覚え書:「今週の本棚・新刊 『台湾と日本のはざまを生きて 世界人、羅福全の回想』=羅福全・著、陳柔縉・編著」、『毎日新聞』2016年04月03日(日)付。

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今週の本棚・新刊
『台湾と日本のはざまを生きて 世界人、羅福全の回想』=羅福全・著、陳柔縉・編著

毎日新聞2016年4月3日 東京朝刊
  (藤原書店・3888円)

 2000−04年に台湾駐日代表を務めた羅福全氏の回顧録。1935年生まれの羅氏は裕福で教育熱心な家に育ち、6歳の時、「より良い就学環境」を求める母に連れられ日本へ渡り、戦時中の学童疎開も経験した。台湾に戻ったのは戦後の46年。

 台湾大卒業後、早稲田大大学院を経て米ペンシルベニア大大学院へ留学した。台湾独立運動に参加したため国民党独裁下の台湾へ戻れなくなったが、国連の経済専門家として長年、世界中を飛び回った。数奇を極めた人生の中で独特な人脈を築いたことに驚かされる。後にノーベル経済学賞を受賞するクラインに師事し、米駐日大使を務めたライシャワーや朱鎔基元中国首相ら多くの著名な学者、政治家らと出会っている。中国が反発した李登輝元総統の訪日は、羅氏が駐日代表の時だった。

 60年安保闘争でブントの中枢にいた生田浩二と、米留学時代に親友だったことも興味深い。不慮の火事で亡くなった生田夫妻の葬儀、追悼式は羅氏がおこなったという。

 談話を台湾のコラムニストがまとめたものだが、含蓄に富むエピソードが平易につづられ、一気に読ませる。=小金丸貴志訳(壱)
    −−「今週の本棚・新刊 『台湾と日本のはざまを生きて 世界人、羅福全の回想』=羅福全・著、陳柔縉・編著」、『毎日新聞』2016年04月03日(日)付。

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台湾と日本のはざまを生きて 〔世界人、羅福全の回想〕
羅福全 陳柔縉
藤原書店
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