覚え書:「ひと:弱者、女性の視点でインドの環境保護運動を続ける バンダナ・シバさん」、『毎日新聞』2012年9月25日(火)付。



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ひと
弱者、女性の視点でインドの環境保護運動を続ける
バンダナ・シバさん(59)
Vandana Shiva

 経済成長の一方で広がる貧富の格差や環境破壊ーー。さまざまな矛盾を抱えるインドで、貧しい人々や女性の視点に立って環境保護を訴えてきた。20年以上の運動は多くの農民に影響を与えた。
 21歳の時、故郷近くの村で、女性が木に体を縛り付け命がけで森林伐採を防ぐ「チプコ(抱きつく)運動」に出会った。「人間は地域固有の作物に生かされていることを彼女たちに教わった」という。
 カナダに渡り、哲学と物理学を学んだ。帰国後、女性たちに環境保護運動への参加を呼びかけた。91年にはNGOを設立し、地域固有の植物の種を保存する活動や、有機作物のフェアトレード(公正な貿易)運動を展開した。
 「種は命。企業や国の開発による単一品種栽培で、農家は多様性と自由を失った」
村々を回り伝えた思想は、著作を通じ世界にも広がる。93年に「もう一つのノーベル賞」と言われるライト・ブリフッド賞を受賞した。
 第23回福岡アジア文化賞の大賞に決まり、今月来日した。東京電力福島第1原発事故について「原子力は近代化と同じで、一つの方向性、価値観を唯一無二のものとして押しつけてきた。それが破綻を見せた今、日本は岐路に立っている」と考えている。
13日に福岡市で行われた授賞式のスピーチで強調した。「豊かになる方法はさまざま。これからも世界に多様性と平和を広げていきたい」文・関東晋慈 写真・和田大典
Vandana Shiva カナダで物理学の博士号取得。シドニー平和賞(10年)など受賞。著書に「アース・デモクラシー」など。
    −−「ひと:弱者、女性の視点でインドの環境保護運動を続ける バンダナ・シバさん」、『毎日新聞』2012年9月25日(火)付。

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