覚え書:「ビジネス マルカン大食堂の奇跡―岩手・花巻発! 昭和なデパート大食堂復活までの市民とファンの1年間 [著]北山公路」、『朝日新聞』2017年07月09日(日)付。

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ビジネス マルカン大食堂の奇跡―岩手・花巻発! 昭和なデパート大食堂復活までの市民とファンの1年間 [著]北山公路

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マルカン大食堂の奇跡―岩手・花巻発! 昭和なデパート大食堂復活までの市民とファンの1年間 [著]北山公路
2017年07月09日
■「心のふるさと」取り戻した人々

 岩手県花巻市にあったマルカンデパート6階の580席の大食堂。「昭和な雰囲気」と高さ25センチの10段巻き巨大ソフトクリーム(180円)が名物で全国に知られた。昨年3月の老朽化による閉店発表から、市民の力で復活するまでの草の根運動の記録だ。
 真っ先に高校生が営業継続に向けた署名活動を開始する。口さがない批判も乗り越え、1万近い署名を集めた。
 地元の若手経営者も百貨店の建物を借り受けて食堂を再開する取り組みの検討を発表。仮計画では2億円の資金が不足したが、1万人署名に背中を押され、クラウドファンディングへと踏み出す。
 同時多発的に応援ワイン販売、マルカン写真集制作、応援歌のCD化等々が始まる。大学生が中心のグループは寄せ書きで運動を盛り上げた。
 収支計画も立ち、運営に最適の人材も見つかり、改修後、今年2月に再開。市民は「心のふるさと」を取り戻した。
 太陽に向けて惑星が一直線に並ぶ惑星直列が浮かぶ。地元で出版企画を手がける著者自身、惑星の1人で記録が実に克明。約20人の実名の登場人物の人生模様も横糸で描かれ、勇気づけられる地域再生の教科書だ。巻末のメニュー表が楽しい。かつ丼630円。
 (勝見明=ジャーナリスト)
 
    −−「ビジネス マルカン大食堂の奇跡―岩手・花巻発! 昭和なデパート大食堂復活までの市民とファンの1年間 [著]北山公路」、『朝日新聞』2017年07月09日(日)付。

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「心のふるさと」取り戻した人々|好書好日



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