覚え書:「オバマ米大統領:きょう来日 中韓と積極的対話を−−ハーバード大名誉教授、エズラ・ボーゲル氏」、『毎日新聞』2014年04月23日(水)付。


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オバマ米大統領:きょう来日 中韓と積極的対話を−−ハーバード大名誉教授、エズラ・ボーゲル
毎日新聞 2014年04月23日 東京朝刊

(写真キャプション)エズラ・ボーゲル氏=西田進一郎撮影

 オバマ米大統領が23日から日本を訪問する。約3年半ぶりの訪日は、安倍晋三首相の靖国神社参拝などできしんだ日米関係を深化の軌道に戻す重要な機会となる。また、台頭する中国を念頭に、東アジアの安定に向けて日米両国が安全保障、経済両面でどのような役割を果たすのかが大きなテーマだ。日中両国の研究で世界的に知られるハーバード大エズラ・ボーゲル名誉教授に聞いた。【ワシントン西田進一郎】

 東アジアの安定を図るためには、日中、日韓関係が非常に大事だ。しかし、安倍首相は靖国神社参拝という「挑発的な行為」をした。(従軍慰安婦の管理などに旧日本軍の関与を認めた)河野談話(1993年)も「支持する」ともう少し早く言えば良かった。中国の友人は集団的自衛権よりも歴史認識の問題が大きいと言っている。

 米政府は「失望」という言葉を使ったが、それ以上のことを感じている人もいる。中国の力は大きくなり、尖閣諸島、(中国名)釣魚島の問題もあり、小泉純一郎首相(当時)が靖国神社を参拝した時より周辺環境はずっと厳しい。友人だからこそ「危ない」と正直に言う必要があった。

 日中関係の改善は重要だ。尖閣諸島、釣魚島について日本は「全く問題がない」と言うが、異論を唱える国があるのだから問題を認めて「平和的に解決すべきだ」と言うべきだ。一方、中国は周辺への船や航空機の派遣を少しずつ減らし、日本も同様に減らしていく。協定は特に必要なく、自然にそのような形をとれないだろうか。

 中国が強くなりさまざまな問題が出てきたので、米国も中国と話し合う必要が多くなった。その意味で、昨年の大統領と習近平国家主席の会談は重要だった。軍同士の交流は活発化している。信頼関係はそんなに早くできないが、理解し合うことで危険性は少なくなる。ヘーゲル米国防長官が日本とフィリピンの防衛義務を果たすと明確に言ったのも、中国への警告で危険性を減らす意図だろう。

 秋の北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は日中、日韓関係改善の良い機会だ。日中戦争の記念館訪問など中国側が歓迎することを日本側が実行すれば非常に良い機会になる。韓国についても、3月に安倍首相が朴槿恵(パククネ)大統領と会ったのは進歩だ。それに続くように、従軍慰安婦問題でもう一度積極的に取り組むことが必要だ。

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 ■人物略歴

 1930年生まれ。67年からハーバード大教授。日本、中国研究の世界的な権威として知られる。93年から約2年間、米国家情報会議で東アジア担当の国家情報官を務めた。79年出版の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」はベストセラーに。2000年に教職を退き、11年にはトウ小平の研究をまとめた「トウ小平」を出版した。 
    −−「オバマ米大統領:きょう来日 中韓と積極的対話を−−ハーバード大名誉教授、エズラ・ボーゲル氏」、『毎日新聞』2014年04月23日(水)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140423ddm007030092000c.html





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