覚え書:「本音のコラム 人でなしの政治=山口二郎」、『東京新聞』2015年08月30日(日)付。

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本音のコラム
人でなしの政治
 安倍晋三首相は安全保障法制について、国民の安全を守るためと言い張る。この人物が国民の声明や安全をうんぬんすることは、生まれつきの詐欺師が誠実を口にするようなもの、腹が立って仕方がない。
 八月二十五日、政府は福島第一原発の被災者のうち、放射線量が比較的低い地域の人たちへの支援の基本方針を見直し、閣議決定した。「(福島から)新たに避難する状況にはない」との一文を加えたと、新聞は報じている。生活基盤を失った被災者に対し、占領が低い地域に戻らないのはおまえらの勝手だから、これ以上は支援しないと宣告したわけである。原発再稼働を始めた直後にこれか。人でなしの所業としか言いようがない。
 こんな人でなしたちが、安保法制を着くって何をしようというのだ。国民の生命、安全などというご託を信じてはならない。安倍首相以下政府与党の首脳が国民の生命、生活をいかに軽んじているかは、この一事をもって明らかである。昔のテレビ時代劇「破れ傘刀舟」の中で、萬屋錦之介演じる主人公が最後に「てめえら人間じゃねえ、たたき斬ってやる」と悪者を成敗していた。私は暴力を否定するが、気分としてはこう叫びたい。
 きょう三十日は国会前で安保法制に反対する大集会が開かれる。人でなしたちをたたきのめすために、みんなで集まろう。(法政大教授)
    −−「本音のコラム 人でなしの政治=山口二郎」、『東京新聞』2015年08月30日(日)付。

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