覚え書:「水曜日のアニメが待ち遠しい [著]トリスタン・ブルネ [評者]荻上チキ(「シノドス」編集長・評論家)」、『朝日新聞』2015年10月25日(日)付。

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水曜日のアニメが待ち遠しい [著]トリスタン・ブルネ
[評者]荻上チキ(「シノドス」編集長・評論家)  [掲載]2015年10月25日   [ジャンル]人文 国際 

■日本アニメ、仏文化にマッチ

 フランス生まれの著者は、幼少期から日本のアニメ文化に触れながら育った。フランスではこれは決して珍しいことではない。1970年代、テレビ局は国営放送しかなく、その局が日本アニメを連続して流していたため、その視聴が多くの子どもたちの原体験となった。民放ができてからも、各局の競争の中で、日本のアニメが児童向けプログラムとして好まれた。それは日本アニメが格安で放映できたということもあるし、いくつかの作品がフランス文化にマッチしたということもある。
 2014年、フランス国内での日本漫画の売り上げは、漫画全体の売り上げの約3割。日本のサブカルチャーは、この間どのように受容されてきたのか。本書は、ビジネス構造、物語構造、社会状況など、多角的な目線からそれを解説していく。大上段に構えた論調ではなく、あくまでいちオタクとしての語りが心地よい。注釈も丁寧で、サブカルチャーを通じた優れたフランス文化史にもなっている。
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 誠文堂新光社・1620円
    −−「水曜日のアニメが待ち遠しい [著]トリスタン・ブルネ [評者]荻上チキ(「シノドス」編集長・評論家)」、『朝日新聞』2015年10月25日(日)付。

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