覚え書:「波の音が消えるまで上下 [著]沢木耕太郎」、『朝日新聞』2015年01月18日(日)付。

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波の音が消えるまで上下 [著]沢木耕太郎
[掲載]2015年01月18日
 
 元サーファーでカメラマンの航平は、バリ島からの帰国途上、マカオバカラをするうちに「久しぶりに熱くなることができるものを見つけられた」と感じる。謎の老人と出会い、その跡を追っていくうちに「バカラの心臓部」をつかんだような高揚感に酔い、まるで「道」を究めるようにしてのめり込んでいく。必勝法などありはしないことはわかっているし、それを追い求めて行く先に待っているのが「破滅」であることもわかっている。
 博打(ばくち)で永遠に勝ち続けることができるとしたら、それは神だけだろう。老人の遺(のこ)した言葉をてがかりに、果ての果てまで行った航平の見た景色を静かに味わいたい。
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 新潮社・上下各1728円
    −−「波の音が消えるまで上下 [著]沢木耕太郎」、『朝日新聞』2015年01月18日(日)付。

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「バカラの心臓」つかんだ高揚感|好書好日










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