覚え書:「海をわたる手紙−ノンフィクションの「身の内」 [著]澤地久枝、ドウス昌代 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)」、『朝日新聞』2017年05月07日(日)付。
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海をわたる手紙−ノンフィクションの「身の内」 [著]澤地久枝、ドウス昌代
[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年05月07日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝
この40年余、ノンフィクションを発表してきた2人の作家、その往復書簡14通からなる書。2014年11月から16年6月までだが、この間の時代史が浮かびあがるとともに、2人の自分史、さらにはノンフィクションとはといった本質論までが具体的に語られる。
「事実はもちろん最重要のことで、調べられるかぎり調べるのはわたしのもの書きとしての基本」と澤地、「私にとってノンフィクションの醍醐味(だいごみ)は、長いこと探しもとめていた資料を手にしたとき」とドウス。その第1作(澤地の『妻たちの二・二六事件』、ドウスの『東京ローズ』)では、2人とも歴史に振り回される女性たちのその人生に向き合う姿を自らの中にとりこもうとしたことが共通点だとわかる。
その後は史実の中にひそむ本質を求める旅が続くのだが、「資料は自分から『ここだ。おいで』と言っている」との澤地の言は、確かに書く側の熱意や潔癖さに起因するのであろう。
−−「海をわたる手紙−ノンフィクションの「身の内」 [著]澤地久枝、ドウス昌代 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)」、『朝日新聞』2017年05月07日(日)付。
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海をわたる手紙——ノンフィクションの「身の内」
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