覚え書：「ひと：菱山南帆子さん　国会前のデモでシュプレヒコールを先導する」、『朝日新聞』2016年03月26日（土）付。

ひと：菱山南帆子さん　国会前のデモでシュプレヒコールを先導する
2016年3月26日

菱山南帆子さん
　「諦めないで頑張りましょう！」。小柄だが高くよく通る声。力強い呼びかけに参加者が「そうだ！」「よしっ」と呼応する。

　国会前などで続く安保法制反対のデモ。シュプレヒコールを先導する「コーラー」の一人として、ネットなどで注目を集める。

　初コールは１３年前、中１の時だった。「戦争はダメ」との気持ちは当時から強く、イラク戦争反対デモに通っていた。ある日、中学生の参加は珍しいと主催者からスピーチを求められた。「しゃべれないけど、コールなら……」

　街中で堂々と反戦を訴えるデモの参加者を「なんて立派なんだろう」と思い、自分もそんな場を求めて声を上げ続けた。のどをつぶし、ボイストレーニングを受けて発声法を学んだ。それが生き、今は市民らでつくる「総がかり行動実行委員会」のコーラーに。「経験を積み、言葉の一粒一粒に気持ちを込めるようになりました」

　高校生のとき、手話によるスピーチの全国コンテストで奨励賞を受賞した。その得意の手話や紙芝居を取り入れ、通行人と対話する形の活動も試みる。「街行く人の痛みや苦しみを拾い上げて希望に変えていく。そんな『街宣文化』を育てたい」。学生時代から都内の福祉作業施設で働き続けている。

　「障害のために、声を上げることができない人もいる。そんな仲間の思いも、コールに乗せていきたい」

　（文・写真　高波淳）
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　ひしやまなほこ（２６歳）
　　　　−−「ひと：菱山南帆子さん　国会前のデモでシュプレヒコールを先導する」、『朝日新聞』2016年03月26日（土）付。