覚え書:「文庫この新刊! 辻山良雄が薦める文庫この新刊!」、『朝日新聞』2017年10月22日(日)付。

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文庫この新刊! 辻山良雄が薦める文庫この新刊!

文庫この新刊!
辻山良雄が薦める文庫この新刊!
2017年10月22日
 (1)『ビブリオ漫画文庫』 山田英生編 ちくま文庫 842円
 (2)『桜の森の満開の下』 近藤ようこ漫画 坂口安吾原作 岩波現代文庫 864円
 (3)『えほんのせかい こどものせかい』 松岡享子著 文春文庫 734円
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 一冊の本に魅せられた人は、いつのまにか、その本から魂をも吸い取られてしまうのかもしれない。(1)はつげ義春諸星大二郎永島慎二などひと癖ある漫画家たちの描く、「本」をめぐる悲喜こもごもの物語。当欄の読者であれば、身に覚えがある話が多いのではないかと推察する。
 坂口安吾の代表作に、現代の漫画家が挑んだ(2)は、多くの無惨(むざん)な死が描かれながらも、静謐(せいひつ)さが通底する不思議な読後感。人の心に存在する底知れない闇を掬(すく)い取る筆さばきは鮮やかで、描かれた自然のかぐわしさがつんと残る。目の前の世界をひと皮めくれば、狂気が口を開けて待っているようだ。
 (3)では長年子ども図書館に関わった著者が、「子どもが本当によろこぶ絵本とは何か」を考えた。読み聞かせなどの実体験や、児童文学の研究をする中で出合った、子どもに生き抜く力を与える絵本を紹介する。古典として残る絵本には、情と理が一体となったような厚みがあり、読み継がれることは偶然ではない。
 (書店「Title」店主)
    −−「文庫この新刊! 辻山良雄が薦める文庫この新刊!」、『朝日新聞』2017年10月22日(日)付。

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http://book.asahi.com/reviews/column/2017102200004.html



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