覚え書:「子どもの本棚 自分はキウイ?悩む姿に共感」、『朝日新聞』2017年08月26日(木)付。
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子どもの本棚 自分はキウイ?悩む姿に共感
子どもの本棚
自分はキウイ?悩む姿に共感
2017年08月26日
■「かわをむきかけたサトモちゃん」
サトモちゃんは里芋。そう自分を信じていました、こんな怪文書(?)が届くまでは。「じつは、あなたは キウイです」
ただのイタズラと思いつつ、だんだん心配になってきます。誰に聞いても鏡を見ても胸がざわつき、「だいじょうぶよね。さといもよね」。甘い香りのキウイに会いに行って笑われたり、中の色を確かめるため自分の皮をむこうとしたり……。「脱皮」には痛みが伴うもの。アイデンティティーの危機に悩む里芋の姿がおかしくもいじらしく、理屈抜きに共感できます。
絵本デビュー作となる作家の文を、ベテラン画家の切り絵が表情豊かにパワフルに躍動させています。葛藤の末の、里芋らしい自己肯定の場面では、ゆかいな解放感に包まれます。(絵本評論家・作家 広松由希子)
★えぐちよしこ文、織茂恭子絵、アリス館、税抜き1400円、4歳から
−−「子どもの本棚 自分はキウイ?悩む姿に共感」、『朝日新聞』2017年08月26日(木)付。
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