日記:政党支持の階層化


        • -

政党支持も階層化した
 一見したところ、実にわかりやすい結果といっていいだろう。自民党は、社会保障や貧困対策には熱心ではなく、労働の規制緩和を進めたり、富裕層の減税を繰り返すなどして、長年にわたり格差拡大を放置し、むしろその拡大を促進してきた政党である。富裕層の支持率は高く、所得が下がるにしたがって支持率が下がっていくというこの構造は、自民党が、支持基盤が特権階級や富裕層に特化した「階級政党」になったことを示している。
 ただし、自民党と正反対の位置に、貧困層相対的貧困層の支持を集める単一の政党があるわけではない。ちなみに二〇一五年の貧困層のその他の支持政党は、公明党が六・ニ%と多く、次いで維新の党(当時、五・〇%)、民主党(当時、四・四%)、日本共産党(三・五%)などと分散し、支持政党なしが五七・三%である。この四党の支持率を合計すると三一・八%で自民党を上回っているが、支持は割れており、しかも支持がもっとも多い公明党は、自民党とは連立政権を組む関係である。
 だからこの結果をもって、日本の政治が階級間の利害対立と政党の対抗関係が対応する、階級政治の性格を強めたとまでいうことはできない。とはいえ人々の意識の階層化が、政党支持の階層化にもつながっているということはできるだろう。
    −−橋本健二『新・日本の階級社会』講談社現代新書、2018年、37−38頁。

        • -




新・日本の階級社会 (講談社現代新書)
橋本 健二
講談社
売り上げランキング: 1,961