覚え書:「18 私たちも投票します:国政選挙、AKB総選挙とどう違う?」、『朝日新聞』2016年02月12日(金)付。

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18 私たちも投票します:国政選挙、AKB総選挙とどう違う?
2016年2月12日

(写真キャプション)講義を聞くAKB48の(手前から)向井地美音さん、加藤玲奈さん、茂木忍さん=いずれも鬼室黎撮影

 ■第4回 国政選挙の仕組み 政治に参加する意味とは

 6月から新たに選挙権を得るAKB48の3人が、憲法学者の木村草太(そうた)さんと政治の仕組みを学ぶ「私たちも投票します」。今回は第1部の締めくくりとして、投票を通じて政治に参加する意味を、AKB48メンバーの人気度をはかる「総選挙」と、国政選挙の違いから考えます。18、19歳の人が選挙権を得る法改正についてもおさらいします。

 ■国政選挙、AKB総選挙とどう違う? 「国民全体のため」考える一票

 木村草太 第1部の最終回は、国民が政治に参加することの意味を考えていきます。AKB48の「総選挙」と国会議員の選挙はどこが違うのか。AKB48の総選挙で投票する人は、どんな理由でメンバーに一票を入れるんでしょう?

 向井地美音(むかいちみおん) その人が好きなメンバーに投票してくれます。

 木村 自分が誰を好きかを考えて、投票するわけですね。この場合、好きというのはどんな気持ちなんでしょうね。

 茂木忍(もぎしのぶ) そのメンバーを応援したいという気持ちだと思います。

 木村 国会議員を選ぶときには、好きか嫌いかとはちょっと違うことを考えなきゃいけないですね。

 向井地 国会議員だったら、私たちの意見に耳を傾けてもらいたいですね。

 木村 そうですね。日本全体のために誰を選ぶのが一番いいかと考えて投票するので、単純な好き嫌いで選ぶのとは違います。権力の使い方を決めるのが国の政治だという話をしましたが、政治には自分の意見や価値観とは別に、損得につながる話もあります。例えば、政治がどんなことを決めてくれると自分には得になると思いますか。

 茂木 税金を減らしてくれるとか?

 木村 一方で税金を減らし過ぎると国が国民にサービスを提供できなくなります。例えば、貧困世帯の子供の教育支援を拡大しようという候補者がいたら、自分の損得勘定ではなく、経済的に困っている人たちの気持ちを分かったうえで、良い政策だと思って投票することがいいわけです。

 つまり自分の立場を離れたうえで、政治に関する知識を十分に発揮して投票しなければいけないのです。では、国民全体のために考えて投票できるようになるためには、どうしたらいいと思いますか。

 加藤玲奈(れな) 社会のことを勉強する。

 木村 勉強は大事ですね。

 加藤 あと、自分以外の人の立場をよく考えることでしょうか。

 木村 いい発言ですね。知識を持つだけでは、何がみんなのためになるかを判断できない。政治の影響を受ける人たちの立場に立って、考えることが大事です。どうすれば、そうなれるでしょうか。

 向井地 心を磨くことじゃないでしょうか。

 木村 心も大事ですね。それでは逆に、人の立場に立てないときってどんなときですか。

 加藤 自分のことで精いっぱいのときですね。

 木村 確かに、切羽詰まった状況では余裕がなくなりますね。では、心にゆとりを持って選挙に臨むために何が必要でしょうか。

 茂木 まず自分に時間的な余裕があって、生活が充実していること?

 木村 そうですね。一人ひとりが知識や情報を得るだけでなく、ひとの気持ちを考えられるようなゆとりを持てないと、いい投票はできません。そのことを頭に入れて、引き続き勉強していきましょう。=敬称略

 (構成・山田明宏、大西元博)

 ■新たに240万人選挙権、校外の政治活動容認

 投票できる年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が、昨年6月に成立した。日本では1945年に女性にも選挙権が認められ、20歳以上の男女と決まって以来、70年ぶりに選挙権が拡大されたことになる。

 改正公選法は1年間の周知期間を経て今年6月から施行され、新たに18、19歳の約240万人が投票できるようになる。初めて適用される国政選挙は、夏の参院選になる見通しだ。

 18歳以上なら選挙運動への参加も認められ、デモや集会などの政治活動にも参加できるようになる。一方、選挙違反をした少年も原則として成人と同じように刑事裁判の対象となる。

 高校生が政治活動に加わることは、学生運動が広まった1969年以降、文部科学省が「望ましくない」として、校内外を問わず制限していた。しかし、今回の選挙権年齢の拡大を踏まえ、校外に限って認められることになった。

 国立国会図書館の調査では、世界の約190の国と地域のうち、9割で18歳以上に選挙権がある。オーストリアなどでは、16歳以上に選挙権がある。(貞国聖子)

 ■次回から第2部

 第1部では、政治や民主主義をテーマに計4回にわたって、(1)国の仕組みや多数決の持つ意味(2)立法の仕組み(3)国会議員の役割(4)政治参加の意義——を考えてきました。

 第2部では、ジャーナリストの津田大介さんが登場。AKB48の3人とともに、選挙の際にメディアから必要な情報をどうやって集めるか、その情報をどう扱えばいいのかといったテーマで話し合います。第2部は2月21日付の紙面からスタートする予定です。

 第3部では、木村さんとともに、今の政党や選挙の制度がどのように作られたのかを考えます。夏の参院選が迫る第4部では、津田さんと、一票をどう生かすかを語り合います。
    ーー「18 私たちも投票します:国政選挙、AKB総選挙とどう違う?」、『朝日新聞』2016年02月12日(金)付。

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http://www.asahi.com/articles/DA3S12206108.html


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