覚え書:「Media Times 番組の源流、ぶっちゃけ手法か 「ニュース女子」の沖縄報道、東京新聞「反省」」、『朝日新聞』2017年02月03日(金)付。

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Media Times 番組の源流、ぶっちゃけ手法か 「ニュース女子」の沖縄報道、東京新聞「反省」
2017年2月3日 

 沖縄の米軍基地反対運動を取り上げた東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)の番組をめぐり、論説副主幹が司会を務める東京新聞中日新聞東京本社)が2日付朝刊で「反省」を表明した。番組については、「ぶっちゃけ」を売りにした手法が源流にあるとの指摘も出ている。

 問題になっているのは、1月2日放送の「ニュース女子」。東京新聞長谷川幸洋論説副主幹が司会を務めていた。

 記事は深田実論説主幹の名前で番組について「事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものでもありません」と説明し、読者におわびした。中日新聞にも掲載された。深田氏は取材に「沖縄の人々の心情を深く傷つけるような番組で、論説副主幹の肩書で司会をしていたことに責任と反省を感じている」と語った。

 MXテレビは「他メディアでの掲載内容につきましては、コメントを差し控えさせていただきます」としている。

 番組で「反対派の黒幕」などと名指しされた人権団体「のりこえねっと」の共同代表・辛淑玉(シンスゴ)さんは先月31日、中日新聞社会長と長谷川氏に文書で抗議した。「放送されたのは異論でも議論でもなくデマ。それがネットで爆発的に広がった。東京新聞論説副主幹の名前で信用をもたせ、差別をあおった」と憤る。

 辛さんが人権侵害を申し立てた放送倫理・番組向上機構BPO)放送人権委員会の元委員でジャーナリストの武田徹さんは、今回の番組を「全然褒められたものではない」としつつ、「放送内容を論評することは自由だが、司会者の所属元とはいえ、放送局の自律を尊重し、自己浄化に期待する姿勢も必要では」と話す。放送番組の適否は(1)放送業界が自ら考える(2)BPOのような外部組織に委ねる(3)法的解決――という段階を踏むべきだと指摘。「社員が社外メディアで話す時まで社の論調に縛られるべきかについても議論が必要だ」と話す。

 ■「反権威、今は排外的気分あおる面」指摘も

 ニュース女子は、化粧品大手ディーエイチシーの子会社「DHCシアター」のもとで、大阪の番組制作会社「ボーイズ」が作っていた。同社は読売テレビ(大阪)の「そこまで言って委員会NP」の制作も担当。同社のウェブサイトによると、ニュース女子は「東京での新事業」だった。

 専修大学山田健太教授(言論法)は、そこまで言って委員会NPとニュース女子とのつながりを指摘する。「長谷川氏を含め、出演者も似通っている。市民活動や、現政権に対する批判の動きを否定的にとらえることがある」

 そこまで言って委員会NPの前身「たかじんのそこまで言って委員会」では2013年、在日韓国人に対する差別を助長する発言があったとしてNPO法人「コリアNGOセンター」から抗議を受け、謝罪したこともある。

 ジャーナリストの安田浩一さんは、関西で制作される一部の情報番組の内容が変容しているのを感じることがあるという。「かつては反東京・反権威で本音をずばずばと言い、一定の役割を果たしていたが、今は『ぶっちゃけ』の名の下に、差別的で排外的な気分をあおることがある」

 ボーイズは朝日新聞の取材に「答えられる者がいない」としている。

 安田さんは、MXテレビの別の番組に不定期で出演する予定だったが、MXテレビが納得できる対応を取るまでは出演しないと局側に伝えたという。ジャーナリストの津田大介さんも同じ理由で出演を見合わせている。(田玉恵美、伊東和貴)

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 Media Times(メディアタイムズ)

 ◆キーワード

 <「ニュース女子」1月2日の放送> 沖縄県東村高江の米軍ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設への抗議活動などを「テロリストみたい」と表現したり、現地の様子を発信する人を募る団体が交通費相当の金銭を支給していることについて「5万円日当」と伝えたりした。「(反対派が)救急車を止めて現場に急行できない事態が続いていた」との説明もあったが、現地の消防本部は朝日新聞の取材に「そのような事実はない」と答えている。
    −−「Media Times 番組の源流、ぶっちゃけ手法か 「ニュース女子」の沖縄報道、東京新聞「反省」」、『朝日新聞』2017年02月03日(金)付。

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http://www.asahi.com/articles/DA3S12778837.html





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