覚え書:「災害時に宗教施設利用、急増 303自治体、指定避難所に 阪大研究室調査」、『朝日新聞』2014年10月26日(日)付。


5

        • -

災害時に宗教施設利用、急増 303自治体、指定避難所に 阪大研究室調査
2014年10月26日05時00分

 災害時の指定避難所になってもらうなど、寺や神社などの宗教施設と普段から協力関係にある自治体が全国に少なくとも303あり、宗教施設は2401にのぼることがわかった。大阪大大学院の稲場圭信(けいしん)准教授(宗教社会学)の研究室が調査した。協力関係をより明確化するため、明文化した災害協定を結んだ自治体や宗教施設は、東日本大震災後に急増している。

 調査は7月、政令指定市の区を含む全国1916市区町村に電話やファクスなどで実施。うち1184自治体から回答を得た(回答率62%)。

 全市区町村の約16%にあたる303自治体が、2401の宗教施設との間で災害時に避難所になってもらうなどの協力関係にあった。303自治体のうち、明文化した災害協定を結んでいたのは95自治体で、宗教施設は399にのぼっていた。

 協定を結んだ施設の内訳は、寺189▽新宗教天理教創価学会真如苑〈しんにょえん〉、立正佼成会〈りっしょうこうせいかい〉など)の建物など27▽神社26▽キリスト教教会6――など(ほかは不明)。協定内容のほとんどが避難所としての使用で、帰宅困難者の滞在施設や飲料水の供給協力もあった。

 締結時期別にみると、宗教施設数は震災前の29から震災後の167と急増していた(ほかは不明)。協定を検討中の自治体も62あり、今後さらに増えることが予想される。

 自治体側は従来、憲法20条の政教分離の原則から宗教施設との連携に消極的な面があった。しかし、稲場准教授は「東日本大震災の際、避難者に布教や勧誘がされたり、物資が宗教団体に渡ったりすることはなかった。政教分離に抵触する心配のないことが実証されたことも、協力関係が増えた要因だろう」と話す。(岡田匠)

 ■事前のルール化必要

 室崎益輝・神戸大名誉教授(防災計画)の話 東日本大震災だけでなく、阪神大震災でも寺社に避難する人は多かった。宗教施設を指定避難所にする場合、食料や水の備蓄のほか、自治体職員が運営を担うことや、宗教上の理由で入れない場所への立ち入り禁止といったルールを決めておく必要がある。 
    −−「災害時に宗教施設利用、急増 303自治体、指定避難所に 阪大研究室調査」、『朝日新聞』2014年10月26日(日)付。

―――-




http://www.asahi.com/articles/DA3S11422411.html





Resize2582



Resize2581