日記:アナキズムの道義=クロポトキン


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 「植物は、花咲くことを、みずから避けることはできない。ときとして、花咲くことは死ぬことを意味する。だが、心配無用である。樹液は変わることなく上がってくる」これが若きアナキズム哲学者の結論であった。
 人間が力と活力に満ちている場合も、これと同じなのである。その人間の内に、力が蓄積される。それが、その人間の生を拡張する。それは、他に与えることとして現れる。なんら打算なしにあたえるのだ。あたえることなくしては、生きつづけることができないのだ。花が咲くときのように、その人間は死ななければならないのだろうか。心配無用である。樹液は上がってくる。樹液がありさえすれば。
 強くあれ。情と知のエネルギーをみなぎらせ、あふれさせよ。そうして、君の知を、君の愛を、君の行動エネルギーを、広く、他者へ向かって拡張せよ! これが、モラルのすべてが教える到達点なのである。
    −−ピョートル・クロポトキン(大窪一志)「アナキズムの道義」、『相互扶助再論』同時代社、2012年、235頁。

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