覚え書:「著者に会いたい 活動報告―80年代タレント議員から162万人へ 中山千夏さん」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

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著者に会いたい 活動報告―80年代タレント議員から162万人へ 中山千夏さん

著者に会いたい
活動報告―80年代タレント議員から162万人へ 中山千夏さん
2017年12月17日

中山千夏さん=飯塚悟撮影

■信じること伸び伸び主張したい

 1980年夏にあった参院選の全国区で、約162万票を得て当選。人気の芸能人で、タレント議員と呼ばれた。1期6年務めた。それから31年。ずっと自分に投票してくれた人々のことが頭にあった。けれども、あまりに異質な経験、濃縮された時間だったから、それを文字にすることができないでいた。
 「人生、総括の時期がきて、やっとその責任を果たせそうな気がしてきた」と本にある。「投票してくれた人たちへの報告という形なら、書けると思ったんです」と話す。
 立候補した理由から始まって、当選後の議員活動、86年の参院選東京選挙区で落選するまでを詳細につづった。「勤勉で良心的な仕事」「国会には精勤」「市民運動と連携」「清廉潔白を徹底」したが、「政治的には毒にも薬にもならなかった」「今日に続く無残な政治路線を変える、なんの役にも立たなかった」「議員に向いていなかった」と振り返る。
 それでも、国会議員をやってよかったと思っている。「個人と社会、個人と国との関係をすごく考えるようになりました」
 この本を出した理由の一つは、現在の政治状況。「安倍政権になってから、むき出しになり、民間にも広がり出した国家主義愛国主義」に危機感を持った。昔の市民運動仲間と交わす会話は「あのころは、まだましだったね」。「未来という大樹の、少しでもコヤシになるよう、過去を鋤(す)き直してみたいのです」と書いた。
 自分を「人権思想の信徒」と言う。今もかかわっていて、大切にしているのは市民運動だ。住んでいる静岡県伊東市では「原子力いいんかい?@伊東」という名称で活動している。「市井人だから信じることを伸び伸びと主張したいし、個人を大切にしたい。それでも排斥されない世の中がいいと思っているのね」。表情はやさしく、口調はとてもやわらかい。
 本の表紙には、80年参院選の選挙ポスターを使った。こうある。「きれいな未来を 子供たちに 手わたしたいから」
 (文・西秀治 写真・飯塚悟)
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 講談社・2052円
    −−「著者に会いたい 活動報告―80年代タレント議員から162万人へ 中山千夏さん」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

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http://book.asahi.com/reviews/column/2017121700012.html








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