疾走であがくのは格好悪く見えるかもしれない。それでも、ひたむきに生きていこう、と呼びかける真っすぐな長編。
服飾デザイナーの水樹は45歳、独身。順調に見えたキャリアは突然頓挫する。二十数年ぶりに高校の同級生から連絡が入った。服飾の道へ背中を押してくれた恩師が入院していると聞き、彼女は故郷に帰る。
故郷は過去とつながっている。あの頃、大切な存在だった男の子。その家族を悲劇が襲い、彼は心を閉ざしていく。
幼い兄弟が、勇気がなくなったときに口ずさむ、おかしな歌詞の「ドレミの歌」が愛らしく、心に残る。あの人がどこかで頑張っている、その確信が前を向く力になる。
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新潮社・1470円
−−「手のひらの音符 [著]藤岡陽子」、『朝日新聞』2014年03月16日(日)付。
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