覚え書:「今週の本棚・新刊:『法とジャーナリズム <第3版>』=山田健太・著」、『毎日新聞』2014年11月16日(日)付。

3

        • -

今週の本棚・新刊:『法とジャーナリズム <第3版>』=山田健太・著
毎日新聞 2014年11月16日 東京朝刊

 (学陽書房・3240円)

 本書は憲法21条で保障された「表現の自由」にかかわる法分野を、ジャーナリズムと法律の観点から考察する「言論法」の概説書だ。やや専門的に聞こえるが、解説の分かりやすさから研究者や学生のテキストとして使われているだけでなく、第一線の新聞記者にも利用されている。

 10年前に初版が出版され、特定秘密保護法の来月施行を前に緊急改訂された。同法の主要条文を網羅し、「新たな秘密保護法制」として1項目を立て、6ページにわたって問題点を詳しく論じている。

 著者は同法の特徴を「政府が隠したいと思う情報を秘密指定し、『秘匿』するための法制度になっている点」と指摘する。「政府の秘密を『監視』する制度こそが秘密保護法で根幹であるべきなのだが、現実はそうなっていない」として、行政による表現活動の恣意(しい)的取り締まりと、官僚組織内で進む無制限な情報隠しに警鐘を鳴らす。

 また、違法な秘密取得行為の条件とされた「著しく不当な方法」は「恣意的な取締りを可能にするマジックワード」で、「外務省沖縄密約事件」を例に、法と倫理の混同による取材行為の制約に懸念を示す。(な)
    −−「今週の本棚・新刊:『法とジャーナリズム <第3版>』=山田健太・著」、『毎日新聞』2014年11月16日(日)付。

        • -



http://mainichi.jp/shimen/news/20141116ddm015070064000c.html






Resize0128


法とジャーナリズム
法とジャーナリズム
posted with amazlet at 14.11.19
山田 健太
学陽書房
売り上げランキング: 136,077