覚え書:「特定秘密保護法に言いたい:後の公開、担保に疑問−−日本近現代史研究者・瀬畑源さん」、『毎日新聞』2014年10月27日(日)付。
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特定秘密保護法に言いたい:後の公開、担保に疑問−−日本近現代史研究者・瀬畑源さん
毎日新聞 2014年10月27日 東京朝刊
◇瀬畑源さん(38)
特定秘密保護法施行によって各省庁が12月から指定する「特定秘密」文書には、国の重要な政策判断が記録される。後からその時の政策判断が正しかったかどうかを検証するために、欠かせない資料が含まれる。歴史研究者の一人として、きちんと保存し、いずれ公開してもらいたい。
ところが、秘密保護法やその運用基準を読むと、いずれ世に出ることが担保されているのか、疑問が残る。指定が30年を超えて継続した秘密文書は、指定解除後に国立公文書館に移されるが、とくに指定期間が25年以下のものは、意図的に廃棄される余地も残っている。
また、特定秘密文書についても通常の公文書同様に、リストにあたる「ファイル管理簿」が作られる。秘密の解除後は管理簿を閲覧できるが、見ても「元は特定秘密だった」ことは分からない。このままでは解除された特定秘密文書をチェックできない。せめて内規を変えて、管理簿に「特定秘密だった期間」「秘密指定の履歴」欄を設けるべきだ。
秘密保護法は施行されたら終わりではない。政府は、情報公開法を改正して文書の公開基準を緩めたり、公文書管理法を改正して重要文書が残りやすくすることに取り組むべきだ。国会議員にも「現状では審議に必要な文書が届かない」と声を上げてもらいたい。
歴史的に見て、権力は秘密をできる限り、国民から遠ざけて独占しようとする。法律の乱用を防ぐため、国民が監視を続けることが大切だ。【聞き手・青島顕】
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■人物略歴
◇せばた・はじめ
1976年生まれ。長野県短大助教。公文書管理制度に詳しく、久保亨信州大教授との共著「国家と秘密」を今月出版。
−−「特定秘密保護法に言いたい:後の公開、担保に疑問−−日本近現代史研究者・瀬畑源さん」、『毎日新聞』2014年10月27日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20141027ddm004010046000c.html