覚え書:「みんなの広場 歴史的な友好関係を壊すな」、『毎日新聞』2012年10月20日(土)付。


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みんなの広場
歴史的な友好関係を壊すな
主婦63(東京都板橋区

 11日の発信箱の「急ぐと悪魔が手伝う」という格言を読み、ガンジーの「善きことはカタツムリの速さでくる」という言葉を思い出した。
 今、領土をめぐり隣国との関係が危うくなっている。私は日中の交流がまだ行われていなかった1968年、19歳の時に「日中国交正常化の提言」が行われた場所にいた。そのことにどのような意味があるのかも理解できなかったが、隣国との交流がいかに大切かが、時を経るごとに分かるようになった。
 日ごろ手にする商品は中国製が圧倒的に多く、長男は日中の貿易を行う会社に勤務している。日常的に中国語や韓国語が飛び交い、周りにも中国人や韓国人の友人、知人が少なからずいる。
 飛行機に乗って下を見下ろすと、どこにも境界線などは見えない。そこにいるのはさまざまな生き物だけである。長い月日をかけてできた関係を壊してはならないと痛切に思う日々である。
    −−「みんなの広場 歴史的な友好関係を壊すな」、『毎日新聞』2012年10月20日(土)付。

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